日本気象協会 2024年 春の花粉飛散予測(第2報)
~スギ花粉の飛散開始は2月上旬 ほぼ例年並み~
Press Release
◆2024年 春の花粉飛散予測のポイント
- 2024年春のスギ花粉シーズンは、ほぼ例年並みの時期にスタート
- 飛散量は、例年よりやや多い傾向 北海道のシラカバ花粉は非常に多い
- 2023年の春に比べると九州から東北南部は減少傾向
一般財団法人 日本気象協会(本社:東京都豊島区、理事長:渡邊 一洋)は、2023年12月7日(木)に全国・都道府県別の2024年春の花粉(スギ・ヒノキ、北海道はシラカバ)飛散予測(第2報)を発表します。また、詳細な情報を、「2024年春の花粉総飛散量 予測資料」として販売します。
1. 2024年 スギ花粉の飛散開始時期
2024年のスギ花粉シーズンは、ほぼ例年並みの時期にスタートするでしょう。2月上旬から九州、四国、中国、東海、関東甲信の一部で飛散開始となる見込みです。近畿、北陸、東北南部は2月中旬から下旬、東北北部は3月上旬から中旬に飛散開始するでしょう。
スギの雄花は、初冬に冷え込みが厳しいと休眠打破が順調に進み、休眠から目覚めた後は、暖かいほど開花が早くなる傾向があります。この冬の気温は、12月から2月にかけて平年より高く推移する見通しです。初冬に冷え込む日が続かないことから、休眠打破が遅れる見込みです。一方、真冬から春先に寒さの和らぐ日が現れるため、休眠から目覚めた後は、雄花の成長が比較的順調に進むと予想します。このため飛散開始の時期は、おおむね例年並みになるでしょう。北陸から東北にかけては、例年並みか例年より早い見込みです。
スギ花粉は、飛散開始と認められる前からわずかな量が飛び始めます。2 月上旬に飛散開始が予想される地域では、1 月のうちから早めに花粉対策を始めるとよいでしょう。
※飛散開始日とは、 1 平方センチメートルあたり 1 個以上のスギ花粉を 2 日連続して観測した最初の日
2. 2024年春の花粉飛散量
2024年春の花粉飛散量は、例年(過去10年の平均)に比べると、九州から東北では、ほとんどの地域で例年よりやや多いでしょう。北海道は非常に多い見込みです。
花粉の飛散量は前年夏の気象条件が大きく影響します。気温が高く、日照時間が多く、雨の少ない夏は、花芽が多く形成され、翌春の飛散量が多くなる傾向があります。2023年の夏は猛暑となったため、2024年春の飛散量はほとんどの地域で例年よりやや多いでしょう。花粉症のかたは、万全な対策を行ってください。
2024年春の花粉飛散量は、前シーズン(2023年)と比べると、九州から東北南部の広い範囲で前シーズンと同じくらいか少ない傾向でしょう。東北北部と北海道は、前シーズンの飛散量が少なかったため、非常に多くなる見込みです。
3.各地域の花粉飛散傾向
各地域の花粉飛散傾向は、例年に比べると、九州・四国・中国・東海・北陸・関東甲信は120~140%とやや多い、近畿・東北は160%と多い、北海道は200%以上で非常に多い予想です。
前シーズン比では、北陸・関東甲信は60%と少ない、九州・四国・中国・近畿は70~80%とやや少ない、東海は90%と前シーズン並みの見込みです。東北は180%と多いですが地域によって差が大きく、東北南部は少なく、東北北部は非常に多いでしょう。北海道は600%以上で非常に多い見込みです。
4.予測の根拠
(1)2023年夏の気象条件
花粉の飛散量は、前年夏の気象条件が大きく影響します。2023年の夏は、日本の平均気温は記録的に高くなりました。日照時間は、高気圧に覆われて晴れた日が多くなった東海から東北を中心にかなり多くなり、降水量は北陸から北海道を中心に平年並みか少なくなりました。花芽の形成に好条件な「高温・多照・少雨」という気象条件が、九州から北海道までの多くの地域で揃ったと考えられます。
(2)2023年春の花粉飛散量
花粉の飛散量は、前年春の飛散量も影響し、多く飛散した翌年は減少する傾向があるといわれています。
2023年春の花粉飛散量は、例年を上回った所が多く、九州から東北南部にかけての広い範囲で多いまたは非常に多くなりました。一方、東北北部と北海道は、例年より少ないまたは非常に少なくなりました。2024年は、九州から東北南部は前シーズンより減少傾向、東北北部から北海道は増加傾向になると考えられます。
(3)スギ雄花の花芽調査
日本気象協会がおこなっている花芽調査や、植物や森林の研究者と開催する研究会などの報告によると、この秋のスギ雄花の花芽の量は、前年の秋に比べてほとんどの地域で少ないことが観察されました。ただ、2023年春の花粉飛散量が多かった地域でも例年を大きく下回ることはなく、場所によっては多くの花芽が観察されるなど、観察場所による違いが大きい傾向が見られました。
(4)予測根拠のまとめ
2023年は、夏の猛暑の影響で、花芽の形成に好条件な「高温・多照・少雨」という気象条件が九州から北海道にかけて揃いました。一方、2023年は、春の花粉飛散量が多い傾向となったため、秋に観察されたスギ雄花の花芽の量は、ほとんどの地域で前年の秋より少ないという結果になりました。
このことから、2024年春の花粉の飛散量は、2023年に比べると広い範囲で少ない傾向になるでしょう。それでも今夏の猛暑の影響で、ほとんどの地域で例年よりやや多くなると予想します。
今回発表する花粉飛散量の予測は、2023年9月28日に発表した「日本気象協会2024年 春の花粉飛散予測(第1報)」の内容を花芽調査の結果を考慮して修正しました。東海・関東甲信・北陸・東北は、例年比または前シーズン比が1ランク程度少ない傾向になった都県があります。
【花粉の種類について】
北海道はシラカバ、その他はスギ・ヒノキ花粉の飛散量を表します。
【飛散量に関する言葉の説明】
非常に多い :前シーズン (例年)の200%以上
多い :前シーズン (例年)の150%以上200%未満
やや多い :前シーズン (例年)の110%以上150%未満
前シーズン(例年)並 :前シーズン (例年)の90%以上110%未満
やや少ない :前シーズン (例年)の70%以上90%未満
少ない :前シーズン (例年)の50%以上70%未満
非常に少ない :前シーズン (例年)の50%未満
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前シーズン :2023年シーズン飛散量
例年 :過去10年(2014~2023年)の平均値
【2023年夏の気象に関する言葉の説明】
平年 :1991~2020年の平均値
◆日本気象協会の花粉飛散予測とは
日本気象協会は1990年からスギ花粉の飛散予測を発表しています。日本気象協会の花粉飛散予測は前シーズンの花粉飛散結果や今後の気温予測などの気象データをもとに、全国各地の花粉研究会や協力機関からの情報、花芽の現地調査の結果などをふまえて予測しています。
・本情報の無断での法人利用(プレスリリースでの引用や販促目的使用など)はご遠慮いただいております。
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以上
PDFダウンロード:【日本気象協会報道発表】2024年花粉飛散予測第2報