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2015.08.27

日本気象協会、防災・減災への取り組みの一環として行っている 「微気圧振動の観測結果を活用した津波の早期検知に関する研究」の最新状況を紹介

  一般財団法人日本気象協会(本社:東京都豊島区、会長:繩野 克彦、以下「日本気象協会」)は本日、防災・減災への取り組みの一環として2011年から行っている、大気中の微小な気圧の振動(以下「微気圧振動」)(注1)を観測することにより津波を早期に検知するための研究(以下「本研究」)に関する最新状況をお知らせします。

【本研究について】
  2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震の際、津波が発生した海域で海面の隆起・沈降によって発生したとみられる微気圧振動が、津波の到達前に陸上の精密な気圧計で捉えられました。これをきっかけとして、日本気象協会では津波の早期検知に関する研究を開始し、微気圧振動研究に携わる研究機関と連携しながら、太平洋側の複数の地点で試験的に微気圧振動の観測を実施しています。2013年7月には、当時地震活動が活発であった岩手県大船渡市内で観測を開始し、2015年6月には、三重県および三重県教育委員会の協力を得て、過去に巨大地震・津波が発生した記録のある南海トラフを臨む三重県志摩地域での観測を開始しました。
  日本気象協会は本研究を基に、まずは来襲する津波が防潮堤を超える規模であるかどうかを見極められるシステムの実用化をめざすとともに、地域の津波防災の取り組みに貢献するため、様々な関係機関と共同しながら、以下の項目に取り組んで行きます。

①観測システムの確立
②津波の検知手法やリアルタイムでのデータ収集・解析システムの検討
③観測データの公開
④観測網の整備

  また、日本気象協会では、微気圧振動が津波に対する防災や減災の取り組み以外の目的でも活用できるよう、集中豪雨、竜巻などの極端気象(注2)や、土砂災害や雪崩などの自然災害発生監視に向けても積極的な研究に取り組んで行きます。

 

国立天文台水沢VLBI観測所の観測データ.png 津波検知のイメージ.png


注1:0.1ヘクトパスカルに満たない微小な気圧の変動のこと。0.1ヘクトパスカルは9.86923267 × 10^-5 気圧。
注2:大雨、台風、竜巻など、気象災害につながるまれな現象のこと。



【研究背景】
  日本気象協会は、公益財団法人日本国際問題研究所からの委託を受け、2002年から包括的核実験禁止条約(CTBT: Comprehensive nuclear-Test-Ban Treaty)に関わる業務を行っています。CTBTでは、地下・大気・水中の核実験を監視するために、地震・微気圧振動・水中音波の観測所を全世界に展開しています。また多くの国ではCTBTの観測データをもとに核実験を監視するためのNDC(National Data Centre)という組織を整備しており、日本では日本気象協会のNDC室がこのNDCの機能を一部担っています。NDC室では、NDCの機能整備や日本国内の地震と微気圧振動の観測所(地震6カ所、微気圧振動1カ所)の維持管理、データ解析などを担当しています。
  地震などを原因とする津波 (海面の隆起・沈降がすばやく広い範囲で生じる現象) が発生したとき、海面に接した大気は圧縮・伸張され、気圧の振動を生み出します。その際に発生する微気圧振動は、その伝達速度が音速とほぼ同じ速度であるため、津波が到達するより早く計測されます。沿岸部に微気圧振動を観測するセンサー(微気圧計)を設置すれば、津波が到達するより前に津波の発生を示唆する兆候や津波の規模を検知することができると期待されています。
  2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震では、津波から発生した微気圧振動がCTBTの観測網にて観測されました。このことをきっかけに、日本気象協会では微気圧振動を観測することで津波を事前に検知するための研究を開始しました。
  津波の観測に使われている観測機器の多くは、海上や海底に設置されるもので、観測場所の津波を直接測れるという利点がある一方で、地震や津波の直接的な被害を受けることがあります。日本気象協会が行っている微気圧振動観測は、津波が発生した海域から離れた場所(陸上)で行うため、海上や海底の観測手法に比べて設置が容易であり、津波によって破壊される危険性を回避することも可能です。

微気圧.png

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