防災レポート2022 Vol.3 前線と台風に伴う今後の大雨・災害の見通し(第3報)
Report
日本気象協会は、前線と台風に伴う今後の大雨と災害の見通し(8月12日12時時点)に関する情報を、防災レポート(第3報)として発表します。
ポイント
・東北地方北部では8月9日(火)から雨が断続的に続き、12日(金)9時までの72時間雨量が400mmを超え、これまでの観測の最大値の1.5倍を超える記録的な大雨となっている。
・東北地方の日本海側では15日(月)にかけて引き続き大雨となるおそれがある。
・台風8号の影響で、13日(土)は静岡県を中心に雨量が多くなる見通し。
日本海から北海道へ延びる前線が停滞している影響で、9日(火)から東北地方北部を中心に大雨が続いています。前線は14日(日)にかけて北日本に停滞する見込みで、北日本では引き続き大雨への警戒が必要です。また、日本の南海上にある台風8号は、13日(土)には東海・関東甲信地方へ接近する見込みです。
日本気象協会独自の「JWAアンサンブル雨量予測」では、本日12日(金)から15日(月)にかけての72時間雨量が秋田県、新潟県、静岡県の多いところで400mm前後に達するおそれがあります。雨量が多くなる日は、秋田県では12日(金)~13日(土)、静岡県では13日(土)、新潟県では14日(日)~15日(月)と予想されています。秋田県や新潟県では、先週の8月2日(火)からの大雨で既に土壌の水分量が多くなっていること、またこれらの地域は普段は雨が多く降らない地域でもあることから、少しの大雨でも災害が発生しやすい状況となっています。予想される雨量となった場合、これまでに観測された雨量の最大値との比(既往最大比)では130%~150%に達し、災害発生危険度が極めて高くなるおそれがあります(図1)。引き続き、厳重に警戒してください。
青森県、秋田県では、8月9日(火)9時から12日(金)9時までの72時間雨量が400mmを超えており、広い範囲で既往最大比が150%を超えています(図2)。また青森県、秋田県では、これまでの大雨で地盤が緩んでいるため、時間雨量30mm前後の雨が降っただけでも土砂災害が発生する可能性があります。これらの地域では、河川の氾濫や低地の浸水だけでなく、土砂災害にも厳重な警戒が必要です。災害の危険性があるところにお住まいの方は、雨が強くなってからではなく、早めの避難を心掛けるようにしてください。
なお来週15日(月)以降も新たな前線が発生し、日本付近に停滞する見込みで、北日本から西日本にかけて雨量が多くなる可能性があります。最新の気象情報を確認し、厳重な警戒をしてください。
本情報は2022 年8 月12 日 7 時時点の予測資料から作成したものです。最新の気象情報をご確認ください。
※日本気象協会の天気予報専門メディア「tenki.jp」では、「警報・注意報」「地震情報」「津波情報」「火山情報」「台風情報」などの防災情報(https://tenki.jp/) を24時間365日提供しています。
本間 基寛(ほんま もとひろ) 一般財団法人 日本気象協会 社会・防災事業部 担当部長 北海道生 北海道大学理学部卒業,東京大学大学院理学系研究科修士課程修了 京都大学防災研究所特任助教(非常勤) 静岡大学防災総合センター客員准教授(非常勤) 博士(工学) 技術士(建設部門:河川、砂防及び海岸・海洋) 気象予報士 |
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