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日本気象協会、高精度な日射量推定サービス「SOLASAT 9-Now」を提供開始 ~AIモデルの新採用により日射量推定精度が15%ほど向上~

2023.03.15

プレスリリース

一般財団法人 日本気象協会(本社:東京都豊島区、理事長:長田 太、以下「日本気象協会」)は、これまで太陽光発電事業者向けに展開していた日射量推定サービス(SOLASAT 8-Now)を改良し、2023年3月15日(水)から新たに「SOLASAT 9-Now(ソラサットナインナウ)」として提供を開始します。

SOLASAT 9-Nowでは、ひまわり8号・9号(注1)の衛星画像と、「AIモデル」(日本気象協会が新たに開発した、雲の反射・透過、天候分離などを考慮する気象モデル)による日射量推定技術を活用することで、従来のSOLASAT 8-Nowに比べて日射量推定精度が約15%向上しました。日本気象協会はSOLASAT 9-Nowの提供を通して、気象状況によって変動する太陽光発電の効率的な運用、維持管理や電力の安定供給に貢献していきます。

(1)SOLASAT 9-Nowの概要

SOLASAT 9-Nowは、気象衛星ひまわり8号・9号により撮影された衛星画像(多数の観測波長帯)と日本気象協会のAIモデルを用いて日射量を推定します(図1)。AIモデルの導入により、SOLASAT 9-Nowは積雪時の晴天・薄曇り事例(従来モデルで推定誤差が発生しやすい事例)を中心に推定精度が大きく向上しました。その結果、従来モデルに比べて通年の日射量推定精度はRMSE(注2)で約15%向上しました(図2)。
本データは、エネルギー事業者向け総合APIサービス 「ENeAPI」などを通してリアルタイムで提供するほか、過去データの提供にも対応しています  。

図1 SOLASAT 9-Nowの日射量推定手法の概要

図1 SOLASAT 9-Nowの日射量推定手法の概要

図2 地点別の日射量推定精度(RMSE)の改善率<br> (評価対象:5分ごとの瞬時値、対象期間: 2021年1月~2021年12月)<br> ※改善率(%)=(改良前のRMSE-改良後のRMSE)÷改良前のRMSE×100

図2 地点別の日射量推定精度(RMSE)の改善率
(評価対象:5分ごとの瞬時値、対象期間: 2021年1月~2021年12月)
※改善率(%)=(改良前のRMSE-改良後のRMSE)÷改良前のRMSE×100

(2)サービス内容

SOLASAT 9-Nowのサービス内容は以下のとおりです。

●標準提供仕様(個別システムでの提供、過去データ提供など)

●標準提供仕様(個別システムでの提供、過去データ提供など)

 

 

●エネルギー事業者向け総合APIサービス ENeAPIでの提供仕様

●エネルギー事業者向け総合APIサービス ENeAPIでの提供仕様

(3)サービス活用例

本サービスは、太陽光発電分野の幅広い分野で活用いただけます。
・日射量・太陽光発電出力の実況監視
・分散配置された太陽光発電設備を活用したVPP(注3)事業などの運用支援
・自家消費型太陽光発電設備へのPPA(注4)モデル導入検討
・太陽光発電設備の運用監視・故障診断(O&M事業(注5)
・自己託送(注6)モデルの事業性検討 など

(4)関連サービス

・ひまわり 8・9号による日射量推定サービス SOLASAT 9-Now
https://www.jwa.or.jp/services-solutions/energy-management/solar-power-13/

・ひまわり 8・9号による日射量予測サービス SOLASAT 9-Nowcast
https://www.jwa.or.jp/services-solutions/energy-management/solar-power-12/

・エネルギー事業者向け総合APIサービス ENeAPI
https://www.jwa.or.jp/services-solutions/energy-management/solar-power-06/

(注1):気象庁による衛星観測の運用切り替えに伴い、2022年12月13日から気象観測衛星はひまわり8号からひまわり9号に変更となりました。ひまわり8号・9号の観測性能は実質的に同等です。また本切り替えに伴い、気象衛星を用いた日射量予測サービスについても、名称を「SOLASAT 8-Nowcast」から「SOLASAT 9-Nowcast(ソラサットナインナウキャスト)」に変更します。

(注2):RMSE
モデルの誤差の大きさを表す指標の一つで、値が小さいほど精度が良いことを意味します。RMSEは以下で計算されます。

 

RMSE

[n:データ数, fi:推定値, yi:観測値]

(注3):VPP
「バーチャルパワープラント」のことで、情報通信技術などにより、分散するエネルギーリソースを統合的に制御し、あたかも一つの発電設備のように機能する仮想発電所のことを指します。

(注4):PPA
Power Purchase Agreementの略称で、電力販売契約モデルを指します。企業や個人が保有する敷地や屋根を事業者が借り、事業者が無償で発電設備の設置・運用・保守を行い、電力を供給します。

(注5):O&M事業
発電設備の設置後に運用管理(Operation)と保守点検(Maintenance)を行う事業のことです。

(注6):自己託送
自家発電設備により発電した電力を、一般送配電事業者の送電網を介して遠隔地の自社設備等へ送電する仕組みのことです。

※「SOLASAT」は気象衛星画像の解析技術を用いた日射量推定・予測サービスの総称です。
※「SOLASAT」は日本気象協会の登録商標(登録第5779712号)です。
※「ENeAPI」は日本気象協会の登録商標(登録第6574904号)です。

 

以上

PDFダウンロード:【日本気象協会報道発表】 SOLASAT 9-Now提供開始_

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