防災レポート2023 Vol.2 台風第6号に伴う今後の大雨・災害の見通し(第1報)
Report
日本気象協会は、台風第6号に伴う今後の大雨と災害の見通し(8月5日12時時点)に関する情報を、防災レポート(第1報)として発表します。
ポイント
・台風第6号は、発達しながら東に進み、8月8日(火)から9日(水)頃に西日本に接近、または上陸する可能性がある。
・九州地方などで雨量が多くなる予想。特に大分県や宮崎県、鹿児島県などでは48時間雨量が600mm超となり、既往最大比が150%を超える可能性がある。
・西日本を中心に長時間の大雨となり、河川の氾濫や土砂災害に厳重な警戒が必要である。
大型で強い台風第6号は8月5日(土)12時現在、久米島の北約160kmの海上にあり、東にゆっくりとした速さで進んでいます。中心気圧は970hPa、中心付近の最大風速は30m/sです。台風第6号は7日(月)頃から進路を北に変え、西日本に接近または上陸するおそれがあります。
日本気象協会独自の「JWA統合気象予測(※1)」では、8日(火)から10日(木)の48時間雨量の最大値が九州地方の多いところで600mm前後に達すると予測しました。予想される雨量となった場合、これまでに観測された雨量の最大値との比(既往最大比※2)が150%を上回る可能性があります(図1)。日本気象協会と静岡大学牛山素行教授との共同研究の結果(※3)によると、既往最大比が150%を超えると犠牲者の発生数が急増する可能性があることがわかっており、災害発生危険度が極めて高いことから厳重な警戒が必要です。
九州地方を中心に大雨となった台風として、2022年台風第14号があります。この台風は勢力を保ったまま九州に上陸し、48時間で700mmを超えるような大雨となりました。今回の台風第6号の進路は、この台風の進路と類似する可能性があります。河川の氾濫や土砂災害に厳重な警戒が必要です。
今回の大雨の特徴は、8月7日(月)~10日(木)頃の長時間にわたって大雨が続く可能性があることです(図3)。長時間大雨が続いて土壌の水分量が多くなった状況では、やや強い雨が降っただけでも土砂災害が発生する可能性があります。山の斜面近くなど災害の危険性があるところにお住まいの方は、雨が強くなってからではなく、早めの避難を心がけるようにしてください。
本情報は2023年8月5日12時時点の予測資料から作成したものです。最新の気象情報をご確認ください。
※1 JWA統合気象予測:https://www.jwa.or.jp/news/2023/02/19157/
※2 既往最大比:解析雨量が1kmメッシュ化された2006年5月以降に観測された雨量の最大値との比のこと
※3 本間基寛,牛山素行:豪雨災害における犠牲者数の推定方法に関する研究,自然災害科学,Vol. 40,特別号,pp. 157-174,2021.
※日本気象協会の天気予報専門メディア「tenki.jp」では、「警報・注意報」「地震情報」「津波情報」「火山情報」「台風情報」などの防災情報(https://tenki.jp/) を24時間365日提供しています。
遠藤 理(えんどう さとる) 一般財団法人 日本気象協会 社会・防災事業部 防災マネジメント課 技師 気象予報士 |
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