風力発電出力予測サービス SYNFOS-wind
Services
複数気象モデルとAI技術をはじめとする各種解析技術を組み合わせ、高精度な風力発電出力予測情報を提供します。
「SYNFOS-wind(シンフォス ウィンド)」は、風力発電所(ウィンドファーム)を対象とした風向風速および風力発電出力を高精度に予測するサービスです。
風力発電の国内導入量は年々増加しており、今後は陸上風力に限らず洋上風力の導入拡大も見込まれています。また2022年4月にはFIT(Feed-in Tariff)制度の後継となるFIP(Feed-in Premium)制度が施行され、ウィンドファームを所有する発電事業者も日々の発電計画の作成・提出を行う必要が生じることになりました。しかしながら、風力発電は天候や周辺地形に左右される不安定な電源であるため、精度の高い発電計画を作成するためには予測情報が重要です。
そこで日本気象協会では、国内外の複数気象モデルを活用した統合予測とAI技術をはじめとした各種解析技術を組み合わせることで、高精度な予測情報を提供しています。

●複数気象モデルによる統合予測
日本気象協会の独自気象モデルSYNFOS(シンフォス)と国内外の複数気象モデルを組み合わせた統合予測により、単一の気象モデルで予測した場合に比べて予測精度の向上を実現しました。予測条件に応じて気象モデルの組み合わせや統合方法を調整することで、対象地点や利用目的に応じた高精度な予測情報の提供を実現しています。

●AI技術を組み合わせた予測精度向上
予測精度の高度化に対するニーズに応えるため日本気象協会は、以前から提供していた独自の風向風速・風力発電出力予測モデルに風況の面的補正などのAI技術を組み合わせています。SYNFOS-windは既設ウィンドファームを対象とした予測精度検証で、改良前と比べて年間のMAE(平均絶対誤差)が10%向上しています。

対象地点:北海道内の既設陸上ウィンドファーム(風車1基を対象とした場合) 対象期間:過去1年間
※予測精度は一例であり、対象地点や対象期間によって予測傾向は異なります。
●過去実績値を活用した予測式設定
風車を回転させる風は周辺地形や建造物などの影響を受けやすく、他の気象要素(日射量など)に比べて予測が難しいという特徴があります。そこで風向風速や風力発電出力などの過去実績値を提供いただくことで、対象地点に特化した予測式を設定します。風車ごとの実績値を採用することにより、ウェイク(※)の影響を考慮した予測も可能です。
※ウェイク:風上側に設置した風車の影響により、風下側で風速の減少や乱れの増大が発生する現象のこと。この現象により、風下側の風車では発電出力が低下するなどの問題が生じる。

●発電出力変換
風速と風力発電出力の関係式(パワーカーブ)を適用し、風速から風力発電出力へ変換します。風速と風力発電出力の過去実績値から設定した実績パワーカーブを用いて、風車の稼働状況をより適切に反映することも可能です。
●風車稼働率補正
風車の故障やメンテンナンスによってウィンドファームの一部が稼働停止した場合、風速に応じて得られる風力発電出力が低下します。この影響で予測値と実績値の間に乖離が生じ、結果として過大予測傾向が継続してしまうことがあります。そこで風車稼働率を連携した補正により、風車の稼働状況を加味した予測を実現します。

●現地実績値を用いた逐次補正
予測対象地点で計測された風向風速や風力発電出力の実績値をリアルタイムで連携し、作成した予測値に都度反映することも可能です(逐次補正)。逐次補正の効果は数時間先までで特に大きく、時間前市場の活用や発電施設内に併設した蓄電池の制御など、直近の予測精度を重視する場合に有効です。
サービス内容
風力発電出力予測のサービス内容は以下のとおりです。
短時間予測、短期予測、週間予測、2週間予測など、利用目的に応じた情報提供が可能です。

特徴
●独自気象モデルSYNFOSを含む国内外の複数気象モデルを活用(統合予測)
●AI技術と組み合わせた予測式設定や各種解析技術(風車稼働率補正、逐次補正など)により、さらなる高精度化を実現
●短時間予測、短期予測、週間予測、2週間予測など、利用目的に応じた情報提供が可能
●陸上風力だけではなく、導入拡大が見込まれる洋上風力を対象とした情報提供も可能
用途
●一般送配電事業者による電力需給計画の作成支援
●小売電気事業者による経済的な電力調達計画の作成支援
●風力発電事業者や発電バランシンググループ、アグリゲーターなどによる高精度な発電販売計画の作成支援
●風力発電を利用した自己託送によるRE100の達成支援
●蓄電池併設型の風力発電施設での出力平滑化支援
●FIP制度への切り替えや、洋上風力発電事業への本格参入を見据えた事前検討
FAQ
1. 事前検討を目的とした過去予測データ整備、予測精度検証は可能ですか?
>実施可能です。報告資料の作成も承りますので、詳細につきましては個別にお問い合わせください。
2. 発電出力変換に必要な風力発電設備仕様とは何ですか?
>位置情報(緯度経度)、定格出力、風車ハブ高さ、カタログ値パワーカーブなどを指します。詳細につきましては、個別にお問い合わせください。
3. 過去実績値の提供が難しい場合でも、予測式の設定は可能ですか?
>対象地点周辺の風向風速観測データ、および日本気象協会所有の風向風速推定値を用いることで、運用開始前の風力発電所を対象とした予測式の設定も可能です。また、風力発電出力実績値のみでの予測式設定も可能です。
4.対象地点や予測条件に関わらず、必ずAI技術が採用されるのですか?
>予測式設定に用いる過去実績値の品質や期間によっては、AI技術を用いない予測手法をご提案する場合もございます。SYNFOS-windに加え、AI技術を用いない予測手法に関してもさらなる高度化に努めてまいります。
5. 海外の風力発電所を対象とした予測情報提供は可能ですか?
>対応可能です。詳細につきましては、個別にお問い合わせください。
6. サービスの導入にあたり、専用のソフトウェア・ハードウェアは必要ですか?
>WebAPIやメール配信での提供であれば、通常のインターネット回線のみでご利用可能です。またデータ受信用のサーバを別途用意いただければ、当該サーバへのデータ連携も可能です。
7. 価格を教えてください。
>予測対象地点数のほか、予測種別や提供要素を指定しご連絡いただければ別途お見積りいたします。
8. 個人で購入することは可能ですか?
>申し訳ございませんが、風力発電出力予測は法人向けサービスとなっております。
※「SYNFOS」は日本気象協会の登録商標(登録第4935276号)です。
関連ニュース
・日本気象協会、AI技術の新規導入により予測精度が10%向上した風力発電出力予測サービス「SYNFOS-wind」の提供を開始(2024/01/16日本気象協会ニュースリリース)
https://www.jwa.or.jp/news/2024/01/22153/