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2018.09.18

ドローンによる上空気象観測にて「霧」の発生・消散メカニズムの解析を開始 ~立命館アジア太平洋大学(APU)にて6月に行った実証実験結果と今後の展開について~

  一般財団法人 日本気象協会(本社:東京都豊島区、会長:石川 裕己、以下「日本気象協会」)は、京都大学防災研究所(所在地:京都府宇治市、所長:中川 一)、山口大学(所在地:山口県山口市、学長:岡 正朗)、明星電気株式会社(所在地:群馬県伊勢崎市、気象防災事業部長:柴田 耕志)と共同で、「霧」の発生・消散メカニズム解析を開始します。

  本解析には、従来から行っている地上観測地点での霧の観測に加え、ドローン(UAV:Unmanned Aerial Vehicle、無人航空機)による上空気象観測を組み合わせて立体的に行います。

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写真)気象センサーと雲粒子ゾンデ(HYVIS)を搭載したドローン

 

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写真)上空気象観測のために飛行するドローン

(6月19日、立命館アジア太平洋大学(APU)にて)

 

■1.概要
  霧の発生による視界不良が経済や日常生活へ与える影響については、これまでもさまざまな分野にて議論がなされてきました。今回の解析では、西日本高速道路株式会社九州支社の協力を得ながら、大分県別府市にある立命館アジア太平洋大学(APU)にて、ドローンを活用した上空気象観測を実施します。解析を通じ、気温や湿度、風向風速、霧粒子の鉛直分布の構造と変化を詳細に把握していきます。今後は霧の発生・消散メカニズム解析を通じ、大分自動車道をはじめとする国内各地での霧の発生・消散予測精度の向上を目指します。 

■2.調査場所選定に関して
  大分空港への主要アクセス道でもある大分自動車道(別府~湯布院)では、広域かつ頻繁に発生する霧による通行止めが多発しています。平成28年度の全国高速道路を対象とした霧通行止め時間ワーストランキング(平成28年度)によると、別府湾周辺の大分自動車道、宇佐別府道路、日出バイパスの通行止め時間は265.4時間で、上位10位までを独占しています。

(平成28年度高速道路会社6社の要因別通行止め時間ワーストランキング.国土交通省
作成.http://www.mlit.go.jp/road/ir/ir-data/pdf/ranking_closed_h28.pdf ) 

  このため、霧通行止めによる地方経済および地域住民への生活の影響が大きくなっています。また、別府湾周辺の霧の特性から、特に通行止め解除のタイミングを的確に捉えることが難しく、通行止め時間の削減に向けた、解除判断の迅速性が求められています。
  今回の観測は、大分自動車道における、霧通行止め早期解除に資する霧発生・消散予測モデルの高度化を目的とした「大分道 霧発生・消散予測高度化 共同研究事業」のうち、「霧の発生・消散メカニズムの把握」の取り組みとして実施します。複合気象センサーを搭載したドローンを活用し、霧の多発地帯である別府湾SA付近の上空気象観測を行うことで、霧発生・消散時の風の場(地上から上空までの風の吹き方)や湿度、霧粒子などの状況を鉛直的に把握し、複雑な地形が霧に与える影響(気象場)の評価や、霧予測に資するデータの取得を目的に、以下のとおり調査を行います。 

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図)霧の実態把握イメージ 白丸が共同研究のために増設した地上観測点

 

■3.調査内容
複合気象センサーを搭載したドローン(UAV)を上空の複数高度で空中停止(ホバリング)させ、気温・風向風速・湿度・霧粒子の鉛直プロファイル(注1)を計測します。

■4.調査地点
調査地点は別府湾SAに隣接する立命館アジア太平洋大学(APU)。(住所:大分県別府市十文字原1-1)

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図)ドローン飛行場所

 

■5.調査で使用する機器
〇ドローン(UAV):ルーチェサーチ製「SPIDER CS-6」

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○温湿度計:HYT939(Innovative Sensor Technology IST AG)
  外形寸法…5.2×9mm
  温度…-40~+125℃
  温度分解能…0.015℃
  湿度…0~100% RH
  湿度分解能…0.03% RH

〇風向風速計:FT702(FT-Technologies) 
  重量…350g
  外形寸法…55mmΦ×75mm
  風速…0~50m/s
  分解能…0.1m/s 

〇雲粒子ゾンデ: 明星電気社製 「雲粒子ゾンデHYVIS」
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■6.予備観測の実施
  日本気象協会は、京都大学防災研究所、山口大学と共同で、6月19日~20日の霧発生時に、立命館アジア太平洋大学(APU)にてドローンを活用した上空気象予備観測を実施しました。ドローンに複合気象センサーと雲粒子ゾンデHYVISを搭載し、上空の霧の中を飛行させ、高度別の気温、湿度、風向風速、霧粒子の状況を観測することができました。

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図)霧発生時の気象観測状況(6月19日14:11~14:20)風向は360°方位表示

 

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図)霧発生時のHYVIS 観測状況(6 月19 日14:11~14:13)
黒い粒が霧粒子。500m 以上で粒子数が多くなっている。

図)霧発生時のHYVIS観測状況(6月19日14:11~14:13)
黒い粒が霧粒子。500m以上で粒子数が多くなっている。

   

 

■7.今後の取り組み予定について
【霧の発生・消散メカニズムの把握】
・これから秋雨シーズンにかけての霧発生事例を対象に、ドローンを活用した上空気象観測(本観測)を複数回実施
・ドローンを霧の発生時に連続飛行させ、高度別の気温、湿度、風向風速、霧粒子の鉛直分布の毎時観測に加え、霧の発生状況を動画撮影
・観測したデータから鉛直プロファイルを時系列で作成し、予測モデルの検討に必要な霧発生・消散と相関の高い気象要素の抽出

【AI(機械学習)による予測モデルの構築】
・上記の成果に加え、高速道路沿線の観測データを用いたAI(機械学習)による予測モデルの構築
・実運用を見据えた予測モデルの実証(評価)
・霧を発生させる地形斜面に複数増設した観測データ(湿度、風向風速、日射量など)を用いた予測モデルの改良および実証(評価)

  今後、日本気象協会は、膨大な観測データならびに成果を取り込み、機械学習(AI)によって、日本国内各地での霧発生・消散予測モデルを構築・改良し、精度の高い予測情報を提供します。それを通じて、道路や鉄道網などでの通行止めや運行停止の時間の減少を実現し、地方経済や地域住民への生活向上に貢献していきます。

 

(注1)鉛直プロファイル 高さごとの測定値

・製品名、サービス名などは一般に各社の商標または登録商標です。

 

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