日本気象協会 2023年 春の花粉飛散予測(第2報)
~2023年春の飛散量は、前シーズンを大幅に超えるところが多い~
Press Release
※2022年12月9日追記:写真の地点名に誤りがあったため正しい情報に訂正しました。
◆2023年 春の花粉飛散予測のポイント
- 飛散量は九州~東北で前シーズンより多く、特に四国・近畿・東海・関東甲信で非常に多い予想
- 飛散開始は例年並み。九州から関東で2月上旬からスタート
- 現地調査の結果、スギ花芽の着花量が多い
一般財団法人 日本気象協会(本社:東京都豊島区、理事長:長田 太)は、2022年12月8日(木)に全国・都道府県別の2023年春の花粉(スギ・ヒノキ、北海道はシラカバ)飛散予測(第2報)を発表します。また、詳細な情報を、「2023年春の花粉総飛散量 予測資料」として販売します。
1.2023年シーズンの花粉飛散傾向
【例年比】
2023年春の花粉飛散予測は、九州では例年並み、四国と中国、近畿、北陸ではやや多くなるでしょう。東海では多く、関東甲信と東北では非常に多く飛ぶ見込みです。北海道は例年よりやや少ないでしょう。
【前シーズン比】
九州から東北にかけて前シーズンより飛散量は多く、特に四国、近畿、東海、関東甲信では非常に多く飛ぶ見込みです。前シーズンは症状が弱かった方も万全な花粉症対策が必要になりそうです。
2.各地域の花粉飛散傾向
3.スギ花粉の飛散開始時期
スギ花粉の飛散開始※は、九州から東北まで例年並みとなるでしょう。2月上旬に九州や四国、中国、関東の一部から花粉シーズンがスタートする見込みです。
2023年の1月から2月にかけての平均気温は、西日本と東日本で平年並みか低く、北日本ではほぼ平年並みでしょう。この時期らしい寒さにより休眠打破が順調に行われて、スギ花粉の飛散開始は各地で例年並みとなる見通しです。
スギ花粉は、飛散開始と認められる前からわずかな量が飛び始めます。2月上旬に飛散開始が予測される地域では、1月のうちから早めに花粉対策を始めるとよいでしょう。
4.飛散量の予測根拠
花粉の飛散量は前年夏の気象条件が大きく影響します。気温が高く、日照時間が多く、雨の少ない夏は花芽が多く形成され、翌春の飛散量が多くなるといわれています。
2022年の夏(6月~8月)は梅雨前線の活動が弱く、特に6月の降水量は西日本 太平洋側でかなり少なく、日照時間は東日本 日本海側と西日本 太平洋側でかなり多くなりました。また、6月後半から7月上旬にかけて太平洋高気圧が強まり、東・西日本を中心に晴れてかなりの高温となりました。そのため、6月に「高温・多照・少雨」となり、スギの花芽形成に好条件となりました。さらに、2021年~2022年に花粉飛散量が少なかった地域が多く、スギの木に花芽を形成させるエネルギーが蓄えられていたため、より一層、スギの花芽形成が促進されたと考えられます。
【天気傾向】
6月 | 本州付近は梅雨前線の影響を受けにくかったため、西日本 太平洋側の月降水量はかなり少なく、東日本 日本海側と西日本 太平洋側の月間日照時間はかなり多くなりました。後半は太平洋高気圧が強まり、西日本から東北南部では晴れて高温となり、月平均気温は東・西日本でかなり高くなりました。一方、北海道では気圧の谷や湿った空気の影響を受けて、月降水量はかなり多くなりました。 |
7月 | 気温は、全国的に高くなりました。前線や台風などの影響で太平洋側を中心に大雨になった地域があり、降水量は、太平洋側で多く、日本海側は平年並みか少なくなりました。日照時間は、全国的に平年並みでしたが、北・東日本の日本海側は多くなりました。 |
8月 | 気温は、北・東日本は平年並み、西日本は平年より高くなりました。前線や台風などの影響で北・東日本は記録的な大雨となった地域があり、降水量は北・東日本で多く、西日本は平年並みでした。日照時間は、北・東日本で少なく、西日本は平年並みでした。 |
【花芽調査】
■スギ
毎年10月後半から11月末にかけて、日本気象協会では全国各地でスギの花芽の着花状況の調査を行います。今年は、昨年の調査に比べて、花芽の実りが多いと各地から報告が入っています。着花量が多く、その重さで枝先が垂れ下がる様子が多くの地点で確認できました。枝先の米粒のようなものがスギの花芽で、1粒(7mm程度)の中に、約40万個のスギ花粉が入っています。
■ヒノキ
例年、スギより少し遅い時期に調査を行います。スギの調査時には着花状況の確認が取れないことが多いですが、今年は既にヒノキの花芽の確認もできているため、着実に生長していると考えられます。枝分かれしている先端の、色が少し薄くなっているのがヒノキの花芽です。
5.スギ花粉のライフサイクル
スギ花粉は1年間を通じて、生長・形成・開花を経て、花粉を飛散します。飛散した花粉からまた生長が始まります。
【花粉の種類について】
北海道はシラカバ、その他はスギ・ヒノキ花粉の飛散量を表します。
【飛散量に関する言葉の説明】
非常に多い :前シーズン (例年)の200%以上
多い :前シーズン (例年)の150%以上200%未満
やや多い :前シーズン (例年)の110%以上150%未満
前シーズン(例年)並 :前シーズン (例年)の90%以上110%未満
やや少ない :前シーズン (例年)の70%以上90%未満
少ない :前シーズン (例年)の50%以上70%未満
非常に少ない :前シーズン (例年)の50%未満
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前シーズン :2022年シーズン飛散量
例年 :過去10年(2013~2022年)の平均値
【2022年夏の気象に関する言葉の説明】
平年 :1991~2020年の平均値
◆日本気象協会の花粉飛散予測とは
日本気象協会は1990年からスギ花粉の飛散予測を発表しています。日本気象協会の花粉飛散予測は前シーズンの花粉飛散結果や今後の気温予測などの気象データをもとに、全国各地の花粉研究会や協力機関からの情報、花芽の現地調査の結果などをふまえて予測しています。
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PDFダウンロード:【日本気象協会報道発表】2023年花粉飛散予測第2報