CASES災害情報を配信する双方向通信型カーナビで・・・
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災害情報を配信する双方向通信型カーナビで安心・安全なカーライフを提案

本田技研工業株式会社グローバルテレマティクス部 アプリケーション開発室 益田 卓朗さん
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”守りたいのは車に乗っている人の暮らし。 日本気象協会の技術力とさまざまなデータが、防災に強いナビづくりに役立っています”

日本気象協会のサービスを導入したいきさつは?

益田さん  Hondaが双方向通信型カーナビを誕生させたのが2002年。最初は渋滞などの交通情報を提供するところからはじまりました。しかし交通情報は都心部のような渋滞が起こるところのユーザーには興味をもっていただけましたが、渋滞の少ない地方では交通情報だけでは満足いただけません。天気や災害の情報があれば地方のドライバーの役に立つのではと考え、2004年から徐々に気象情報も配信していくことになったんです。そこから日本気象協会とのお付き合いがはじまりました。

特に防災に力を入れるようになったのはいつごろからですか?

益田さん  2004年ごろから突発的に起こる局地的豪雨の被害が増え、テレビなどでも頻繁に取り上げられるようになりました。それまでも地震や津波などの災害の情報は配信していましたが、2006年以降、より力を入れるようになりましたね。
ただ、私たちは自動車メーカーであって災害の知見というのは持っていなかったので、防災の権威である京都大学の林春男教授の研究室へ毎週のように足を運び、情報の伝え方や見せ方をご教授いただきました。

具体的に日本気象協会のデータをどのように活用していますか?

益田さん  天気は最短1分単位で情報をいただいています。カーナビで目的地を設定して、最適なルートを配信すると、その経路の天気予報を出すことができます。
災害の情報の見せ方としては、運転の妨げにならないよう、画面に表示する字数や文字の大きさにもHonda独自のルールを設けつつ、しっかりと情報が伝わるように工夫しています。例えば雪が降っているとカーナビの地図画面に雪の表示を行い、降雪量に応じて雪表示の大きさを変化させます。また、局所的豪雨が予測される場合はナビ画面にどこで何時頃遭遇するか警告画面を割り込ませる対応を行うことで、すぐにどんな情報か理解することが可能になります。

ドライバーが瞬時に理解するための情報の伝え方は非常に大切ですね。

益田さん  2014年3月には北海道限定で試験的に実施していた「ホワイトアウト予測情報」が、第5回 国際自動車通信技術展(ATTT)のATTTアワード 防災ソリューション部門で優秀賞を受賞しました。これは日本気象協会が研究機関向けに出している「吹雪視程情報」のデータを活用したもので、吹雪の時にどのくらい先まで見えるかを予測したものです。吹雪が起こる時間や場所を予測し、視程(水平方向の見渡せる距離)が200m以下になると警告が出ます。

日本気象協会と他社との違いはどのようなところにあるのでしょうか。

益田さん  天気・気象情報ということであれば、サービスを提供している企業はほかにもありますが、先進的で科学的な根拠のあるデータを持っているというのは日本気象協会ならではだと思います。前述の「ホワイトアウト予測情報」で活用している研究機関向けの情報しかり、また東日本大震災の研究では、日本気象協会から「津波がどのように押し寄せてきたか」という詳細なデータを提供していただいたことにより、当時の車避難に関する研究が大きく進んでいます。このように気象にとどまらない技術力の高さに非常に感謝しています。Hondaのインターナビは災害情報に強いといわれていますが、他社にないサービスをお客様に提供できるのも日本気象協会の技術力のおかげです。

日本気象協会のサービスを利用した新たな計画があればお聞かせください。

益田さん  日本での知見や日本気象協会のデータを活用して、海外でもサービスが展開できればと思っています。また、新たな災害回避のための研究も検討したいと考えております。

* 取材時期 2014年4月
* 記載内容(役職、数値、固有名詞等)はすべて取材時の情報です。