ニュース
ウェザーマーケティングレポート Vol.6 2026/27年冬(12月~2月)の天気とビジネスへの影響は?
~暖冬傾向の一方、急な寒波と太平洋側の雪に注意~
2026.09.30
レポート
2026/27年冬(12月~2月)予想のポイント
・11月は全国的に平年より気温が高く、冬商材の立ち上がりが遅れる可能性。
・12月から2月は、平均すると全国的に暖冬傾向。
・冬型の気圧配置が続かず、日本海側では降雪量が少ない一方で、南岸低気圧が通過しやすいため、普段は雪が少ない太平洋側の地域でも降雪に注意。
・冬の終わりほど寒暖の変動が大きくなり、低気圧通過後は一時的な寒波による急な冷え込みや、日本海側を中心とした局地的な大雪に注意。
日本気象協会では、気象データとビジネスデータを活用し、企業の需要予測や気象リスクへの対応を支援しています。本レポートでは、2026/27年冬の天候見通しと、それに伴うビジネスへの影響を解説します。
2026/27年冬は、平均すると全国的に気温が平年より高く、暖冬傾向となる見込みです。11月は全国的に高温となり、冬商材の需要の立ち上がりが遅れる可能性があります。また、12月から2月は平年よりも暖かい日が多い一方で、強い寒気の流入時には急な冷え込みとなり、寒暖差が大きくなるでしょう。
さらに、南岸低気圧が通過しやすく、太平洋側を中心に降水量が多くなる見込みです。普段は雪の少ない太平洋側の地域でも、寒気の流れ込むタイミングによっては大雪となる可能性があります。平均気温だけでなく、短期的な寒波や雪への備えが重要となりそうです。

1. 2026/27年冬の天気の見通し
11月は秋の暖かさが続き、冬商材の立ち上がりは遅れる可能性
11月は全国的に平年より気温が高い見込みです。秋の暖かさが続くことで、コートや防寒用品、鍋商材などの冬商材は、本格的な需要が遅れる可能性があります。
冷たく乾燥した木枯らしが吹きにくいものの、前線が停滞して曇りや雨の日が続いたり、短期間で気温が下がることもあります。そのため、需要の立ち上がり時期は、日々の気温予報も踏まえて判断することが重要になります。
12月から1月は暖冬傾向も、太平洋側の雪に注意
12月から1月は、平均すると全国的に気温が平年より高く、本格的な冬の到来は遅れる見込みです。
冬型の気圧配置が持続しにくく、日本海側の降雪量は平年より少なくなる見込みです。一方で、南岸低気圧が通過しやすく、普段は雪の少ない太平洋側でも降雪に注意が必要です。また、南岸低気圧通過後は一時的に強い寒気が南下し、日本海側で局地的な大雪となる可能性もあります。暖冬傾向であっても、短期間の急な冷え込みにより、防寒用品や暖房需要が急増することが考えられます。
2月は寒暖差が大きくなりやすい
2月も平均気温は平年より高い見込みで、春の到来は早まりやすいでしょう。ただし、冬の終わりほど寒暖差が大きくなり、強い寒気が南下する可能性もあります。
冬の後半にかけては、暖かい日と厳しい寒さの日の差が大きくなりやすいため、春物への切り替え時期や冬物在庫の管理では、短期的な気温変化にも注意が必要です。
太平洋側を中心に降水量が多い見込み
2026/27年冬は、冬型の気圧配置が持続しにくい一方で、南岸低気圧が通過しやすく、太平洋側を中心に平年よりも降水量が多くなる見込みです。低気圧通過時の気温やコースによっては、普段は雪が少ない地域でも大雪となるおそれがあります。
長期予報は、特定の日に大雪が発生することを示すものではありません。積雪や交通への影響が想定される際は、1カ月予報、2週間気温予報、短期の雪予報などで最新情報を確認する必要があります。
2. 暖冬傾向となる背景
日本の天候は、太平洋熱帯域やインド洋の海面水温の変動など、海洋と大気の相互作用による影響を受けます。
現在、太平洋熱帯域では東部で海面水温が高く、西部で低い状態となるエルニーニョ現象(*1)が発生しているとみられ、冬にかけて続く見通しです。また、秋にかけては、インド洋西部の海面水温が高くなる正のインド洋ダイポールモード現象(*2)が発達すると予想されています。
10月から11月は、正のインド洋ダイポールモード現象などの影響により、日本付近は暖かい空気に覆われやすく、寒気が南下しにくい見込みです。
12月から2月は、エルニーニョ現象の影響により、日本付近には高気圧の縁に沿って暖かく湿った空気が流れ込みやすく、全国的に暖冬傾向となる予想です。一方で、南岸低気圧が通過しやすく、太平洋側を中心に雨や雪の影響を受ける可能性があります。
*1 エルニーニョ現象:太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて海面水温が平年より高くなり、その状態が1年程度続く現象です。日本では暖冬になりやすい傾向があります。
*2 正のインド洋ダイポールモード現象:インド洋の西側で海面水温が高く、東側で低くなる現象です。大気の流れを通じて、日本付近の偏西風や季節の進み方に影響することがあります。
※本長期気象予測は、エルニーニョ現象やラニーニャ現象に代表される熱帯の海洋の変動をもとに作成しています。長期的な天候傾向を示すものであり、数週間単位の顕著な高温・低温や長雨などの見通しは、今後の大気の状況によって変わる可能性があります。ご活用の際は、1カ月予報などの最新情報とあわせてご確認ください。
3. 2026/27年冬の天候がビジネスへ与える影響
<製造・小売業>冬商材の立ち上がり遅れと、急な需要変化に対応
11月の高温傾向が続いた場合、冬商材の需要は後ろ倒しとなる可能性があります。一方、短期間の寒波で気温が急低下すると、防寒用品や温かい飲食物などの需要が急に高まることも考えられます。
このため、生産や発注、売場展開は、月平均の気温傾向だけで固定せず、短期予報を確認しながら段階的に調整することが重要です。
<アパレル業>冬物の投入時期と在庫配分を気温変化に合わせる
11月の高温傾向により、コートや厚手ニットなどの冬物衣料の本格需要は遅れる見込みです。冬物商品を早期に一律展開するのではなく、地域ごとの気温変化や寒波の見通しを踏まえ、店頭・ECでの訴求時期を調整することが考えられます。
また、冬の後半は寒暖差が大きくなりやすいため、冬物の在庫管理と春物への切り替えを、短期的な気温変化も踏まえて行う必要があります。
<物流業>南岸低気圧や寒波による輸送影響に備える
太平洋側では、南岸低気圧の影響による雨や雪で、道路・鉄道・航空輸送に影響が出る可能性があります。特に、普段は雪が少ない地域では、短時間の積雪でも交通への影響が大きくなるおそれがあります。
冬季の輸配送では、代替ルートや配送時間の余裕をあらかじめ検討し、雪や輸送影響リスクの予測を踏まえて運行計画を見直すことが重要となるでしょう。
<エネルギー業>暖房需要の変動と、天候による発電量変化に注意
暖冬傾向の場合、季節全体では暖房需要が例年より抑えられる可能性があります。一方、寒波時には暖房需要が短期間で高まるため、月平均の気温だけでは需給変動を捉えきれません。
また、太平洋側を中心に降水量が多い見込みのため、日射量の変化によって太陽光発電出力が変動する可能性があります。気温、降水、日射量の予測を組み合わせ、需給見通しを継続的に更新することも必要となるでしょう。
4. 長期予報を活用し、天候変化に備える
長期予報は、季節単位・月単位の気温や降水の傾向を踏まえ、生産、在庫、販促、物流、エネルギー需給などの計画を検討する際に有効な情報となります。
ここまでの天候見通しは、主に平年との比較で示しています。一方、企業が前年実績をもとに販売、生産、在庫、エネルギー需給などの計画を立てる際は、平年差だけでなく、前年差や近年10年平均との差も重要になります。
例えば、2027年2月は平年より気温が高いものの、前年(2026年)よりは低い傾向が見込まれます。この場合、暖房需要や冬物商材の需要が前年より高まる可能性もあり、前年と同じ販売・在庫・需給計画では、需要変化に十分対応できないことも考えられます。複数の基準と比較することで、前年実績を踏まえた計画変更の必要性を、より具体的に検討できます。
一方、特定日の大雪や寒波、南岸低気圧など、個別の気象現象は長期予報だけでは判断できません。週単位の顕著な高温・低温は概ね1カ月前から、南岸低気圧などの現象は2週間前から、より具体的な予報に反映されます。
このため、企業では、長期予報で大きな方向性を定めた上で、1カ月予報、2週間気温予報、短期予報を用いて計画を更新していくことが大切です。
平年差、前年差、近年10年平均との差などの比較情報と、実行時期に応じた予報を組み合わせることで、中長期の計画と直前の対応を段階的に見直すことができます。
日本気象協会では、直近の予報から最長2年先(24カ月先)まで、さまざまな気象データの提供と専門知見に基づくコンサルティングを行っています。
5. 2年先長期気象予測について
日本気象協会では、製造・発注・在庫・マーケティング・エネルギー需給など、長い準備期間を要する企業の計画に向け、最長2年先までの気象傾向を予測する「2年先長期気象予測」を提供しています。
季節・月ごとの気象傾向に加え、平年差、前年差、近年10年平均との差など、事業計画に活用しやすい比較情報も提供しています。また、企業ごとの事業課題や対象商材に応じて、気象変化を意思決定に活用するための支援を行っています。2027年夏から2028年にかけての気象傾向についても、最新データに基づきご提案が可能です。詳しい予測内容や事業計画への活用方法はお問い合わせください。
*ウェザーマーケティング情報メディア「Weather X」お問い合わせフォーム
https://weather-jwa.jp/contact/
参考情報
花粉症関連商品を扱う企業向け「2年先長期気象予測 花粉商材レポート」の提供を開始
~花粉飛散予測から市場規模・需要タイミングまで長期的な事業判断を支援~
https://www.jwa.or.jp/news/2026/09/46502/
![]() | 一般財団法人 日本気象協会 防災・気象DX本部 気象DX事業部 シニアデータアナリスト 気象予報士・データ解析士・健康気象アドバイザー・防災士 小越 久美(おこし くみ) 筑波大学第一学群自然学類地球科学専攻(気候学・気象学)卒。 2004年から2013年まで、日本テレビ「日テレNEWS24」にて気象キャスターを務める。 筑波大学 植田宏昭教授の助言・協力のもと、季節予報の新たな技術開発に取り組み、気象業界で初めて最長2年先までの気象予測手法を開発(特許第7569539号)。 食品、日用品、アパレル、エネルギー業界向けに「2年先長期気象予測」を使った気象コンサルティングを行っている。 「季節予報の基盤技術の開発に基づく社会実装の振興」により令和7年度科学技術分野の文部科学大臣表彰「科学技術賞(科学技術振興部門)」を受賞。 |
|---|
当レポートは情報提供のみを目的として作成されたものであり、取引の勧誘を目的としたものではありません。本資料は、当社が信頼できると判断した各種データに基づき作成されておりますが、その正確性、確実性を保証するものではありません。本資料のご利用に際しては、ご自身の判断にてなされますようお願い申し上げます。また、本資料に記載された内容は予告なしに変更されることもあります。本資料の全文または一部を転載・複製する際は著作権者の許諾が必要ですので、当社までご連絡ください。商品ごとの情報やコンサルティングにつきましても当社までお問い合わせください。
PDFダウンロード: ウェザーマーケティングレポート Vol.6 2026/27年冬(12月~2月)の天気とビジネスへの影響は? ~暖冬傾向の一方、急な寒波と太平洋側の雪に注意~
