日本気象協会、日射量高精度予測技術開発に関するNEDO研究開発事業に採択
~調整力確保にかかるコスト低減のため、日射量予測技術開発の新たな取り組みを開始~
Press Release
一般財団法人 日本気象協会(本社:東京都豊島区、理事長:渡邊 一洋、以下「日本気象協会」)は、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下「NEDO」)が公募した「太陽光発電導入拡大等技術開発事業」のうち、「発電設備の長期安定電源化技術開発/発電量高度予測に向けた日射量高精度予測技術開発」(以下「本研究開発」)へ応募し、代表委託先として採択されました。本研究開発は、国立研究開発法人 産業技術総合研究所、学校法人 東京理科大学、一般財団法人 電力中央研究所と共同で実施します。
本研究開発では、前日と当日に発表される日射量予測の高精度化に取り組むことで、発電事業者の電力系統の安定化や需給バランスの調整にかかるコスト削減に貢献します。実施期間は2025年度から2029年度までを予定しています。
◆本研究開発の背景と概要
太陽光発電をはじめとする自然変動電源(注1)は、出力が気象条件に大きく左右されるため、安定的な電力供給の維持には、発電出力の予測精度向上と出力変動に対応する調整力の確保が不可欠です。再生可能エネルギーの出力予測誤差(主に日射量予測誤差に起因)に対応する調整力「三次調整力②(注2)」は、需給調整市場(注3)で取り扱われる商品であり、その調達費用は大きな社会的コストとなっています。これらの費用を削減するためには、日射量予測のさらなる高精度化が不可欠です。
これまでの日射量予測技術の開発では、調整力の確保量を抑えるために、過去の最大誤差に対応する「大外し誤差」の低減が主な課題とされてきました。近年では、この「大外し誤差」に加えて「平均的な誤差」の低減による調整力の効率的な調達についても検討が進められています。さらに、将来的に導入が検討されている同時市場(注4)では、前日夕方から当日朝の間に随時更新される最新の予測情報によって電源調達の見直しが想定されることから、より当日に近い時間帯での高精度な日射量予測が必要になります。
そこで、本研究開発では、前日と当日に発表される日射量予測を対象に、「大外し誤差」と「平均的な誤差」の両方の低減を目指した予測技術の開発を行います。日本気象協会は本研究開発にて、主に前日・当日予測の基盤モデルの開発を担当します。本研究開発により、太陽光発電の主力電源化と電力の安定供給の両立が可能となるだけでなく、社会的コストの削減効果も大きく期待されます。日本気象協会は、本研究開発を通じて、太陽光発電の導入拡大、電力系統の安定化、そして社会的コストの削減に貢献してまいります。
◆研究開発体制
事業者 | |
代表委託先 | 一般財団法人 日本気象協会 |
共同実施者 | 国立研究開発法人 産業技術総合研究所 学校法人 東京理科大学 一般財団法人 電力中央研究所 |
◆関連リンク
2025年度「太陽光発電導入拡大等技術開発事業」に係る実施体制の決定について
https://www.nedo.go.jp/koubo/FF3_100429.html
◆日本気象協会 日射量予測サービス
・日射量・太陽光発電出力予測 SYNFOS-solar
https://www.jwa.or.jp/service/energy-management/solar-power-05/
・ひまわり8・9号による日射量予測サービス SOLASAT 9-Nowcast
https://www.jwa.or.jp/service/energy-management/solar-power-12/
(注1):自然変動電源
太陽光発電や風力発電のように、気象条件によって出力が変動する再生可能エネルギー源を指す。
(注2):三次調整力②
需給調整市場における前日取引の商品で、再生可能エネルギーの予測誤差などに対応するための調整力。主に前日段階で確保され、30分単位での柔軟な運用が可能。
(注3):需給調整市場
電力の「需要」と「供給」のバランスを保つために、調整力(発電量や需要の変化に対応できる能力)を取引する市場。
2021年から段階的に運用が始まり、一次・二次・三次調整力など、用途に応じた複数の商品が存在する。
(注4):同時市場
発電・需要・調整力をリアルタイムで一括して取引・調整する市場の構想。将来的には、複数の電力市場を統合し、効率的な電力運用を目指す。
以上