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日本気象協会、茨城県常総市で避難確保計画策定支援の実証実験結果を報告 要配慮者利用施設における計画作成の現状課題を関係者で共有
Press Release

一般財団法人 日本気象協会(本社:東京都豊島区、理事長:長田 太、以下「日本気象協会」)は、2019年 7月25日(木)、茨城県の常総市役所にて、常総市内の要配慮者利用施設〔注1〕(対象6施設)で実施した「避難確保計画策定支援」の実証実験(2019年4月~7月)に関する報告会を、常総市とともに開催しました。
要配慮者利用施設の避難確保計画の策定は、洪水や土砂災害に備えるために、2017年の法改正で義務化されましたが、その策定率は全国的に2割未満(2018年3月末時点)です。報告会では、日本気象協会と常総市より、実証実験の対象施設が抱える災害リスクや各施設の特性を考慮した計画策定について紹介した後、要配慮者利用施設の担当職員の方を交えて、避難確保計画策定の現状課題などを話し合いました。

2017年6月に、「水防法」および「土砂災害防止法(正式名称:土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律)」が改正され、各市町村の地域防災計画で定められた洪水浸水想定区域、土砂災害警戒区域内に立地する要配慮者利用施設の所有者や管理者には、「避難確保計画の作成」「市町村長への報告」「避難訓練実施」が義務づけられました。しかし、国土交通省によると、全国における避難確保計画の作成状況は2018年3月末時点で2割未満。常総市においても避難確保計画を提出した施設は、全88施設中、15施設にとどまっています。
今回の実証実験は、義務化された項目のうち、要配慮者利用施設が実際に「避難確保計画作成」を行う際の課題点を明らかにすることを目的に、施設管理者の方が自ら主体的に計画を作成するための避難支援サービスとして実施しました。

報告会には、日本気象協会と常総市の職員、実証実験の対象となった要配慮者利用施設の管理者の方など20名が出席。本実証実験を担当した日本気象協会 防災ソリューション事業部 副部長 山下啓一より、実証実験の内容と、「避難確保計画策定ツール」 〔注2〕によって、いずれの対象施設も、概ね1時間半以内に避難確保計画書を作成することができた成果などを報告しました。

常総市における、要配慮者利用施設向け避難確保計画策定支援の実証実験の報告会の様子(7月25日、常総市役所)
常総市における、要配慮者利用施設向け避難確保計画策定支援の実証実験の報告会の様子(7月25日、常総市役所)

実証実験で避難確保計画の作成前に各施設へ行ったヒアリングでは、要配慮者利用施設の管理者が、
・「自分の施設が抱えるリスクの確認方法や、計画書のつくり方がわからない」
・「(国土交通省のガイドラインに基づいて)市で公開している避難確保計画のひな型は使いにくい」
といった課題や認識を抱えていることがあらためて浮かび上がりました。

また、2015年9月の鬼怒川氾濫による浸水被害状況、都市部に比べて施設と指定避難所が離れている地域環境、「入院患者を抱えているため避難判断が難しい」、「自治体や地元周辺との交流が活発でない」、「防災無線が聞こえない」など、各施設が個別に抱える事情を踏まえた計画策定が必要であることもわかりました。

報告に続くディスカッションでは、要配慮者利用施設の管理者の方から、「各施設の実情に合わせて計画書のひな型がカスタマイズされればもっと計画をつくりやすい」、「今回のように実際に計画を作成しながら説明を聞く進め方はよかった」といった意見や感想が寄せられ、避難確保計画策定に関する現状課題を共有しました。

実証実験の詳細は次の通りです。なお、日本気象協会が取り組む、要配慮者利用施設における避難確保計画策定支援の実証実験は、神奈川県川崎市に続いて2例目になります。

【茨城県常総市における実証実験について】
■実証実験の内容
・要配慮者利用施設の選定
・避難確保計画の策定に必要な施設側への現状ならびに課題のヒアリング
・自治体側の対応状況、課題のヒアリング
・日本気象協会と、ソフトウェア・システム開発の株式会社エヴァーグリーン(神奈川県横浜市)が用意する「避難確保計画策定ツール」を利用し、実際に避難確保計画を策定
・完成した避難確保計画を対象地域の防災担当者へ確認いただき、過不足などの意見募集

避難確保計画策定ツールの使用イメージ
避難確保計画策定ツールの使用イメージ

■常総市指定 対象施設の内訳 (いずれも常総市内)
・病院 2施設
・高齢者入所施設 1施設
・高齢者通所施設 2施設
・障害児通所施設 1施設

本実証実験は、「気象のコンサルタント」を多く有する日本気象協会が、株式会社エヴァーグリーン、建設コンサルタントの株式会社建設技術研究所の協力を受け、実施しました。実証実験を踏まえ、今後は、避難確保計画策定ツールの正式リリースに向けた検討・改良を進めていく予定です。日本気象協会は、地域防災支援につながる避難確保計画策定の推進に貢献し、「逃げ遅れゼロ」の実現を目指していきます。

〔注1〕要配慮者利用施設:
社会福祉施設、学校、医療施設その他の主として防災上の配慮を要する方々が利用する施設
〔注2〕「避難確保計画策定ツール」:
日本気象協会と株式会社エヴァーグリーンが共同で開発。問答形式での入力、経路図等のデータをアップロードすることで、行政から公開される避難確保計画の手引きに準拠した自施設における避難確保計画を簡易に作成でき、計画策定を支援する。

以上

PDFダウンロード:【日本気象協会】常総市にて避難確保計画策定報告会開催_

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