国内初！「日射スペクトルデータベース」の公開 ～日本気象協会が「NEDO日射量データベース」を拡充～
News2016.05.17

＜2021年6月9日加筆有り＞
一般財団法人 日本気象協会（本社：東京都豊島区、会長：繩野 克彦、以下「日本気象協会」）は、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構（本部：神奈川県川崎市、理事長：古川 一夫、以下「NEDO」）からの委託事業で、「NEDO日射量データベース」を拡充・整備しました。
このうち、「日射スペクトルデータベース」は日本国内で初めて公開されたデータで、新たな太陽光発電の性能評価や開発のための基礎データとして活用できるものです。
日本気象協会は、太陽光発電に係る気象観測やデータ整備を進め、太陽エネルギー利活用技術の高度化と太陽光発電量評価の高精度化を目指し、今後も関連する技術開発を進めていきます。

1.概要
日本気象協会では、1974年より太陽エネルギー利用技術に係る日射量解析の研究開発を行ってきました。1980年にNEDOが発足した以後は、NEDOの委託事業として「日射量データベース」の整備に努めてきました。2012年にはWeb版「NEDO日射量データベース（METPV-11、MONSOLA-11）」を整備し、NEDOより公開されています。このデータベースは広く太陽光発電事業者の事業性評価などで活用されており、国内の太陽光発電の普及に大きく貢献してきました。
このたび、NEDO委託事業「太陽光発電システム次世代高性能技術の開発（2010～2014年度）」で、新たなデータベースを開発するとともに、既存データベースの更新を行いました。公開・更新したデータベースは下記のとおりです。

(1) 日射スペクトルデータベース
(2) アジア標準日射データベース
(3) 日射量データベース（MONSOLA-11）の更新

   これらのデータベースは2016年3月30日にNEDOより公開されており、どなたでも閲覧することが可能です。
※公開ページ：;http://www.nedo.go.jp/library/nissharyou.html
なお、上記のうち(1) 日射スペクトルデータベースは、NEDOでの公開を終了しております（2021.6.9追記）

2.各種データベースの内容
(1)日射スペクトルデータベース
太陽光発電の発電出力を正確に推定するには、波長別の日射強度（日射スペクトル）が必要となります。これは、太陽光パネルの種類によって、発電しやすい波長が異なるためです。一方、日射スペクトルは、地域、季節や時刻、気象条件により大きく変化します。今後、太陽光発電出力の推定精度を向上するためには、通常の全天日射量だけでなく、日射スペクトルに着目したデータ整備が重要となってきます。
日射スペクトルデータベースは、2011～2012年までに全国5地点で観測した日射スペクトルをデータベースとして整備しました。観測地点は、日射気候区を考慮して、北海道長沼町、茨城県つくば市、岐阜県岐阜市、佐賀県鳥栖市、鹿児島県沖永良部島としています。また、日射スペクトルは水平面だけでなく、傾斜面での観測も行いました。

【日射スペクトルデータベースの画面表示例】

【日射スペクトルデータベースの収録内容】

収録地点	長沼、つくば、岐阜、鳥栖、沖永良部
収録要素	・気象データ ・傾斜面日射スペクトルデータ ・水平面日射スペクトルデータ
収録期間	2011年春ごろ（地点によって異なる）～2012年12月31日
表示ソフト	・水平面・傾斜面における日射スペクトルデータの表示 ・データのダウンロード機能等
公開方法	Web上で公開

(2)アジア標準日射データベース
アジア地域における日射データについて、国内外の資料を収集・整理し、日射量データベースとして整備しました。本データベースは、アジア地域における太陽光発電の導入検討に活用することができます。

【アジア標準日射データベースの画面表示例】

(3)日射量データベース（MONSOLA-11）
これまでのNEDOの「年間月別日射量データベース（MONSOLA-11）」に、各月および年平均・各季節における、最大値（赤色）・最小値（青色）を表示する機能を追加しました。これらは、各地点における日射量の年変動の目安として活用できます。

【日射量データベース（MONSOLA-11）の画面表示例】

  ◆NEDO「日射に関するデータベース」
http://www.nedo.go.jp/library/nissharyou.html
◆NEDOニュースリリース「太陽光発電で活用されているNEDO日射量データベースを拡充」（2016年3月30日発表）
http://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_100545.html

以上