日本気象協会、AI技術の新規導入により予測精度が10%向上した風力発電出力予測サービス「SYNFOS-wind」の提供を開始
Press Release
一般財団法人 日本気象協会(本社:東京都豊島区、理事長:渡邊 一洋、以下「日本気象協会」)は、風力発電事業者向けに展開しているこれまでの「風力発電出力予測」サービスに風況の面的補正などのAI技術を導入した機能拡張を行い、2024年1月16日(火)から新たに「SYNFOS-wind(シンフォス ウィンド)」の名称にて提供します。日本気象協会は高精度な風向風速・風力発電出力予測情報の提供を通じて、電力系統の安定化およびエネルギーの安定供給に貢献します。
■SYNFOS-windの概要
風力発電の国内導入量は年々増加しており、今後は陸上風力に限らず洋上風力の導入拡大も見込まれています。また2022年4月にはFIT制度(注1)の後継となるFIP制度(注2)が施行され、ウィンドファームを所有する発電事業者も日々の発電計画の作成・提出を行う必要が生じることになりました。しかしながら、風力発電は天候や周辺地形に左右される不安定な電源であるため、精度の高い発電計画を作成するためには予測情報が必要不可欠です。
予測精度の高度化に対するニーズに応えるため日本気象協会は、以前から提供していた独自の風向風速・風力発電出力予測モデルにAI技術を組み合わせ、風向風速や風力発電出力の予測精度を高めたSYNFOS-windとして提供を開始します。SYNFOS-windは既設ウィンドファームを対象とした予測精度検証で、改良前と比べて年間のMAE(平均絶対誤差)が10%向上しています。


対象地点:北海道内の既設陸上ウィンドファーム(風車1基を対象とした場合) 対象期間:過去1年間
※予測精度は一例であり、対象地点や対象期間によって予測傾向は異なります。
■サービスの提供仕様
SYNFOS-windの提供仕様は以下のとおりです。
短時間予測、短期予測、週間予測、2週間予測など、利用目的に応じた情報提供が可能です。

■サービスの利用用途
風力発電出力予測サービスSYNFOS-windは、以下の用途で活用いただけます。
・一般送配電事業者による電力需給計画の作成支援
・小売電気事業者による経済的な電力調達計画の作成支援
・風力発電事業者や発電バランシンググループ(注3)、再エネアグリゲーター(注4)などによる高精度な発電販売計画の作成支援
・風力発電を利用した自己託送によるRE100(注5)の達成支援
・蓄電池併設型のウィンドファームでの出力平滑化支援
・FIP制度への切り替えや、洋上風力発電事業への本格参入を見据えたインバランス(注6)の試算 など
■サービス開始日
2024年1月16日(火)
■サービスに関するお問い合わせ(法人向け)
日本気象協会 環境・エネルギー事業部 営業課
Mail:ke-eigyo_kankyo@jwa.or.jp
*報道関係の方は日本気象協会 広報室までお問い合わせください。
(注1):FIT制度
「フィード・イン・タリフ」のことで、太陽光や風力をはじめとした再生可能エネルギーによって発電した電気を、国が定めた価格で買い取るよう電力会社に義務づける制度を指す。
(注2):FIP制度
「フィード・イン・プレミアム」のことで、再生可能エネルギーにより発電した電力を発電事業者自らが電力市場で売電することを原則としている。その売電の際、変動する市場価格にプレミアム(上乗せ価格)をつける制度のこと。
(注3):バランシンググループ
幹事となる新電力事業者が複数の新電力事業者をとりまとめ、グループ内でインバランスの融通、電源調達を行うことで、小売電気事業の調達・需給管理業務の効率化を提供する機能のこと。
(注4):再エネアグリゲーター
特定卸供給事業者のことで、風力発電などの再生可能エネルギー発電設備や蓄電池などのエネルギーリソースを集約し、集約したリソースを活用したさまざまなサービス(例:再生可能エネルギー電源の接続サービスやエネルギーマネジメントサービスなど)を提供する。
(注5):RE100
「Renewable Energy 100%」のことで、事業活動で消費するエネルギーを100%再生可能エネルギーで調達することを目標とした国際的な取り組みのこと。
(注6):インバランス
小売電気事業者による需要計画値と需要実績値との差、あるいは発電事業者による発電計画値と発電実績値の差分のこと。この差分が一般送配電事業者によって清算されることで発生するペナルティ料金のことをインバランス料金と呼ぶ。
※「SYNFOS」は日本気象協会の登録商標(登録第4935276号)です。
以上
PDFダウンロード:【日本気象協会報道発表】風力発電出力予測サービス『SYNFOS-wind』_