日本気象協会 2025年 春の花粉飛散予測(第1報)
~西日本は例年の2倍以上の所も 2024年春の飛散量と夏の猛暑が影響~
Press Release
一般財団法人 日本気象協会(本社:東京都豊島区、理事長:渡邊 一洋)は、2024年9月26日(木)に全国・都道府県別の2025年春の花粉(スギ・ヒノキ、北海道はシラカバ)飛散予測(第1報)を発表します。また、詳細な情報を、「2025年春の花粉総飛散量 予測資料」として販売します。
◆2025年 春の花粉飛散予測のポイント
- 今年の夏の猛暑が影響し、2025年春の飛散量は広い範囲で例年より多い
- 2024年春の飛散量が少なかったことも影響し、四国・中国・近畿は例年の2倍以上の所も
- 2024年春に比べ、九州から近畿、東北南部などで2~8倍に
1. 2025年春の花粉飛散傾向
花粉の飛散量は、前年春の飛散量が少ないと増え、多いと減少する傾向があります。2024年春の花粉飛散量は、九州から近畿と、北陸から東北南部では例年を下回り、関東甲信も例年並みか少ない傾向でした。一方、東海と東北北部や北海道は、例年を上回りました。
また、花粉の飛散量は前年夏の気象条件も大きく影響します。気温が高く、日照時間の多い夏は、花芽が多く形成され、翌春の飛散量は多くなる傾向があります。今年の夏は猛暑となり、花芽の形成に好条件な「高温・多照」という気象条件が、九州から北海道まで、ほぼ揃ったと考えられます。
このため2025年春の花粉飛散量は、例年(過去10年の平均)に比べて、九州から北海道にかけてのほとんどの地域で多く、四国・中国・近畿は非常に多い所もあるでしょう。東北北部は2024年春の飛散量が非常に多かったことと、夏に日照時間が少ない時期があったことが影響し、例年より少ない見込みです。
2025年春の花粉飛散量は、前シーズン(2024年)と比べると、九州から近畿と、東北南部は非常に多く、北陸と関東甲信も多い傾向です。東海も前シーズン並みか多くなりますが、東北北部と北海道は少ないでしょう。九州から近畿と、東北南部などでは、今年の春の飛散量が少なかったことが影響し、2025年春の飛散量は大幅に増加する見込みです。花粉症のかたは、万全な対策を行ってください。
2. 予測の根拠
(1)2024年春の花粉飛散量
日本気象協会が観測した大阪市と千代田区(東京)の過去10年の花粉飛散量の推移に、2025年の予測を加えたグラフを示します。大阪市は、花粉が多く飛散した翌年は減少し、飛散が少なかった翌年は増加する傾向が顕著なことがわかります。千代田区は飛散量の増減が大阪市ほど顕著ではありませんが、2024年春は、その前年(2023年)の夏が高温だったわりに飛散量は例年程度に留まりました。
2024年春の花粉飛散量は、九州から近畿と、北陸から東北南部はほぼ例年を下回り、例年比20~80%の所が多くなりましたが、これは2023年春の花粉飛散量が多かったことなどが影響したとみられます。関東甲信も例年並みか例年を下回った所が多くなりました。一方、東海と東北北部や北海道は例年を上回りました。
2024年春は花粉飛散量が抑えられた地域が多かったことから、2025年春は気象条件が揃えば2024年に比べ飛散量が増加する地域が多いと考えられます。
(2)2024年夏の気象条件
花粉の飛散量は、前年夏の気象条件が大きく影響します。2024年の夏は暖かい空気に覆われやすく、全国的にかなり高温になり、日照時間は、高気圧に覆われやすかった九州から東海でかなり多くなりました。6月は、各地で梅雨入りが平年より1~2週間遅れたこともあり、九州から北海道にかけてほとんどの地域で高温・多照となりました。7月から8月にかけても暖かい空気の影響で、気温は全国的にかなり高く、とくに7月は日本の平均気温は統計開始以来1位の高温となりました。日照時間は、北陸や東北、北海道では少ない時期がありましたが、夏の期間を通してみると各地とも多くなりました。
今年の夏は花芽の形成に好条件な「高温・多照」という気象条件は、九州から北海道まで、ほぼ揃ったと考えられます。
(3)予測根拠のまとめ
花粉の飛散量は、前年春の飛散量が少ないと増え、多いと減少する傾向があります。2024年春の花粉飛散量は、九州から近畿と、北陸から東北南部では例年を下回り、関東甲信も例年並みか少ない傾向でした。一方、東海と東北北部や北海道は、例年を上回りました。また、今年(2024年)の夏は猛暑となり、花芽の形成に好条件な「高温・多照」という気象条件が九州から北海道までほぼ揃いました。
これらのことから2025年春の花粉飛散量は、例年に比べて、九州から北海道にかけてのほとんどの地域で多く、非常に多い所もあるでしょう。東北北部は2024年春の飛散量が非常に多かったことと、夏に日照時間が少ない時期があったことが影響し、例年より少ない見込みです。前シーズン(2024年)に比べると、九州から近畿と東北南部は非常に多く、北陸と関東甲信も多い傾向です。東海も前シーズン並みか多くなりますが、東北北部と北海道は少ないでしょう。
3.スギ花粉のライフサイクル
スギは1年を通じて、新芽の生長・花芽の生長・花粉の形成・開花を経て花粉を飛散します。飛散した花粉によって種子が形成されます。
【花粉の種類について】
九州から東北はスギ・ヒノキ、北海道はシラカバ花粉の飛散量を表します。
【飛散量に関する言葉の説明】
非常に多い :例年 (前シーズン) の200%以上
多い :例年 (前シーズン) の150%以上200%未満
やや多い :例年 (前シーズン) の110%以上150%未満
例年(前シーズン)並 :例年 (前シーズン) の 90%以上 110%未満
やや少ない :例年 (前シーズン) の 70%以上 90%未満
少ない :例年 (前シーズン) の 50%以上 70%未満
非常に少ない :例年 (前シーズン) の 50%未満
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例年 :過去10年(2015~2024年)の平均値
前シーズン :2024年シーズンの飛散量
【2024年夏の気象に関する言葉の説明】
平年 :1991~2020年の平均値
◆日本気象協会の花粉飛散予測とは
日本気象協会は1990年からスギ花粉の飛散予測を発表しています。日本気象協会の花粉飛散予測は、前シーズンの花粉飛散結果や気象観測値などの気象データ、および花芽の現地調査などの結果をもとに、全国各地の花粉研究会や協力機関からの情報をふまえて予測しています。
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PDFダウンロード:【日本気象協会報道発表】2025年花粉飛散予測(第1報)