
広域における大気汚染の状況としては、アジア域における経済発展や砂漠化に伴い、大気汚染物質または黄砂が、それらの地域から日本に長距離輸送されてきています。その結果として、特に、西日本の各地域では光化学オキシダントの高濃度が未汚染地域などで出現しており、また、黄砂による浮遊粒子状物質の高濃度が数日続くこともあります。
一方、関東域では、国または地方自治体における各種発生源対策にもかかわらず、依然として関東地域の海陸風の循環等に伴うと考えられる光化学スモッグの高濃度(注意報又は警報)が頻繁に出現し、年度によっては、多くの健康被害(気分が悪くなったり、目がチカチカするなど)が発生しています。また、全国的には、工場からのアスベストの拡散による健康被害が社会問題化しています。
これらの大気汚染の拡散は、現象に応じた各種スケールの大気拡散モデルの適用が不可欠であり、海外を含めた各種の研究機関では、継続的にこれらの現象を解析、予測及び予報する数値モデルが開発されています。当社におきましても、これまでの長年にわたる観測、解析及び予測の技術を用いて、各種スケールの数値モデルを各種研究機関の協力を得ながら開発してきています。
スケールの比較的大きい予報としては、アジア域からの黄砂の予報や関東域における光化学大気汚染物質の予報を実施しています。これらの予報には気象モデルと、その計算結果を利用した光化学大気汚染モデル(黄砂予報は反応を伴わない)が必要であり、当社の独自の気象予報の技術等が関東域の予報に利用されています。
さらに、これらの予報と共に、気象予報士による光化学大気汚染のポテンシャル予報の解説等を実施しています。
専任の気象予報士が、お客様の光化学スモッグの連絡体制を意識しながらリアルタイムの大気汚染情報を監視し、常に情報監視担当者の立場にたった大気汚染コンサルティングを心がけています。
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平成18年度に実施された「東京国際空港の再拡張事業の環境影響評価」では、関東域の広域の大気汚染物質(予測地域200km四方、5km格子:二酸化窒素、浮遊粒子状物質、光化学オキシダント)の計算結果をネスティングして、空港周辺の大気汚染物質の都市域(予測地域40km四方、1km格子:二酸化窒素、浮遊粒子状物質)の1時間高濃度または年平均値を予測しています。予測モデルは、実況値の現況再現を実施しており、モデル有効性を確認しています。
この解析によると光化学大気汚染のモデルの精度は、気象モデルの精度に依存することが確認されました。そこで、都市効果(建物、都市発熱)を考慮したより高度な気象モデルの開発(SYNFOSの次期モデルの開発)により、大気汚染の地域的な濃度の予報は、当社の光化学大気汚染モデルを用いて高精度で予測できると考えます。
火力発電所などの高煙突からの拡散は、都市域のスケールの拡散でその影響がある程度は予測できると考えられますが、工場の低煙源や建物からの拡散においては、地形影響(山、河川、海など地表面の状態)、建物影響及び人工的な都市排熱の影響を考慮した微気象モデルによる移流、拡散モデルが必要となります。これらの拡散現象は、計算地域の気流の流れや大気の乱れにより、大きく変化します。したがって、高精度の微気象モデルの開発には超音波式風速温度計、湿度計を用いた拡散場の観測により、運動量フラックス、熱・水蒸気フラックスの影響を考慮したモデルの開発が不可欠です。
当社では、これらの現地観測結果や既存文献等の知見を再現したモデルとして、微気象モデル(κ-εモデル)及びラグランジュ型拡散モデルを開発しています。適用事例としては、トレーサーガス拡散実験による濃度分布を解析するために、これらの乱流観測・解析情報を有効に利用して、中立時または安定時の数値拡散モデルの開発を行っています。
これらの当社の大気汚染の観測、解析、予測及び予報技術は、大気汚染の防止対策、排煙設備等の新規・建替における環境影響評価、緊急時の拡散予測情報、ひいてはお客様の利益向上、損失の低減に貢献しています。
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