日本気象協会、NEDO「着床式洋上ウィンドファーム開発支援事業 (洋上風況マップ改定に向けた基礎調査)」に採択
Press Release
一般財団法人日本気象協会(本社:東京都豊島区、理事長:長田 太、以下「日本気象協会」)は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、「NEDO」)が公募した「着床式洋上ウィンドファーム開発支援事業(洋上風況マップ改定に向けた基礎調査)」(以下、「本調査」)に採択されました。
【本調査の概要】
本調査では、実海域において洋上風力発電設備の設置に係る基本設計に必要な自然的条件のデータを収集し、この結果をNEDO「洋上風況マップNeoWins」(以下、「NeoWins」)の改定に活用することを目的としています。
2019年4月の「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律」(再エネ海域利用法)」の施行を契機に洋上風力発電の導入の機運が高まっています。風力発電事業者が洋上ウィンドファームの事業計画を検討する際には、事業リスクの評価と低減のために、精度の高い洋上風況データが必要となります。このため、NEDOは洋上風力発電の導入拡大に資する支援ツールとしてNeoWinsを2017年3月に公開( http://app10.infoc.nedo.go.jp/Nedo_Webgis/top.html )し、洋上風力発電の導入を推進してきました。再エネ海域利用法の施行により、信頼性の高い洋上風況情報などの提供ニーズはさらに高まっており、NeoWinsの改定が求められているところです。
そこで、本調査では下記の内容を実施し、NeoWinsの改定に活用するデータを収集します。
【調査内容】
・NeoWinsの改定に活用することを目的として、実海域で洋上風況観測を実施します。
・この洋上風況観測には、スキャニングドップラーライダー(注1)を使用します。
・洋上風況観測の結果を用いて数値シミュレーションを実施し、年間の風況を推定します。
・有識者の助言を得ながら効率的に精度のよい観測を行うために検討委員会を設置し、学識経験者などの知見を調査に反映します。
・とりまとめた洋上風況観測の結果などの情報はNEDOホームページで公開します。

沿岸地点より洋上の風を観測しています。
【調査期間】
2020年10月~2023年3月(予定)
事業採択に関する詳細:https://www.nedo.go.jp/koubo/FF3_100301.html
日本気象協会は、2008年からドップラーライダーの導入をはじめ、上空風の観測に活用してきました。現在は、上空風の鉛直分布観測用のドップラーライダーを多数保有し、風力発電事業のための風況観測など、さまざまな調査に活用しています。このほか風況の調査解析として、ブイライダー( https://www.jwa.or.jp/news/2017/07/4490/ )による新しい風況観測手法の開発、ドローンによる気象観測、気象モデルや工学モデルを用いた気流数値シミュレーション、AI風況予測などの技術開発を進めています。日本気象協会は、デジタルトランスフォーメーション時代を支える正確な気象データを提供する「気象データプラットフォーマー」として、再生可能エネルギーの導入拡大に貢献してまいります。
(注1)「スキャニングドップラーライダー」とは
スキャニングドップラーライダーは沿岸地点より洋上方向にほぼ水平にレーザー光のパルスを大気中に放射し、その反射波のドップラー効果による周波数の変移を測定することで、対象とする洋上の風を観測することができます。洋上の風を陸上から観測することが可能であり、設置・撤収が容易で場所もとらないため、洋上で直接風況観測を実施する場合に比べ、大幅なコスト削減が可能となります。
以上
PDFダウンロード:【日本気象協会報道発表】着床式WF開発支援事業について_