「熱中症ゼロへ」プロジェクト発表 2021年の熱中症にまつわる4大ニュース ~熱中症による全国の救急搬送者数 7月は昨年の約2.5倍に~
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一般財団法人 日本気象協会(本社:東京都豊島区、理事長:長田 太、以下「日本気象協会」)が推進する「熱中症ゼロへ」プロジェクトは、2021年の「熱中症にまつわる4大ニュース」を発表します。

【2021年の熱中症にまつわる振り返り】
全国の熱中症による救急搬送者数は、5月から9月までの合計で、47,877人となりました。7月は21,372人(昨年より12,984人増)で、低温だった昨年7月の約2.5倍でした。7月中旬から下旬にかけて各地で梅雨明けし、梅雨明け後の救急搬送者数は、梅雨明け前の約1.8倍に増加しました。7月中旬から8月上旬にかけて、全国的に厳しい暑さとなりました。8月3日から8日にかけて、全国のアメダスの100地点以上で猛暑日(日最高気温が35℃以上の日)が続き、8日には、多治見(岐阜県)で40.6℃を観測しました。特に、北海道は記録的な暑さに見舞われ、猛暑日の日数は、札幌で3日、旭川で10日と、ともに統計開始以来最多となりました。札幌で猛暑日が観測されたのは、21年ぶりです。
今年から、全国で、熱中症予防のための新たな情報として「熱中症警戒アラート」の運用が開始されました。この情報は、熱中症の危険性が極めて高い暑熱環境が予測される場合に、危険な暑さへの注意を呼びかけ、効果的な熱中症予防行動を促すことを目的として提供される情報です。「熱中症警戒アラート」は、気温や湿度、輻射熱(※)を考慮した暑さ指数(WBGT)を基準に発表されます。気温の高い日はもちろんですが、湿度の高い日も熱中症の危険性が高まります。来年の夏も、このような情報を活用して、早めの熱中症対策を心がけてください。
※輻射熱(ふくしゃねつ):日差しを浴びた時に受ける熱や、地面、建物、人体などから出ている熱。

【2021年5月~9月の気象傾向】
(日本気象協会所属 気象予報士/防災士:久保智子)

5月の気温は、北日本から西日本で平年並みでしたが、沖縄・奄美では記録的な高温でした。6月は全国的に晴れて、南から暖かい空気が流れ込んだため、気温は全国的に平年より高く、日照時間が多くなった北日本でかなり高くなりました。7月上旬は梅雨前線や湿った空気の影響で、東日本や西日本で大雨となった所がありましたが、7月中旬から8月上旬にかけては、北日本を中心に高気圧に覆われて晴れた日が多く、厳しい暑さが続きました。特に、北海道と東北では猛烈な暑さに見舞われました。8月中旬は、本州付近に前線が停滞し、湿った空気も流れ込んだため、西日本では記録的な大雨となりました。日照時間はかなり少なく、8月中旬としては統計開始以来1位の低温となりました。9月の気温は、沖縄・奄美で平年よりかなり高く、西日本で高くなりましたが、北日本と東日本は平年並みでした。
■「熱中症ゼロへ」プロジェクトとは
熱中症にかかる方を減らし、亡くなってしまう方をゼロにすることを目指して、一般財団法人 日本気象協会が推進するプロジェクトです。2013年夏のプロジェクト発足以来、熱中症の発生に大きな影響を与える気象情報の発信を核に、熱中症に関する正しい知識と対策をより多くの方に知ってもらう活動を展開してきました。活動9年目となった2021年は、「新しい生活様式下での熱中症の予防啓発」をテーマに活動を実践しました。
■一般財団法人 日本気象協会について
1950年に誕生した日本気象協会は、天気予報に代表される気象予測事業に加え、再生可能エネルギー、環境アセスメント、大気解析事業、防災・減災・安全管理に関する事業など、気象に関するコンサルティング事業を通じ、公共に資する企業活動を展開しています。
・「熱中症ゼロへ」のロゴマークは日本気象協会の登録商標です。
PDFダウンロード:INFORMATION【熱中症ゼロへ】2021年の熱中症にまつわる4大ニュース_