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日本気象協会、日本域に特化した 領域AI気象予測モデルを独自開発
~水平解像度4km・1時間間隔で日本域を予測、2027年度の試験運用開始を目指す~
2026.10.06
プレスリリース
一般財団法人 日本気象協会(本社:東京都豊島区、理事長:守屋 岳、以下「日本気象協会」)は、日本域を対象とした独自の領域AI気象予測モデル(以下「本モデル」)を開発しました。本モデルは水平解像度4kmで、現在、予測特性や精度の検証と改良を進めています。今後、2027年度の試験運用開始を目指します。
本モデルは、AIを用いて将来の大気状態を高速に予測する気象予測モデルです。AI気象予測モデルは、過去の気象データを学習し、実際の大気状態との予測誤差が小さくなるようモデルを最適化できることが特徴です。これにより、従来の数値予報とは異なるアプローチで予測精度の向上を図ることができます。
こうした予測精度の向上に加え、高速に予測できることもAI気象予測の大きな特徴です。このAIの高速性を生かし、高頻度な予測更新や、多数の予測シナリオを用いたアンサンブル予測への展開を目指します。日本気象協会では、従来から運用している物理ベースの数値予報モデルやJWA統合気象予測(注1)とAI気象予測を組み合わせることで、気象予測技術全体の高度化を進めていきます。
(注1)JWA統合気象予測 https://www.jwa.or.jp/weather-technology/jwa-blend-of-models/
領域AI気象予測モデルの概要
本モデルは、日本域を対象に、日本周辺の大気状態を水平解像度4kmで予測する領域AI気象予測モデルです。予測値は1時間間隔で出力し、日本の複雑な地形や局地的な気象特性を、より詳細に表現することを目指しています。
・対象領域:日本域
・水平解像度:4km
・予測対象要素:降水量、気温、風向・風速、気圧、湿度など
・予測時間間隔:1時間

領域AI気象予測モデルのイメージ
現在は本モデルの予測特性を詳細に検証しています。気象庁のメソ数値予報モデル(MSM)との比較では、降水量、気温、風速、気圧など複数の要素で精度向上を確認しており、翌日・翌々日の予測ではRMSE(二乗平均平方根誤差。値が小さいほど精度が高い)が最大約30%低減しました。今後、評価期間や対象事例を拡充し、顕著現象を含むさまざまな気象条件で性能を検証します。
背景
近年、AIを活用した気象予測技術は世界的に急速に進展しています。AI気象予測モデルは、従来の物理ベースの数値予報モデルと比べて予測計算に必要な計算資源を抑えやすく、高速に予測結果を生成できることが大きな特徴です。研究開発や実用化の取り組みも世界各地で拡大しています。
一方、世界的に開発されているAI気象予測モデルの多くは全球を対象としています。日本国内の局地的な気象現象を詳細に捉えるためには、日本域に特化し、高い空間分解能と時間分解能を備えたAI気象予測モデルが求められます。日本は複雑な地形を有し、台風、大雨、大雪など、社会や事業活動に大きな影響を及ぼす気象現象が発生します。こうした日本の気象をより詳細に予測するため、日本気象協会は本モデルを独自に開発しました。
日本気象協会がAI気象予測モデルを独自開発する意義
日本気象協会は、独自の気象予測モデル「SYNFOS」(https://www.jwa.or.jp/weather-technology/synfos/)の開発・改良を長年にわたり継続し、数値予報技術に関する知見を蓄積してきました。また、日々の気象予測業務を通じて膨大な気象データを取り扱い、予報現場や顧客の事業活動において気象情報がどのように利用されるかについても知見を有しています。
本モデルの開発では、これまで培ってきた数値予報やデータ同化に関する技術、気象ビッグデータの取り扱い、気象予測・予報業務に関する知見を、AI・機械学習技術と組み合わせています。
これらを組み合わせ、日本の気象特性や実際の利用場面を踏まえた、気象予測業務で活用できる技術基盤へと発展させることを目指しています。
日本の気象を詳細に予測するための独自技術
本モデルでは、現在の大気状態とその時間変化に加え、標高や土地利用などの地理情報を入力として活用し、大気場の時間変化と地域ごとの気象特性の双方を捉えるよう設計しています。これにより、日本の複雑な地形や多様な土地利用の影響を受ける局地的な気象特性を、より詳細に表現できるモデルとなっています。
また、高い時空間分解能で長時間先まで予測するAIモデルは、学習時の計算量が大きくなります。本モデルでは、長時間予測を効率的に学習する手法やモデル構造を工夫することで計算コストを抑え、水平解像度4km、予測時間間隔1時間の日本域モデルを実現しました。
AI気象予測の特徴と想定される活用
AI気象予測は予測計算を高速に実行できることから、多数の予測シナリオを短時間で生成できる可能性があります。本モデルでは、この高速性と水平解像度4kmという高い空間分解能を生かし、以下のような活用を検討します。
・日本域における高解像度・高時間分解能の気象予測
・予測更新の高頻度化による、企業やインフラ事業者などの早期判断支援
・台風、大雨、大雪など、社会的影響の大きい顕著現象に対する予測技術の高度化
・多数の予測シナリオを用いたアンサンブル予測による、気象リスクの確率的な把握
今後の展開
日本気象協会は、2027年度の本モデルの試験運用開始を目指し、実際の気象予測業務への適用可能性や運用上の課題を検証します。試験運用を通じて得られた知見をモデルの改良に反映し、継続的な精度向上を図ります。
また、将来的には1km級の高解像度モデルの開発を目指すとともに、AIモデルの高速性を生かした大規模なアンサンブル予測技術の開発にも取り組みます。多数の予測シナリオを活用し、顕著現象の発生可能性や気象リスクを確率的・多面的に把握できる技術へ発展させることで、企業活動や社会インフラの運用、防災分野における意思決定支援につなげていきます。
以上
PDFダウンロード: 【日本気象協会報道発表】日本域に特化した領域AI気象予測モデルを独自開発