CASES波浪・海流の高い予測精度で、海上輸送の安・・・
jeki-mainimg

波浪・海流の高い予測精度で、海上輸送の安全性、効率化および品質の維持・向上に貢献

川崎近海汽船株式會社内航定期船部 副部長 中越公一さん
船舶部 安全運航・海技チーム チームリーダー 運航管理者 田邉顕人さん
  • HOME
  • 事例
  • 波浪・海流の高い予測精度で、海上輸送の安・・・

採用の鍵は“信頼性”。予測精度の高さに加え事後評価のフィードバックで省エネ・省CO2航海の効果の「見える化」に役立っています。

*システムを実際に海上で活用いただいている川近シップマネージメント株式会社 船長 山本新太郎さんのインタビューはこちら

POLARIS(ポラリス)導入に先駆けて 内航船向け最適航海計画システムECoRO(エコロ)や気象海象情報サービスMICOS-Ship(マイコスシップ)をご利用頂いていますが、新たにPOLARIS Navigation を導入してみていかがですか?

中越さん  我々利用者にとって、「導入のしやすさ」は大きなメリットです。これまでの、船舶モニタリングを伴う航海支援サービスは、専用端末の搭載が必要となることなどから新造船でないと導入のハードルが高いと感じていました。しかし POLARISはパソコンのアプリですから、新造のみならず既存船にも容易にインストールが可能です。弊社の RORO 船のうち、3隻は最新のPOLARIS を搭載していますね。


内航定期船部 副部長 中越公一さん

POLARISを使いこなすのに必要な時間は?

田邉さん  リリース前に使わせて頂きましたが、操作が直感的です。ルーティングの状況や気象状況の確認なら5分かからずに使えるでしょうね。


船舶部 安全運航・海技チーム チームリーダー 運航管理者 田邉顕人さん

POLARISを使うことで生まれたメリットは?

田邉さん  POLARISを使うことでこれから走ろうとしている計画航路上でいつ、どんな気象状況に遭遇するか、具体的に分かります。点ではなく線(時系列)で見られるところが大きいですね。

中越さん  最適航路の予想が合致すれば、コースラインが多少遠回りに演算されても効率よく走れますね。実際に船舶の航行には気象海象の様々な要素が絡んでいますし、複数のツールの使い分けもしていますので、現段階では「POLARIS導入で何パーセント削減できた」という数字は出しづらい部分がありますが、燃費向上の理論値は出ていて、シュミレーションベースで2.6%の燃費削減効果に繋がっています。現場では、ベテラン船長ほど自分で判断する傾向がありますが、誤差を細かく日本気象協会さんにフィードバックしつつ協働で POLARISの品質向上に貢献していけば、ベテランの船長ほど導入の価値があると感じています。最も大事なことは「信頼性」です。船員間で判断の差があるならば、その差をPOLARISを利用することで縮め、どこを切っても均質な状態に近づけていくことが会社として今後の課題だと思います。

POLARISで最も役立っている機能は?

田邉さん  弊社の太平洋側を航行する船は黒潮の影響を大きく受けるのですが、異常気象の影響で、季節ごとの黒潮の位置に狂いが生じることがあります。昔は詳細な海流・潮流情報の入手を高頻度に行うことは困難でしたが、POLARISは海流の予測精度が大変高いですし更新頻度も高く、任意の値で波の高さを入力して荒れた海域を回避したルートが作成できて、大変役立っていますね。

中越さん  各サービス間の気象予報のバラツキは、最近ではほぼありません。日本気象協会さんのPOLARISなどのサービスが、早めに予測を出してくれるので助かっています。実際、弊社の運航船で、釧路〜日立間を就航している生乳専用RORO船「ほくれん丸」がありますが、貨物が生乳ですから、早めに判断していかないと貨物が傷んでしまいます。普段はギリギリまで様子見できる航海も、同船の場合は時間の関係もあり容易ではなく、より正確な予測が求められます。甘い見通しで出航したものの貨物を届けられなかったり、逆に本当は行けるのに運休して機会を喪失したりと、判断は一筋縄ではいきません。ですから 正確な情報提供をいただける「POLARIS」を頼りにしています。
最終的な判断は船長自身が下すものですが、ツールはその支援をするためのもの。補助ツールとして、大変役に立っていますね。

* 取材時期 2020年11月
* 記載内容(役職、数値、固有名詞等)はすべて取材時の情報です。