海運・造船向け気象海象データ「POLARIS」を2019年春からAPI提供開始 ~海運・造船分野で利活用可能な「波浪追算データ」などの気象海象データを提供~
Press Release
一般財団法人 日本気象協会(本社:東京都豊島区、会長:石川 裕己、以下「日本気象協会」)は、海運会社や造船所、海事関係の研究機関、舶用機器メーカーを対象とした新サービスとして、気象海象データ「POLARIS」(ポラリス)を、API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)で2019年春から提供します。「POLARIS」では、船舶の燃費や運航効率の改善に寄与することのできる、地球全球の気象海象(海上風や波浪など)の追算〔※注1〕データを取得することができます。正式版サービスの提供に先立ち、2019年1月から、日本国内向け「試用版」サービスを提供します。
2018年4月に開催された国際海事機関 (International Maritime Organization、略称IMO)の第72回海洋環境保護委員会にて、世界で初めて「今世紀中の温室効果ガス(GHG)のゼロ排出を目指すことに合意」がなされました。今後、議論が本格化していくとみられる「GHG削減戦略」にも資するサービスが「POLARIS」です。
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【「POLARIS」による航路に紐付けた気象海象データの提供(イメージ)】 |
「POLARIS」は、地球全球の気象海象(海上風や波浪など)追算データ をWeb API経由で取得できる従量課金型の有償サービスです。海上10メートル高度の海上風、波浪(全体)、風浪、うねりの各要素〔※注2〕を実績航路や計画航路に紐付けて、最小時間間隔10分、最短距離間隔約20m(緯度経度0.01分)にて入手することが可能です。入手したデータにより、実海域中の船舶推進性能の推定や、船体などの性能変化の状態評価、燃費やCO2排出量などの分析算定に利用できます。
※「POLARIS」は、Precise Ocean data LibrARy and Intelligent Serviceの略称です。
※元となるデータの解像度は、時間解像度1時間、空間解像度約50km(緯度経度0.5度)です。
※ブイや衛星の観測値を用い地球全球で精度検証を行った高品質なデータです。
■「POLARIS」提供開始の背景
2018年4月に開催された国際海事機関 (International Maritime Organization、略称IMO)第72回海洋環境保護委員会では、世界で初めて「今世紀中の温室効果ガス(GHG)排出をゼロにすることに合意」がなされました。http://www.mlit.go.jp/report/press/kaiji07_hh_000104.html
この合意を受け、国際海運の世界では「2008年をベースに、2030年までに国際海運全体の燃費効率を40%改善し、2050年までにGHG排出量を半減させる」などの「GHG削減戦略」が議論されるようになります。日本気象協会ではこれまでも、独自の高精度・高解像度気象海象予測を用いた「内航船向け最適航海計画支援システムの提供」や建設コンサルタントとして港湾部などでのコンサルティング活動を行ってきました。
今後のGHG削減戦略の進捗に併せて、船舶・造船向け気象海象データの提供を通じ、業界発展へ貢献していきたいと考えています。
【「POLARIS」API出力画面(イメージ)】 |
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【「POLARIS」提供スケジュール(予定)】
2018年12月 POLARIS「試行版」(プロトタイプ版)完成
2019年1月 日本国内向け「試用版」の提供を開始
2019年4月 日本国内向け「正式版」のサービス提供を開始
2019年6月 海外向け「正式版」のサービス提供を開始
【日本気象協会の気象海象事業に関するこれまでの活動実績】
◎新スマートナビゲーションシステム研究会(Smart Ship Application Platform 2 Project)
◎大型コンテナ船における船体構造ヘルスモニタリングに関する研究開発(国土交通省の先進安全船舶技術研究開発補助事業)
◎実海域実船性能評価プロジェクト(OCTARVIA PROJECT)
◎IoSオープンプラットフォーム(Internet of Ships Open Platform)
■「POLARIS」について
「POLARIS」は以下の目的/用途に活用いただく企業向けに開発しました。
1) 実績航路への気象海象データの紐付け提供
①実海域中の船舶推進性能の推定【船の実力評価】
②入渠判断指標のひとつとなる船体やプロペラの性能変化の評価を行う際の外力情報【船のメンテナンス】
③塗装・省エネ付加物・プロペラなどの省エネ効果検証のための外力情報【船体付加物の実力評価】
2) 計画航路への気象海象データの紐付け提供
①代表航路・計画航路を航海した場合の実海域中の性能指標(燃費、サービス原価、CO2排出量、シーマージンなど)【運航効率・コストの最適化】
②船舶設計に必要な出現頻度分析算定【船体設計の最適化】
【高波浪場も精度良く再現した高品質データ(イメージ)】 |
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【シーマージンの設定等に有効な波高-周期出現頻度分布も作成可能(イメージ)】 |
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<ご参考>
■日本気象協会とは
1950年(昭和25年)に設立した民間気象会社のパイオニア企業。気象・防災・環境に関する情報コンサルタントを実施。
日本国内で、気象分野の年間売り上げ高が 10billionを超える企業
■日本気象協会 主な沿革
1950年 5月 「財団法人気象協会」設立
1955年 5月 気象業務法による「解説予報業務」の許可を受ける(許可第5号)
1966年 4月 「財団法人日本気象協会」として全国統合
1977年12月 日本初の気象情報オンライン提供を開始
1998年 6月 建設コンサルタント登録(道路部門)
2000年 1月 ISO9001認証取得
2001年 9月 建設コンサルタント登録(建設環境部門)(河川、砂防及び海岸・海洋部門)
2006年 7月 建設コンサルタント登録(港湾及び空港部分)
2007年 2月 ISO認証拡大、登録活動範囲に気象情報サービスを追加
2009年10月 内閣総理大臣から移行認可を受け「一般財団法人 日本気象協会」となる
2012年 4月 内航船向け最適航海計画支援システムの提供を開始
2012年12月 ISO27001認証取得
2017年 4月 気象ビッグデータを活用した商品需要予測事業を開始
2018年12月 船舶・造船向け気象海象データ提供準備を開始する
■関連受賞・表彰実績
2010年 7月
「波浪うちあげ高予測システムに関する調査業務」にて、国土交通省国土技術政策総合研究所より、優良業務表彰を受ける
2016年 6月
「需要予測の精度向上・共有化による省エネ物流(モーダルシフト)プロジェクト」にて、
一般社団法人日本物流団体連合会より、第17回物流環境大賞 環境物流大賞を受賞
2017年 1月
「需要予測の精度向上・共有化による省エネ物流プロジェクト」にて、一般財団法人 省エネルギーセンターより、
平成28年度省エネ大賞 経済産業大臣賞 を受賞
2017年 3月
「内航船向け最適航海計画支援システムの開発 商用化」にて、一般財団法人 日本水路協会より、
第31回水路技術奨励賞を受ける
注1: 北緯75度~南緯75度、東経0度~西経0度の全球範囲において、確定した観測値を用い、過去の気象海象を推算したもの。
注2: 海上風(風向、風速)や波浪(波高、周期、波向など)などの全32要素から提供を開始します。(随時追加予定)
以上
PDFダウンロード:【日本気象協会報道発表】海運・造船向け気象海象データ「POLARIS」_