日本気象協会 2023年 春の花粉飛散予測(第4報)
~九州、中国、関東などでスギ花粉の飛散開始! いよいよ花粉シーズンへ~
Press Release
◆2023年 春の花粉飛散予測のポイント
- 九州全域、中国・四国・近畿・東海・関東・東北南部までの一部地域で飛散開始
- 19日に九州北部と四国で「春一番」を2年ぶりに観測。飛散量も多くなり、ピーク入り間近
- 3月にかけて全国的に気温が高い日が続くため、飛散地域が急速に拡大か
一般財団法人 日本気象協会(本社:東京都豊島区、理事長:長田 太、以下「日本気象協会」)は、2023年2月21日(火)に全国・都道府県別の2023年春の花粉(スギ・ヒノキ、北海道はシラカバ)飛散予測(第4報)を発表します。また、詳細な情報を「2023年春の花粉総飛散量 予測資料」として販売します。
1.スギ花粉の飛散開始時期
2月に入り、九州地方全域と、中国、四国、近畿、東海、関東、東北南部の一部地域で、スギ花粉の飛散が始まりました(※)。いよいよ花粉シーズンの始まりです。この先、2月末にかけては北陸で、3月に入ると長野県や東北北部で飛散開始する見込みです。
1月下旬に、「10年に一度」と言われる強烈な寒波が日本列島に襲いかかりました。九州から北海道まで日本海側を中心に雪が降り、東北では観測史上初めて全アメダス地点で真冬日を記録するなど、各地で大雪や厳冬の記録が続々と出ました。
2月に入り、立春を過ぎ、暦の上では春を迎えました。まだ厳しい寒さが続くところもありますが、気温が平年を超える日も出てきており、スギ花粉の飛散エリアが広がっています。19日には九州北部と四国で「春一番」を観測し、徐々に春らしさが増しています。この先、3月にかけて全国的に平年より気温が高くなる見込みで、すでに飛散開始している九州を中心にまもなく飛散のピークを迎えるでしょう。今年は大量飛散が見込まれる地域が多いため、花粉症の方はしっかりとした対策が必要です。
2.各地のピーク予測
スギ花粉飛散のピークは、福岡で2月下旬から3月上旬、高松や広島、大阪、名古屋では3月上旬から中旬の予想です。金沢、東京、仙台では3月上旬から下旬となるでしょう。今年は大量飛散が見込まれるところが多いため、ピークの時期も長くなる可能性があるでしょう。
スギ花粉のピークが終わる頃になると、ヒノキ花粉のピークが始まるところが多くなります。福岡や広島では3月下旬から4月上旬、高松では3月下旬から4月中旬の見込みです。大阪と名古屋では、4月上旬から中旬、東京では4月上旬から下旬にかけてヒノキ花粉の飛散のピークを迎えるでしょう。金沢と仙台は、4月を中心にヒノキ花粉が飛散しますが、飛散量は他の地点と比べると少ないため、はっきりとしたピークはない見込みです。
多くの花芽がある中で、花芽が膨らんで、裂け目ができている様子を確認することができました。茶色から少し黄色がかっています。
3.2023年シーズンの花粉飛散傾向
【例年比】
2023年春の花粉飛散予測は、九州では例年並み、四国と中国、近畿、北陸ではやや多くなるでしょう。東海と東北では多く、関東甲信では非常に多く飛ぶ見込みです。北海道は例年よりやや少ないでしょう。
【前シーズン比】
九州から関東甲信にかけて前シーズンより飛散量は多く、特に四国、近畿、東海、関東甲信では非常に多く飛ぶ見込みです。東北は地域によって差があり、北海道は少ないでしょう。前シーズンは症状が弱かった方も万全な花粉症対策が必要になりそうです。
4.飛散量の予測根拠
花粉の飛散量は前年夏の気象条件が大きく影響します。気温が高く、日照時間が多く、雨の少ない夏は花芽が多く形成され、翌春の飛散量が多くなるといわれています。
2022年の夏(6月~8月)は梅雨前線の活動が弱く、特に6月の降水量は西日本の太平洋側でかなり少なく、日照時間は東日本の日本海側と西日本の太平洋側でかなり多くなりました。また、6月後半から7月上旬にかけて太平洋高気圧が強まり、東・西日本を中心に晴れてかなりの高温となりました。そのため、6月に「高温・多照・少雨」となり、スギの花芽形成に好条件となりました。さらに、2021年~2022年に花粉飛散量が少なかった地域が多く、スギの木に花芽を形成させるエネルギーが蓄えられていたため、より一層、スギの花芽形成が促進されたと考えられます。
【天気傾向】
6月 | 本州付近は梅雨前線の影響を受けにくかったため、西日本の太平洋側で月降水量はかなり少なく、東日本の日本海側と西日本の太平洋側で月間日照時間はかなり多くなりました。後半は太平洋高気圧が強まり、西日本から東北南部では晴れて高温となり、月平均気温は東・西日本でかなり高くなりました。一方、北海道では気圧の谷や湿った空気の影響を受けて、月降水量はかなり多くなりました。 |
7月 | 気温は、全国的に高くなりました。前線や台風などの影響で太平洋側を中心に大雨になった地域があり、降水量は、太平洋側で多く、日本海側は平年並みか少なくなりました。日照時間は、全国的に平年並みでしたが、北・東日本の日本海側は多くなりました。 |
8月 | 気温は、北・東日本は平年並み、西日本は平年より高くなりました。前線や台風などの影響で北・東日本は記録的な大雨となった地域があり、降水量は北・東日本で多く、西日本は平年並みでした。日照時間は、北・東日本で少なく、西日本は平年並みでした。 |
5.スギ花粉のライフサイクル
スギ花粉は1年間を通じて、生長・形成・開花を経て、花粉を飛散します。飛散した花粉からまた生長が始まります。
【花粉の種類について】
北海道はシラカバ、その他はスギ・ヒノキ花粉の飛散量を表します。
【飛散量に関する言葉の説明】
非常に多い :前シーズン /例年の200%以上
多い :前シーズン /例年の150%以上200%未満
やや多い :前シーズン /例年の110%以上150%未満
前シーズン(例年)並 :前シーズン /例年の90%以上110%未満
やや少ない :前シーズン /例年の70%以上90%未満
少ない :前シーズン /例年の50%以上70%未満
非常に少ない :前シーズン /例年の50%未満
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前シーズン :2022年シーズン飛散量
例年 :過去10年(2013~2022年)の平均値
【2022年夏の気象に関する言葉の説明】
平年 :1991~2020年の平均値
◆日本気象協会の花粉飛散予測とは
日本気象協会は1990年からスギ花粉の飛散予測を発表しています。日本気象協会の花粉飛散予測は前シーズンの花粉飛散結果や今後の気温予測などの気象データをもとに、全国各地の花粉研究会や協力機関からの情報、花芽の現地調査の結果などをふまえて予測しています。
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PDFダウンロード:【日本気象協会報道発表】2023年花粉飛散予測第4報