日本気象協会「トクする!防災(R)」プロジェクト 「夏の備蓄前線2020」を発表 ~感染症対策のための“+α”備蓄~
Press Release
一般財団法人 日本気象協会(本社:東京都豊島区、理事長:長田 太、以下「日本気象協会」)が推進する「トクする!防災®」プロジェクトは、「夏の備蓄前線2020」を5月29日(金)に発表します。
「夏の備蓄前線2020」は「トクする!防災」プロジェクトの公式サイト(https://tokusuru-bosai.jp/stock/stock07.html) で公開します。
「夏の備蓄前線2020」とは
「夏の備蓄前線2020」は、梅雨や集中豪雨などで洪水や土砂災害が起きやすいシーズンに入り、各地で雨が多くなる時期を参考に、食料品や生活用品などの備蓄を見直す時期の目安を前線図に示したものです。本格的な雨のシーズンに入る前に「夏の備蓄前線2020」を参考に、災害に備えた食料品や生活必需品の備蓄を確認し、シーズンに入ってからは気象情報や警報・注意報などの防災情報に気をつけるようにしましょう。
なお備蓄には、日頃から取り組める「ローリングストック」※が有効です。「トクする!防災」プロジェクトは本格的な雨のシーズンに入る前に「夏の備蓄前線2020」を参考に、災害に備えた食料品や生活必需品の備蓄を推奨します。
※ ローリングストックとは…普段から少し多めに食材、生活用品を買っておき、使った分だけ新しく買い足していくことで、常に一定量を家に確保しておく方法です。古いものから使い、使った分は必ず補充することがポイント。
概況
- ◆西日本では、6月の降水量が平年並みか平年より多くなる見込みです。九州地方や四国地方、西日本を中心とした本州沿岸部では、6月上旬までに備蓄の見直しを完了しておきましょう。
- ◆西日本、東日本の内陸部は、6月中旬までに備蓄の準備をしておきましょう。
- ◆北日本では、7月に入るまでを目途に、備蓄品の確認をしておきましょう。

■北海道![]() | 日本気象協会 北海道支社 森和也 気象予報士 夏の後半にかけて偏西風がやや北を流れ、湿った空気が道内に流れ込みやすくなり、局地的な大雨が増える恐れがあります。今年のように台風1号の発生が5月と、例年より遅かった2011年の道内では、8月に大気不安定による大雨がありました。 2年前は停滞する前線の影響で、石狩川など氾濫の発生した河川がありました。一方、昨年の道内は、日降水量が観測史上1位となる大雨はありませんでしたが、今一度、備蓄や避難経路の確認など防災対策を行うようにして下さい。 |
■東北![]() | 日本気象協会 東北支社 佐藤理恵子 気象予報士 今年の夏の降水量は平年並みの予想ですが、雨量は気温が上がってくる後半に多くなりそうです。新型コロナウイルスを含む感染症の感染リスクを考えた災害時の避難先の確保や在宅避難時の防災備蓄用品の準備は今のうちにしておきましょう。 2018年梅雨明け後の8月、東北地方に前線が停滞しました。山形県では総雨量300ミリ超の記録的な大雨になり、家屋や田畑などは大きな被害を受けました。命を守るには防災用品の他に避難に対する心の備えも必要です。 |
■関東![]() | 日本気象協会 本社 望月圭子 気象予報士 関東は、この夏の降水量はほぼ平年並みですが、気温は平年より高い予想なので、大気の状態が不安定になり、局地的な大雨の可能性があります。都市型水害として、地下室で水害が発生する恐れもあり、注意が必要です。 平成30年7月の台風12号は、関東沖を西よりに進む珍しい進路で、暴風や高波だけでなく、関東の山沿いを中心に大雨をもたらしました。大雨で避難所へ行くのが難しい場合、建物の上階へ移動するのも、避難方法の一つです。 |
■北陸![]() | 日本気象協会 北陸支店 瀬山滋 気象予報士 今年の夏の降水量はほぼ平年並みの予想で、例年同様に6月下旬から7月にかけては梅雨前線の影響で大雨に注意が必要です。雨の季節を前に、避難所までのルートの確認や防災備蓄用品の準備など防災意識を高めましょう。 2018年7月に台風や梅雨前線の影響で、北陸地方の山沿いを中心に記録的な大雨となり、総雨量は350ミリを超えた地点がありました。急流河川の濁流は浸食する力が強く、川の水があふれる前に堤防が決壊する可能性があります。早めの避難行動を心がけましょう。 |
■中部![]() | 日本気象協会 中部支社 奥平雄太 気象予報士 今年の東海地方の夏の降水量は、大体平年並みですが、暖かい空気に覆われやすいため、一雨の量が多くなる可能性があります。前線が停滞しやすい7月は特に大雨災害に注意が必要になりそうです。万全の備えをしましょう。 平成30年7月豪雨では、前線が本州付近で停滞し、岐阜県で総降水量が1000ミリを超えるなど、記録的な大雨となりました。関市では津保川が氾濫し、住宅の浸水が発生しました。また、各地で土砂崩れが発生し、道路の通行止めが相次ぎました。特に梅雨末期は、大雨に対する注意や警戒が必要です。 |
■関西![]() | 日本気象協会 関西支社 北井菊恵 気象予報士 最新の長期予報では、今年6月の近畿、中国、四国地方は、例年に比べ雨量が多くなる可能性があります。また、7月は前半を中心に梅雨前線が停滞するため、西日本は年間で最も雨量が多くなる時期です。大雨への備えを早めに進めましょう。 2018年7月の平成30年7月豪雨では、夜になってから広島県や岡山県、兵庫県などに大雨特別警報が発表され、河川の氾濫やがけ崩れなどの被害が相次ぎました。夜間の屋外への避難は危険な場合もあります。自宅で居住の継続ができる状況であれば在宅避難も選択肢に入れましょう。 |
■九州![]() | 日本気象協会 九州支社 君島由希子 気象予報士 九州は、6月から7月前半にかけては、太平洋高気圧周辺の湿った空気や前線の影響を受け、雨量が多くなる恐れがあります。台風シーズンと重なる時季でもあり、今年も大雨に対して警戒が必要です。早めの備えを心掛けましょう。 梅雨末期の昨年7月20日、長崎県の対馬・五島地方に大雨特別警報が発表されました。8月28日には秋雨前線による大雨で、長崎県や佐賀県、福岡県に大雨特別警報が発表され、浸水など甚大な被害が発生しました。九州の大雨特別警報の発表は、過去3年連続となっています。 |
感染症対策のための“+α”備蓄
今年は新型コロナウイルス対策への準備もしておきましょう。被災時に公的機関による支援が届くまでの目安となる最低3日~1週間分のマスク、アルコール消毒液、そして体調管理のための体温計は備蓄品にセットしておきましょう。備蓄には使った分だけ買い足していく「ローリングストック」をぜひ活用してください。避難所生活は、3密になりやすい条件が揃っています。災害の状況や家族の状況によっては、自宅での在宅避難や、近隣の頑強なマンションの上層階に一時的に避難するなども選択肢の一つです。災害時の避難方法を的確に判断するためにも、防災情報を常に入手できるかを普段から確認しておきましょう。また、「ハザードマップ」を活用し、自分が住んでいる場所が災害による危険のある場所かどうかを、事前に確認しておくことも大切です。
2020年「夏の備蓄」のポイント
6月は、西日本では、前線や湿った空気の影響を受けやすいため、平年に比べて曇りや雨の日が多くなるでしょう。降水量は平年並みか平年より多くなる見込みです。そのほかの地域では、6月から7月にかけて、曇りや雨の日が平年同様に多く、降水量も平年並みでしょう。
また、今年の夏は、全国的に暖かい空気に覆われやすく、平年より気温が高くなる予想のため、各地で局地的な大雨が発生する恐れがあります。停電対策に懐中電灯やランタン、電池式の携帯の充電器、乾電池などの準備をしておくと安心です。短い時間で家屋への浸水や河川の氾濫、土砂災害などの災害が発生する恐れもありますので、この時期は特に最新の気象情報に気を付けるようにしましょう。
そのほか、水の準備は1年中欠かせませんが、夏は特に水の備蓄を増やし、塩分も補給できるイオン飲料の備蓄もしておくと良いでしょう。暑さ対策の冷却グッズや汗拭きシートなども夏の備蓄品としておすすめです。
備蓄する際のポイントとして「ローリングストック」があります。詳しくは「トクする!防災」公式サイトでも紹介しています。「トクする!防災」公式サイト ローリングストックについて
https://tokusuru-bosai.jp/stock/stock03.html
■「トクする!防災」プロジェクトとは
「トクする!防災」プロジェクトは、日本気象協会が推進する、“必要だとは思っているけれど、なかなか実践できない防災アクション”に対し、ちょっとしたおトク感や気軽さをプラスする取り組みです。
日頃から防災対策への興味、関心を高め、最終的に自分や家族の身を守ることができる備えをしながら、安心につなげていくことを目指しています。
公式ウェブサイト https://tokusuru-bosai.jp/

以上
PDFダウンロード:【日本気象協会報道発表】トクする!防災プロジェクト「夏の備蓄前線2020」発表_