日本気象協会、AGC、北海道月形町 冬季のホワイトアウト予測技術の実証実験を終了
Press Release
一般財団法人 日本気象協会
AGC株式会社
北海道月形町
日本気象協会(一般財団法人 日本気象協会、本社:東京、理事長:渡邊一洋)、AGC(AGC株式会社、本社:東京、社長:平井良典)、北海道月形町(町長:上坂隆一)は、2024年12月に発表した月形町内におけるホワイトアウト*1の発生予測およびリアルタイムの情報発信技術の実証実験(以下、本実験)を、2025年3月31日に終了しました。実施後のアンケートから、月形町を含む地域住民に移動計画の変更や安全運転への意識向上といった変化が確認され、今回の取り組みが冬季の交通事故リスクの低減に寄与したことが明らかになりました。
※本実験に関する報道発表 https://www.jwa.or.jp/news/2024/12/24660/

本実験では、ホワイトアウトに起因する冬季の交通事故リスク低減を目的として、以下の取り組みを行いました。
① AGCの窓設置カメラ「ミハルモ™」で、対象区間*2のリアルタイムな画像データを取得
② ①のデータに基づいて、日本気象協会開発のAIが、15分ごとに過去1時間以内の視程(見通せる距離)を判別
③ ②の視程情報と最新の気象情報を組み合わせて、日本気象協会が1時間ごと6時間先までの視程を予測
④ ①~③の情報を、月形町内2か所の公共施設*3のデジタルサイネージにて発信
AGCの「ミハルモ™」と日本気象協会のAIを組み合わせることで、より高精度なリアルタイム視程情報の提供が可能になり、これをもとに日本気象協会が逐次補正したピンポイント視程予測情報を発信しました。
実施後のアンケート(回答者66名)では、「天気が良かったため特に気にしなかった」「その他」「無回答」を除いた回答者のうち、62%がホワイトアウト予測情報をもとに「普段より注意して移動した」「移動を早めた」「移動を遅らせた」ことがあると答えました。
このうち、「普段より注意して移動した」が最も多く81%、次いで「移動を早めた」が43%、「移動を遅らせた」が19%でした。これらの結果から、本実験が交通事故リスクの低減に一定の効果をもたらしたことが示されました。
なお、「ミハルモ™」は室内設置型カメラのため、一般的な屋外設置型カメラと比較して、設置負担が抑えられるほか、外部環境の影響を受けにくい特長があります。本実験においては、「ミハルモ™」の設置工事は約1時間で完了し、屋外の平均気温が氷点下となる期間中でも、安定した画像データを取得できました。
今後はさらに正確なホワイトアウト予測情報の発信を目指して、「ミハルモ™」の設置箇所の見直しやAI視程判別技術の向上、視程予測の高精度化を進め、月形町への本格導入を検討していきます。
〈注釈〉
*1 ホワイトアウト:本来は地面が雪に覆われ全天が薄い雲に覆われて、周囲が一様に白く見えて空と地表面の区別ができなくなる現象を指しますが、雪や吹雪によって視界が完全に遮られ周囲が全く見えなくなる現象のことも指して使われます。この時、周囲が白一色となり運転者からは前方の道路や障害物がほとんど視認できず、交通事故のリスクが高まります。ホワイトアウトは特に著しい視界不良の状態を指し、冬季に北海道などの寒冷地域でよく発生します。
*2 月形町南地区広域集落会館および札比内(さっぴない)コミュニティセンターに「ミハルモ™」を設置し、月形町内の国道275号の沿線2地区における画像データを取得
*3 月形町役場および月形町総合体育館に設置
■アンケート実施概要
・対象:月形町役場ロビーまたは月形町総合体育館の来訪者、および月形町役場職員
・期間:2025年3月3日~3月20日
・方法:①Webアンケート(回答者数:44名)②アンケート用紙への記入(回答者数:22名) 回答者数:計66名
■アンケート結果

〈ご参考〉
■ 窓設置カメラ「ミハルモ™」について
「ミハルモ™」は、建物の窓(室内面)に設置するマグネットタイプの屋外撮影用カメラです。従来の屋外用カメラに対して、大規模な設置工事が不要なため導入時のコストを抑えることができるだけでなく、室内面の設置により防水防塵対策やメンテナンスの負担を軽減します。「ミハルモ™」は、2025年5月から本格販売を開始し、今後社会実装を拡大していきます。
※製品に関するお問い合わせはこちら
https://www.asahiglassplaza.net/contact/inquiry_md3b3nj0u783.php
■「ミハルモ™」設置イメージ(屋外側より撮影)

以上
PDFダウンロード:【3者連名報道発表】 ホワイトアウト予測情報の実証実験を終了_