日本気象協会、ソーシャルメディアデータなど多様なデータの融合解析を行うことで 災害予兆をとらえる可能性を示し表彰を受ける
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一般財団法人 日本気象協会(本社:東京都豊島区、会長:繩野 克彦、以下「日本気象協会」)はこれまで、東北大学と民間企業7社による共同研究体(名称:Domingo Project)に参画し、多様なビッグデータの融合解析による災害リスク把握や防災支援情報の研究開発を進めてきました。
このDomingo Projectでは、第13回 ITSシンポジウム(注1)にて研究成果を3編に分けて発表しました。このうち、日本気象協会が発表した 「多様なデータ融合による災害時のモビリティ支援に向けた災害リスク情報生成に関する研究(”Extraction of disaster risk information for mobility support just after a disaster based on fusion of various sensing data”)」が、内容の新規性や社会的有用性、ポスターのわかりやすさ、簡潔で明快な説明力や質疑における回答力が優れている論文に対して贈られる「ベストポスター賞」を受賞しました。
【受賞理由】
・プローブデータ(注2)と気象データ、ソーシャルメディアデータを融合させ、災害リスク情報を生成させる研究であり、
新規性・社会的有用性が高い。
・説明が簡潔で、明快、かつ質問への回答も適切であり、論文の内容への理解が深まった。
【本研究の背景】
・2011年に発生した東日本大震災以降、大規模自然災害への防災に加え「減災」の重要性の認識が高まる。
・避難インフラと交通管理策を事前に設計、評価するシステムと気象データや固定センサー、プローブ情報、ソーシャル
メディア等の多様なデータを融合解析し、被災と交通状況をリアルタイムにモニタリングし、情報提供するシステムの
2つのシステム開発を東北大学と民間企業7社による共同研究体(Domingo Project)にて着手。
http://www.cps-project.sakura.ne.jp/domingo-web/
【研究対象とした災害事例】
・2014年2月に発生した山梨県大雪災害
【解析に利用したデータ】
・気象データ
・交通データ(プローブデータ)
・ソーシャルメディアデータ(Twitter)
【データ融合による災害リスクの把握】
・強い降雪が続く2014年2月14日22時以降の時間帯では,著しい低速走行に加え,立ち往生を示す平均車速0km/ hの
メッシュ(注3)が点在し,道路交通が次第にマヒ状況に陥ったことが読み取れる。
・一般道路では,プローブデータの少ない時間帯にも道路の利用不可に関するツイートが多く発信され、プローブデータと
Twitterデータからクラス分けした潜在的交通状態を評価し、細街路の交通障害状況を推定した。
・位置情報を持たないソーシャルメディアデータの画像情報をツイート本文より位置情報を分析して表示し、被災した箇所
を推定した。
【今後の可能性】
・大雪事例に限らず同様の事例解析を行うことで大規模自然災害を想定したハザードマップの作成や災害対応マニュアルへの
活用が考えられる。
・別途研究開発を行っている歩行者を含めた交通流シミュレーションと組み合わせることで、緊急輸送路の検討や災害時の
避難行動を最適化する方策の検討が可能になる。
・予測値を持つ気象データを取り入れることで災害リスクの予見性が高め、適切な経路選択や避難経路支援への活用が可能
となる。
・今後も多様なデータの融合解析による災害リスクの評価技術を開発し、防災・減災に有用な情報システム構築に役立てたい
と考えている。
以上
(注1)主催:特定非営利活動法人 ITS Japan / 首都大学東京
開催詳細:http://www.its-jp.org/event/its_symposium/its_symposium13/
(注2)Global Positioning System(GPS、全地球測位システム)を搭載した自動車から得られる移動軌跡情報。緯度経度、
車両ID、時刻などの情報があり、カーナビゲーションや交通情報などで活用されている
(注3)緯度・経度に基づき地域を隙間なく網の目(Mesh)の区域に分けた統計データのこと
※ 製品名、サービス名などは一般に各社の商標または登録商標です。
※「Twitter」は、Twitter,Inc.の商標または登録商標です。
※ 内容は発表日現在のものです。予告なしに変更されることがあります。