「日射スペクトルデータベース」の収録期間を約4年半に拡張 ~太陽光の発電量評価や太陽電池の研究開発に活用できます~
News
一般財団法人 日本気象協会(本社:東京都豊島区、会長:石川 裕己、以下「日本気象協会」)は、2016年3月30日から国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(本部:神奈川県川崎市、理事長:石塚 博昭、以下「NEDO」)にて公開されている「日射スペクトル※1データベース」の収録期間を従来の約1年半から、約4年半分に拡張しました。
なお、「日射スペクトルデータベース」はNEDOからの委託事業で、日本気象協会が整備し、NEDOから無料で一般公開されているデータベースです。拡張版は2018年 6月1日(金)から公開されています。
◇公開ページ:http://www.nedo.go.jp/library/nissharyou.html
今回の拡張により複数年の日射スペクトルが参照可能になることで、年ごとの違いも考慮に入れた日本の日射スペクトルの特徴がわかります。この結果、太陽光発電事業者は太陽電池の分光感度※2を考慮した高精度な発電量評価ができるようになります。また、太陽電池メーカーは、日射スペクトルを考慮した高効率な太陽電池の研究開発に活用できます。
※1 日射スペクトル
波長別の日射強度分布を示したもの。
※2 太陽電池の分光感度
太陽電池の特定波長の入射光強度と出力電流値の比。
![]() |
【日射スペクトルデータベースの画面表示例(2015年7月22日の例)】 |
1.概要
日本気象協会は、NEDOの委託事業で、「日射スペクトルデータベース」のデータ収録期間を拡張し、同時にデータの信頼度を識別する要素(リマーク値)をより使いやすく整備しました。今回拡張した「日射スペクトルデータベース」は、すでに公開されている「日射量データベース」および「アジア標準日射量データベース」と合わせて、NEDOから無料で公開され、どなたでもデータの閲覧・ダウンロードが可能です。
2.日射スペクトルデータベースについて
太陽光発電の発電量を正確に推定するには、日射スペクトルが必要です。これは、太陽光パネルの種類によって、発電しやすい日射の波長が異なるためです。一方、日射スペクトルは、地域、季節、時刻、気象条件により大きく変化します。今後、太陽光発電量の推定精度を向上するには、全天日射量だけでなく、日射スペクトルデータの整備が重要となります。
「日射スペクトルデータベース」は、国内の5地点の傾斜面と水平面での日射スペクトルデータと気温や降水量などの気象データをデータベース化しています。データ整備対象の5地点は、北海道長沼町、茨城県つくば市、岐阜県岐阜市、佐賀県鳥栖市、鹿児島県沖永良部島です。このデータベースは、太陽光発電事業の将来の発電量評価や太陽電池の性能評価を行う際などに利用されています。
3.データベースの拡張内容
これまでの「日射スペクトルデータベース」の収録期間は2011年春頃※3から2012年12月末までの約1年半分でした。今回、2013年1月から2015年12月末までの3年分のデータを追加したことにより、日射スペクトルを考慮した太陽光発電量の特徴をより正確に把握できるようになります。また、データを再精査し、日射スペクトルの形状が明らかに特異なデータ等を参考値として識別可能なリマーク値(データの信頼度を示す値)の要素をより使いやすく整備しています。
※3 収録開始時期は地点により異なります。
![]() |
【日射スペクトルデータファイルの一例2014年6月1日の例)】 |
◇NEDO「日射に関するデータベース」
http://www.nedo.go.jp/library/nissharyou.html
◇NEDOニュースリリース:新たに機能拡充した「日射スペクトルデータベース」を公開
http://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_100960.html
以上
PDFダウンロード:【日本気象協会からのお知らせ】日射スペクトルDBを拡張_