『2018年の日射量(速報版)』発表 ~東北南部から沖縄で、例年と比べ「やや多い」傾向~
Press Release
一般財団法人 日本気象協会(本社:東京都豊島区、会長:石川 裕己、以下「日本気象協会」)は、『2018年の日射量(速報版)』を2018年12月25日(火)に発表します。本資料は、2018年の日本全国の年間日射量(※1)を地域別にまとめたもので、太陽光発電や農業分野で事業の参考情報として活用いただくことができます。
今回の発表の「速報版」は、2018年1月1日から11月30日までの観測値と、例年(2008年~2017年)12月の平均値をもとに全天日射量を算出しています。2018年12月までの観測値を含めた「2018年の日射量(確定版)」は2019年1月下旬に発表予定です。 日本気象協会は、日照時間(※2)から全天日射量(※3)を推定する独自技術「アメダス推定日射量」により、全国約840地点の全天日射量をリアルタイムに推定しています。このアメダス推定日射量を用いて、「2018年の日射量」を分析しました。
※1 全国にある約840地点の日照時間のアメダス観測値をもとにした推定日射量値から算出した1年間の合計日射量。
※2 直射日光が地表面に当たっている時間。一般的に、日照時間が多いほど日射量も多い傾向がある。
※3 地表面が受ける太陽からのエネルギー量。
■2018年の日射量
(1) 例年との比較
-東北南部から沖縄で「やや多い」、北海道から東北北部で「やや少ない」傾向-
図 2018年の推定日射量(例年比)(速報版) |
(2) 前年(2017年)との比較 -東北南部から東海・北陸で「やや多い」傾向- 2018年の年間日射量は、例年と比べ東北南部から沖縄の広い地域で「やや多い」傾向となりました。一方、北海道から東北北部では、「やや少ない」から「例年並」でした。
3月から4月にかけて、移動性高気圧に覆われやすかったことから、東北南部から沖縄では日射量が多くなりました。特に3月は、全国29カ所のアメダス地点で3月としては統計開始以来最も多い月間日照時間も観測され、日射量が多い傾向となりました。
また、関東甲信地方で「初の6月の梅雨明け」となるなど、全国的に梅雨明けが早く、梅雨明け以降8月にかけて関東甲信から九州北部で晴れた日が多くなりました。しかし、北海道から東北北部では、6月や8月に低気圧や前線の影響で曇りや雨の日が多い傾向が見られました。9月は、東北南部から九州に秋雨前線が停滞しやすく、大阪・京都・奈良などの近畿地方を中心に日射量が少なくなりました。
1月から12月の通年では、北海道や東北北部以外の地域で、日射の絶対量が多い春~夏にかけて日射量が多かったことから「やや多い」傾向となりました。
図 2018年の推定日射量(前年比)(速報版) |
【例年と前年について】2018年の年間日射量は、前年(2017年)と比べて東北南部から東海・北陸で「多い」から「やや多い」地点が多く見られました。一方、北海道の日本海側や太平洋側では、「少ない」から「やや少ない」傾向となりました。近畿から九州では、「前年並」の地点が多くなりました。沖縄・奄美では「前年並」から「やや多い」傾向となりました。
例年:過去10年(2008~2017年)の年間日射量の平均値
前年:2017年の年間日射量
【本資料の年間日射量の比較に関する用語】
かなり多い :例年(前年)の+10%以上
多い :例年(前年)の+6~+10%
やや多い :例年(前年)の+2~+6%
並 :例年(前年)の-2~+2%
やや少ない :例年(前年)の-2~-6%
少ない :例年(前年)の-6~-10%
かなり少ない :例年(前年)の-10%未満
補足資料
■アメダス推定日射量について
太陽光発電出力を推定するためには太陽からのエネルギー量を表す日射量の情報が必要です。しかし、気象庁が観測している(全天)日射量は全国48カ所(※4)と限られ、全国約840地点のアメダスで観測されている日照時間と比べると地点数が不足しています。
そこで日本気象協会は、NEDO(※5)の研究事業を通じ、アメダスで観測された日照時間から全天日射量を高精度で推定するモデルを開発しました。
このモデルによる出力結果は「アメダス推定日射量」として大手電力各社、新電力各社、太陽光発電事業者向けに提供しています。アメダス推定日射量(推定値)は、リアルタイムでオンライン提供しているほか、1992年から蓄積している過去データも提供しています。これらの過去データは、日射量の長期的な変動解析などの目的でご利用いただけます。
※4 2018年12月20日現在の観測地点数
※5 国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構
以上
PDFダウンロード:【日本気象協会報道発表】2018年の日射量(速報版)_