「熱中症ゼロへ」プロジェクト 2025年の熱中症にまつわるニュース ~全国的に記録的猛暑 熱中症による救急搬送者数は初の10万人超え~
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一般財団法人 日本気象協会(本社:東京都豊島区、理事長:渡邊 一洋、以下「日本気象協会」)が推進する「熱中症ゼロへ」プロジェクト(以下、本プロジェクト)は、2025年の「熱中症にまつわるニュース」を発表します。

【2025年の熱中症にまつわる振り返り】
今年の夏(6月から8月)の平均気温は1898年の統計開始以降で最も高く、記録的な高温となりました。平均気温の偏差は+2.36℃となり、これまで最も高かった過去2年(2023年と2024年)の+1.76℃を大幅に上回り、3年連続で最も高い値を記録しました。最高気温40℃以上を観測した地点の積算は30地点と過去最多、6月から8月に全国のアメダス地点で観測された猛暑日(最高気温35℃以上)地点の積算は9,385地点で、2010年以降で最多となりました。
2025年8月5日には群馬県伊勢崎市で最高気温41.8℃を記録し、国内の歴代最高気温を更新しました。その他にも、これまでの最高気温を更新した地点が相次ぎました。年間の猛暑日日数は、東京都心、大阪市、京都市などで過去最多を記録し、大分県日田市では62日と、国内最多タイ記録となりました。
2025年は6月後半から猛暑日が続出し、9月にかけて厳しい残暑が続いたため、全国の熱中症による救急搬送者数※(5月から9月)は100,510人となり、昨年より2,932人増加。2008年の調査開始以降で初めて10万人を超え、過去最多となりました。特に、月平均気温が過去最高となった6月の救急搬送者数は17,229人で、月別でも過去最多を記録しました。なお、2025年6月1日からは職場における熱中症対策を強化するために、改正労働安全衛生規則が施行されました。熱中症の危険度が高い環境にいるのかを確認し、熱中症の重篤化を防ぐために迅速かつ適切な対処が求められています。
※参照:総務省消防庁(https://www.fdma.go.jp/disaster/heatstroke/items/r7/heatstroke_nenpou_r7.pdf)

【2025年5月~9月の気象傾向】

防災士:久保智子)
5月の気温は、北日本で平年より高く、東日本や西日本、沖縄・奄美は平年並みでした。6月中旬以降、偏西風が平年より北を流れ、高気圧の張り出しが強まった影響で、東北を除いて記録的に早い6月中の梅雨明けとなりました。8月にかけては、上空のチベット高気圧と下層の太平洋高気圧の張り出しがともに強まり、日本付近で重なったことで、猛烈な暑さが続きました。6月と7月の気温は、北日本や東日本、西日本で過去最も高く、9月の気温も全国的に平年よりかなり高くなりました。降水量は、7月は日本海側を中心に平年よりかなり少なく、北陸では7月として観測史上1位の少雨となりました。一方、8月から9月にかけては台風や前線の影響で、九州や北海道などで線状降水帯が発生し、記録的な大雨に見舞われました。
■「熱中症ゼロへ」プロジェクトとは
熱中症にかかる方を減らし、亡くなってしまう方をゼロにすることを目指して、一般財団法人 日本気象協会が推進するプロジェクトです。2013年夏のプロジェクト発足以来、熱中症の発生に大きな影響を与える気象情報の発信を核に、熱中症に関する正しい知識と対策をより多くの方に知ってもらう活動を展開してきました。活動13年目となる2025年は「熱中症は未然に防げる気象災害」をテーマに、熱中症の予防啓発活動を実践しました。激甚化する暑さや熱中症への防災意識を高め、さまざまな働き方や生活に合わせて、暑さに備えるための情報発信を強化しました。
■一般財団法人 日本気象協会について
日本気象協会は、民間気象コンサルティング企業の先駆けとして1950年に誕生しました。防災・減災や洋上風力発電の分野以外でも、気象データを活用した商品需要予測や電力需要予測、気候変動対策などのコンサルティングを通じ、気象データのビジネスでの利活用を提案しつづけています。所属する気象予報士の数は370人を超え、日本最大級の規模を誇る気象の専門家集団として企業のESG投資やSDGs活動への支援も積極的に展開中です。
・「熱中症ゼロへ」のロゴマークは日本気象協会の登録商標です。
・本リリースの情報を使用される際は 出典:日本気象協会推進「熱中症ゼロへ」プロジェクト と記載してください。
PDFダウンロード:【熱中症ゼロへ】2025年夏の熱中症にまつわるニュース_