防災レポート2022 Vol.2 前線に伴う今後の大雨・災害の見通し(第2報)
Report
【2022年8月12日追記あり】
日本気象協会は、前線に伴う今後の大雨と災害の見通し(8月10日12時時点)に関する情報を、防災レポート(第2報)として発表します。
ポイント
・東北地方北部や北海道南部で記録的な大雨。8月10日(水)9時までの48時間雨量が400mmを超え、これまでの観測の最大値の1.5倍を超えているところがある。
・東北地方北部や北海道南部では、前線の影響で断続的に降水量が多くなる見通し。12日(金)にはこれまでの雨量も積算した72時間雨量が600mm前後に達し、これまでの観測の最大値の1.5倍を超える記録的な大雨となるおそれがある。
・すでに記録的な大雨となっている青森県、秋田県や北海道渡島地方では、さらに雨量が増えるため、土砂災害が発生する可能性が高まっている。
前線が停滞している影響で、昨日9日(火)から東北地方北部を中心に大雨となっていますが、これから12日(金)にかけて、引き続き北日本に停滞する見込みです。前線に向かって、南西から暖かく湿った空気が流れ込む影響で、北海道南部や東北地方北部を中心に、断続的に雨量が多くなる見通しです。
日本気象協会独自の「JWAアンサンブル雨量予測」では、明後日12日(金)にはこれまでに降った雨も累積した72時間雨量が、東北地方北部の多いところで600mm前後に達する予測となっています(図1)。この値は、これまでに観測された雨量の最大値との比(既往最大比)では150%超に相当します。日本気象協会と静岡大学牛山素行教授との共同研究の結果(※1)によると、既往最大比150%を超えると犠牲者の発生数が急増する可能性があり、災害発生危険度が極めて高くなるおそれがあることを示していると言えます。

青森県、秋田県では、8月8日(月)9時から10日(水)9時までの48時間雨量が400mmを超えており、既往最大比が150%を超えています。(図2)。青森県、秋田県や北海道渡島地方では、昨日からの大雨で地盤が緩んでいるため、時間雨量30mm前後の雨が降っただけでも土砂災害が発生する可能性があります。これらの地域では、河川の氾濫や低地の浸水だけでなく、土砂災害にも厳重な警戒が必要です。災害の危険性があるところにお住まいの方は、雨が強くなってからではなく、早めの避難を心掛けるようにしてください。
最新の気象情報を確認し、厳重な警戒をしてください。

※1 本間基寛,牛山素行:豪雨災害における犠牲者数の推定方法に関する研究,自然災害科学,Vol. 40,特別号,pp. 157-174,2021.
本情報は2022 年8 月10日 9時時点の予測資料から作成したものです。最新の気象情報をご確認ください。
※日本気象協会の天気予報専門メディア「tenki.jp」では、「警報・注意報」「地震情報」「津波情報」「火山情報」「台風情報」などの防災情報(https://tenki.jp/) を24時間365日提供しています。
![]() | 片山 勝之(かたやま まさゆき) 一般財団法人 日本気象協会 社会・防災事業部 防災マネジメント課 グループリーダー 大阪生 東京大学理学部卒業,東京大学大学院理学系研究科修士課程修了 技術士(建設部門:河川、砂防及び海岸・海洋) 気象予報士 |
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