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砂防学会より「令和8年度 砂防学会賞(技術賞)」を受賞しました
2026.05.26
お知らせ
一般財団法人 日本気象協会 (本社:東京都豊島区、理事長:渡邊 一洋、以下「日本気象協会」)は、このたび「令和8年度 砂防学会賞(技術賞)」を受賞しましたのでお知らせします。なお、この受賞は国土交通省近畿地方整備局紀伊山系砂防事務所、株式会社エイト日本技術開発とともに実施した研究「予測雨量のダウンスケーリングとタンクモデルによる天然ダムの水位予測精度の向上」(以下「本研究」)の業績に対するものです。
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砂防学会賞(技術賞)の賞状
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表彰式後の研究発表の様子
(発表者:中部支社 坂井紀之)
受賞内容
賞の名称
令和8年度 砂防学会賞(技術賞)
受賞した研究
坂井 紀之ほか(2024):「予測雨量のダウンスケーリングとタンクモデルによる天然ダムの水位予測精度の向上」砂防学会誌,Vo.76,No.5,p.15-24
日本気象協会の受賞者
坂井 紀之(中部支社 支社長)
内田 良始(関西支社 防災事業課 課長)
宗近 夏美(関西支社 防災事業課 技師)
川本 一樹(関西支社 防災事業課 技師)
北野 亮輔(関西支社 防災事業課)
引地 慶(関西支社 防災事業課)
本研究の概要
公益社団法人 砂防学会の砂防学会賞(技術賞)は、具体的な現場技術などに関する画期的な技術開発やプロジェクトの実施により砂防技術の発展に顕著な貢献をした個人あるいは団体を表彰するものです。
今回表彰対象となった本研究は、平成23年(2011年)9月の台風12号の大雨による土砂崩れによって奈良県十津川村長殿地区に形成された天然ダムを対象に、ダムの下流域における住民に対し適時的確に警戒避難を呼びかけるために、降雨予測およびダムの水位予測の高度化を図ったものです。本研究では、天然ダムの越流侵食リスクをより正確に把握するため、以下の2点の技術開発に重点を置きました。
① AIを用いた降雨予測の高解像度化(統計的ダウンスケーリング)
本研究では過去10年の解析雨量データを用いてAI(深層学習)による解析を行い、空間・時間解像度の粗い予測雨量データからより細かなデータへと変換するダウンスケーリングモデルを構築しました。構築したモデルにより、気象庁MSM・GSMガイダンス(5km・20km格子,3時間雨量)から、地形の影響を考慮した1km格子,1時間間隔の予測雨量を算出できるようにしました。これにより、課題であった予測雨量の過少傾向を大幅に改善するとともに、1時間あたりの予測雨量の再現性も向上しました。
② 3段タンクモデルによる天然ダム流入量・水位予測の高精度化
天然ダムへの流入量や水位をより正確に予測するため、本研究は、降雨に対する流出の過程を段階的に表現できる「3段タンクモデル」を採用しました。従来用いられてきた手法では、ダム流入量を予測するためのパラメータが少なく、異なる降雨事象に対して予測精度が十分に得られない課題がありました。そこで本研究では、より多くのパラメータを用いる「3段タンクモデル」を用い、過去の観測結果に基づいて流入量や水位の変化が実態に近くなるようにパラメータを調整しました。その結果、特に流入量が急激に増加する場面やピーク前後の挙動について、予測精度の向上が図られました。
本研究の社会的意義
本研究で構築した技術は、天然ダムの越流侵食リスクの早期把握、下流住民への避難判断の高度化、現場対応の迅速化に寄与するものであり、近年激甚化する気象災害への対策として極めて重要です。また、AI技術と水文モデルを組み合わせた本手法は、全国の小流域における洪水・土砂災害リスク評価にも応用可能であり、防災分野における新たな技術的基盤となることが期待されます。
日本気象協会から
日本気象協会では、気象・水文・防災の各分野において、最新の科学的知見と先端技術を融合し、社会の安全・安心に資する研究開発を継続的に推進しています。近年、気候変動の影響により、豪雨災害や土砂災害は全国で頻発・激甚化しています。特に、短時間強雨や線状降水帯の発生により、小流域で急激に水位が上昇するケースが増えており、従来の予測手法だけでは十分に対応できない場面が生じています。
こうした状況の中で、今回受賞した研究は、小流域における降雨・流出の予測精度をどこまで高められるかという実務上の大きな課題に真正面から取り組んだものです。AI(深層学習)による降雨の高解像度化、3段タンクモデルと最適化手法による流入量・水位予測の高度化は、いずれも現場のニーズに根ざした技術であり、行政機関が行う天然ダム監視や避難判断の高度化に直結する成果です。
本研究は、国土交通省近畿地方整備局紀伊山系砂防事務所、株式会社エイト日本技術開発との緊密な連携のもと、現場観測データ・水文解析・気象予測技術を総合的に組み合わせて進められました。このような産官学の協働こそが、実効性の高い防災技術の創出につながると考えています。
日本気象協会は、今回の受賞を励みに、今後もAI技術、数値予報モデル、水文モデル、観測技術の融合をさらに進め、地域の防災力向上に資する研究開発を推進してまいります。また、気象災害が激甚化する中で、「科学的根拠に基づく防災・減災」を社会に広く提供することは、日本気象協会の重要な使命であると考えています。これからも、行政機関、研究機関、民間企業、地域住民の皆さまと連携しながら、安心・安全で持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
中部支社 支社長 坂井紀之
以上
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