風力発電出力予測
Services
複数の気象モデルと風況解析技術で、高精度な風力発電出力予測情報を提供します。
「風力発電出力予測」は、風力発電施設の発電出力を高精度に予測するサービスです。
風力発電は天候で発電出力が大きく変動するため、電力需給運用には高精度な風力発電出力予測が必要になります。日本気象協会は、独自気象モデルSYNFOS(シンフォス)を含む複数の気象モデルによる予測と風況解析技術やポストプロセッシング(※1)により、予測精度を高めています。
●複数の気象モデルによる予測
日本気象協会は、独自気象モデルSYNFOSを複数運用しています。この結果と気象庁などの気象モデルを複数組み合わせた予測(統合予測)を実施しています。統合予測により、単一の気象モデルで予測した場合に比べて高い予測精度を実現します。
●過去実績値を用いた統計補正
風車を回転させる風は周辺の微細な地形の影響を受けています。このため、気象モデルだけでは風を精度良く予測できない場合があります。そこで、過去実績値を用いた統計学的アプローチにより、気象モデルの予測値から系統的な誤差を除去します。

●発電出力変換
風速と発電出力の関係式(パワーカーブ)を適用することで、風速を発電出力に変換します。風速・発電出力の過去実績値から作成したパワーカーブ(実績パワーカーブ)を用いて、風車稼働状況をより適切に反映することも可能です。

●風車稼働率補正
風車の故障やメンテンナンスにより発電施設内の風車が稼働を停止した場合、風速に応じて得られる発電出力が低下します。一方で、予測値は全ての風車が稼働していることを前提としているため、風車の稼働停止により予測値と実績値の間に乖離が生じることがあります。そこで、風車稼働率を用いた補正を実施し、風車の稼働状況を加味した予測を実現します。風車の稼働状況が把握できない場合は、過去実績値から稼働率を推定し、予測値へ反映することも可能です。

●現地実績値を用いた逐次補正
予測対象地点周辺で観測された風速・発電出力実績値を予測値へリアルタイムに反映(逐次補正)することで、予測精度をさらに高めることが可能です。逐次補正の効果は数時間先までで特に大きく、発電施設内に併設した蓄電池の制御など、直近の予測精度を重視する場合に有効です。

●発電出力の信頼区間幅予測
過去実績値やアンサンブル予測(※2)を活用し、予測値に信頼区間幅を付加した提供も可能です。信頼区間幅の付加により、予測値の上振れリスク・下振れリスクを考慮した活用を実現します。

サービス内容
当日~翌々日程度までを対象とした予測サービスの内容は以下のとおりです。

特徴
・独自気象モデルSYNFOSを含む複数の気象モデルを活用
・独自のポストプロセッシング(統計補正・逐次補正など)を組み合わせることで、さらなる高精度化を実現
・陸上風力だけではなく、洋上風力を対象とした予測情報も提供可能
用途
・一般送配電事業者による電力需給計画の作成
・小売電気事業者による経済的な電力調達計画の作成支援
・蓄電池併設型の風力発電施設での出力平滑化支援
・風力発電事業者や発電バランシンググループ、アグリゲーターなどによる高精度な発電販売計画の作成支援
(※1)ポストプロセッシング…後処理のこと。ここでは、気象モデルの予測値にさまざまな補正処理を適用し、予測精度を向上させることを指す。
(※2)アンサンブル予測…わずかに異なる大気の状態(初期値)から多数の予測を行い、その平均やばらつきの程度といった統計的な性質から、最も起こりやすい現象を予測する手法。
※「SYNFOS」は日本気象協会の登録商標(登録第4935276号)です。