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雷レポート2026 Vol.1 2026年6月の落雷は例年の半分程度、前年比では増加した地域も ~夏本番は、雷への備えを~
2026.07.23
レポート
本レポートの概要
・2026年6月の全国の落雷数は、例年(2018~2025年平均)の約半分となりました。
・全国的に降水量が多かった一方で、落雷は少なく、「雨は降った」のに「雷は少ない」特徴的な6月となりました。
・今後は高温傾向や台風の接近に伴い、雷の発生が増える可能性があるため、夏本番に向けた落雷対策が重要です。
日本気象協会では、以前よりさまざまな業種の事業者さま向けに雷の実況監視・予測サービスを展開しています。これまでの長年の経験と気象に関する専門知識をもとに、2026年6月の落雷を分析した「雷レポート」を発信します。雷の発生が増えてくる夏本番に向けて、落雷対策の検討にご活用ください。
1.2026年6月は「雨は降った」一方で「雷は少なかった」…?
気象庁の雷監視システム(LIDEN※1)による観測データに基づき、2026年6月の落雷(対地放電※2)の発生状況を分析しました。図1は、日本付近を10kmメッシュで区切り、各メッシュ内の1カ月間の落雷発生数を集計し、色分けしたものです。2026年6月は全国各地で落雷が発生したことがわかります。九州・四国・近畿・東海・関東にかけては帯状の落雷分布がみられたほか、北海道や東北でも広い範囲で落雷が発生しました。6月上旬は梅雨前線が沖縄付近から本州の南海上に位置していましたが、6月中旬以降は前線が北上し、九州から関東にかけて広い範囲で雨となり雷も発生しました。また、6月13日には北海道や東北で上空の寒気の影響により大気の状態が不安定となり、落雷が集中する事例も確認されました。

図1 2026年6月の落雷数
※1 LIghtning DEtection Network systemの略称で、気象庁の雷監視システムのこと。雷の種類、位置、発生時刻を観測する。
※2 雷雲と大地の間の放電で、落雷ともいう。
図2は、同じくLIDENによる観測データをもとに、日本全域(図1のエリア)の月ごとの落雷数について、例年※3の値と2026年度(6月まで)の集計値を比較したものです。
例年(グレー)の棒グラフから、毎年、6月頃から全国的に落雷数が増加し、8月にピークを迎える傾向がみられます。これは、夏季特有の熱雷※4や、台風の接近・通過に伴って発生する雷が大きく影響しているためです。
しかし、図2の2026年度(オレンジ)の棒グラフを見て分かるように2026年6月の全国の落雷数は例年の半分程度となりました。
2026年6月は台風の影響もあり、図3のとおり全国的に平年を上回る降水量となりましたが、図1に示すように陸上で50回以上の落雷が発生したメッシュは一部にとどまりました。つまり、2026年6月は「雨は降った」一方で「雷は少なかった」月となりました。
※3 過去8年(2018~2025年度)の月ごとの平均値
※4 強い日射で地表付近が加熱され、発生した上昇気流に伴い発達した積乱雲による雷。

図2 日本全域の月ごとの落雷数(例年・2026年度)

図3 2026年6月の平均気温平年差、降水量平年比、日照時間平年比の分布
2026年6月の天候(2026年7月1日 気象庁発表) https://www.data.jma.go.jp/cpd/longfcst/monthly/202606/202606m.html
2.2026年6月の雷が少なかった要因
次に、地域別の落雷傾向を見てみましょう。表1は、2026年6月の日本全域および地域別の落雷傾向を示したものです。
例年と比較すると、2026年6月の落雷数は、九州エリアを除くすべての地域で少ない結果となりました。2026年6月は、オホーツク海高気圧がたびたび発達した一方、日本付近では太平洋高気圧の北への張り出しが例年より弱い状態が続きました。そのため梅雨前線が北上しにくく、東北エリアや東日本エリアでは梅雨前線に伴う雷雲が発達しづらかったことから、落雷の回数も少なくなったと考えられます。
近畿・中国・四国エリアや九州エリア、沖縄・奄美エリアでは、梅雨前線や台風の影響を受ける日があり、図3のとおり日照が少なく気温も低い傾向となりました。さらに上空への寒気の流入が少なく、大気の状態が比較的安定していたため、積乱雲が発達しにくい状況となりました。その結果、降水量は多かったものの、落雷数は例年と同程度か例年より少なくなったと考えられます。
一方、前年の2025年6月と比較すると、日本全域では落雷数がやや多い傾向となり、東北エリア、九州エリア、沖縄・奄美エリアでは前年を上回る落雷数となりました。2025年6月の東北エリアは平年に比べて梅雨入りが遅く、6月上旬・中旬は晴天の日が多くなりました。同じく前年の九州エリアおよび沖縄・奄美エリアでは、6月中旬の後半以降に太平洋高気圧が本州付近へ張り出す日が多く、晴天の日も多くなりました。このように、これらの地域では前年の6月は梅雨前線の影響を受ける日が少なく、落雷数も少なかったと考えられます。2026年6月は、各地で梅雨の時期と重なり雨の日も多かったことから、前年の6月と比べると相対的に落雷数が多くなったと考えられます。
表1 2026年6月の落雷数

3.2026年8月~10月は台風に伴う雷に注意
気象庁が発表した最新の3か月予報によると、2026年8月~10月の平均気温は、沖縄・奄美では平年より高く、その他の地域では平年並みか平年より高くなる見通しです。また、日本気象協会が発表した2026年の台風の見通し※5では、日本列島への台風の接近数が8月は「平年並みか多い」、9月は「平年並み」と予想をしました。また、夏までにエルニーニョ現象へ移行する場合には、台風が発生してから日本付近へ接近するまでに海上を進む距離が長くなり、十分に発達した状態で接近するおそれがあり、接近数が多くなくても影響が大きくなる可能性があることを伝えていました。その後、2026年6月10日に気象庁はエルニーニョ監視速報を発表※6し、2026年春からエルニーニョ現象が発生しているとみられ、秋にかけて続く見込みを示しました。これからの季節は、台風が日本列島に接近しやすく、台風の接近に伴って発達した積乱雲や雷に注意が必要です。
さらに、今後は高温傾向が続き、日中の強い日射による対流活動も活発になると、局地的な雷雨が発生しやすくなります。局地的な雷雨と、台風による落雷の両方に引き続き注意が必要です。
※5 防災レポート Vol.1 2026年の台風の見通しは、8月を中心に接近数が平年並みか多い予想 秋は発達した台風の接近にも注意(2026年5月27日 日本気象協会発表)
https://www.jwa.or.jp/news/2026/05/40097/
※6 エルニーニョ監視速報(No.406)(2026年6月10日 気象庁発表)
https://www.data.jma.go.jp/cpd/data/elnino/houdou/pdf/elnino202606.pdf
4.本格的な雷シーズンに向けて万全の備えを
これから夏本番、本格的な雷シーズンを迎えます。工場や建設現場、再生可能エネルギー施設、イベント会場などでは、効率的な態勢判断や設備管理、作業の安全確保のため、雷への適切な備えが必要です。日本気象協会では、これらの現場で活用できる雷サービスとして、「雷アラートWeb」「オンライン気象情報サービスMICOS」「雷メール通知サービス」「エネルギー事業者向けAPIサービス 『ENeAPI』」など、さまざまな事業者さまの用途に応じた雷監視・予測サービスを提供しています。お気軽にお問合せください。
※本レポートの落雷数の比較に関する用語
かなり多い :例年の200%以上
多い :例年の150%以上~200%未満
やや多い :例年の110%以上~150%未満
同程度 :例年の90%以上~110%未満
やや少ない :例年の60%以上~90%未満
少ない :例年の30%以上~60%未満
かなり少ない:例年の30%未満
※本レポート第2章でのエリア区分

![]() | 一般財団法人 日本気象協会 環境・エネルギー本部 エネルギー事業部 予測システム課 永松 慎平(ながまつ しんぺい) 岡山大学大学院(地球科学専攻)修士課程修了。 システム担当としてエネルギー事業者向けに気象情報提供を行う一方、 気象情報提供分野の統括として、雷サービスの企画・開発を行っている。 |
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