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2011.09.07

総雨量2000mmの時代を迎えて

一般財団法人日本気象協会(本社:東京都豊島区、会長:松尾道彦)は、今回の台風12号の大雨を踏まえ、総雨量2000mmの大雨が「想定外」の事象とはいえない時代に入ったと考えています。

 

台風12号は、紀伊半島南部に総雨量2000mmを超える記録的な大雨をもたらし、大雨に強いとされてきた紀伊半島においても、広範囲にわたり大規模な土砂災害が発生しました。アメダス観測地点の72時間雨量をみると、奈良県上北山村で1652.5mmとアメダス観測史上1位の記録を更新し、さらに上位5位のうち2位と5位の記録も、今回の台風12号の大雨により更新されています。(表1)

 

順位

地点名

72時間雨量(mm)

年月

備考

第1位

上北山

奈良県

1652.5

平成23(2011)年9月

今回の台風12号

第2位

宮川

三重県

1519

平成23(2011)年9月

今回の台風12号

第3位

神門

宮崎県

1322

平成17(2005)年9月

平成17年台風14号

第4位

えびの

宮崎県

1306

平成17(2005)年9月

平成17年台風14号

第5位

風屋

奈良県

1303

平成23(2011)年9月

今回の台風12号

表1 アメダス観測地点における72時間雨量の上位5位(平成23年9月7日現在)

 

総雨量2000mmは記録的な大雨ではありますが、「想定外」であったとはいえません。台風による大雨の条件には、台風の進行速度と海面水温が深く関係しています。平成23年5月、当協会は、砂防学会の研究委員会の成果として、近年の台風災害事例や地球温暖化の影響を考慮し、平成17年台風14号と台湾を襲った台風MORAKOT(平成21年台風8号)を比較検討した結果、日本国内においても2000mmを超える大雨が想定されることを指摘しました。(注1)

 

平成17年台風14号は、九州の南西部に1000mm以上の大雨をもたらし、大規模な土石流を発生させた台風です。一方、台風MORAKOTは、平成21年8月に台湾を襲い、3000mmという記録的な大雨により、台湾南部の村を壊滅させる土砂災害(深層崩壊)を引き起こしました。この深層崩壊が発生したのは、連続雨量が2000mmを超えた時だったとされています。

平成17年台風14号による宮崎県神門の総雨量は1322mmでしたが、平成17年台風14号が台風MORAKOT並みのゆっくりとした速さ(時速5~10km程度)で進み、かつ勢力を維持したと仮定すると、神門の総雨量は2095mmに達すると見込まれます。(図1)

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図1 平成17年台風14号(T0514)の速さが台風MORAKOT並みだった場合の推定雨量

 

今回の台風12号も、海水温の高い海上を勢力を維持しながらゆっくりと北上し、上陸しても速度が上がらず時速10km前後の速度で進み、記録的な大雨をもたらしました。被害が明らかになるにつれ、大規模な土砂災害や地すべり、土砂ダム(天然ダム)の存在も確認されています。

 

現在、台湾付近と日本の南海上とでは海面水温に2度近く差があります。しかし、100年後のシミュレーション結果では、日本の南海上の海面水温は、現在の台湾近海並みになると予想されています。(図2)

台風の進行速度や海面水温の変化を考えると、今後は日本付近でも、台湾と同様、2000mmを超える大雨を想定した対策が必要であるといえます。

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図2.海面水温の変化 100年後

福岡管区気象台、長崎海洋気象台および沖縄気象台「異常気象レポート九州・山口県・沖縄版2009」より

注1)砂防学会:社団法人砂防学会が設置した「気候変化が土砂災害に及ぼす影響に関する研究小委員会」の誘因分科会幹事として活動
文献名 辻本ら(平成23年):「土砂災害の誘因的な観点からみた降雨特性の変化と今後の課題について」平成23年度砂防学会研究会、平成23年5月

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