日本気象協会「トクする!防災」プロジェクト 「秋の備蓄前線2020」を発表 ~まもなく秋の台風シーズン 今年は短時間の大雨にも注意~
Press Release
一般財団法人 日本気象協会(本社:東京都豊島区、理事長:長田 太、以下「日本気象協会」)が推進する「トクする!防災」プロジェクトは、「秋の備蓄前線2020」を2020年8月28日(金)に発表します。
「秋の備蓄前線2020」は「トクする!防災」プロジェクトの公式サイト(https://tokusuru-bosai.jp/stock/stock07.html)で公開します。
「秋の備蓄前線2020」とは
「秋の備蓄前線」は、秋雨や台風などで各地の雨が増え、土砂災害や洪水が起きやすくなる時期を参考に、食料品や生活用品などの備蓄の見直しを推奨する時期を前線図で表したものです。
短時間に多くの雨が降ると、都市部での内水氾濫が発生する危険性が高まります。また長時間雨が降り続くと河川洪水や河川氾濫、土砂災害にも注意が必要です。雨が増えるシーズンに入る前に、災害に備えた食料品や生活用品の備蓄を見直し、シーズンに入ってからは気象情報や警報・注意報などの情報に気をつけましょう。
なお備蓄には、日頃から取り組める「ローリングストック」※が有効です。「トクする!防災」プロジェクトは秋の雨が多くなるシーズンに入る前に「秋の備蓄前線2020」を参考に、災害に備えた食料品や生活必需品の備蓄を推奨します。
※ ローリングストックとは…普段から少し多めに食材、生活用品を買っておき、使った分だけ新しく買い足していくことで、常に一定量を家に確保しておく方法です。古いものから使い、使った分は必ず補充することがポイント。
概況
- 西日本や東日本の太平洋側では、9月の降水量は平年並みか平年より少ない見込みですが、全国的に気温が平年より高い状態が続くため、局地的な大雨の恐れがあります。備えのタイミングは早めに、準備・確認を進めておきましょう。
- 九州、近畿地方、中部地方、では、9月1日までに備蓄の見直しを完了しておきましょう。
- 中国、四国、北海道西部地域では、9月6日までに備蓄の準備をしておきましょう。
- 東日本を中心とした地域では、9月11日までを目途に、備蓄品の確認をしておきましょう。

■北海道![]() | 日本気象協会 北海道支社 森和也 気象予報士 太平洋高気圧の縁をまわって湿った空気が流れ込み、平年より雨の量が多くなる可能性があります。また、平年より北を流れる偏西風の影響で、秋雨前線がいつもの年より北上し、前線による雨の影響を受けやすくなる恐れがあります。 台風による甚大な被害が発生した2016年以来、北海道に上陸した台風はありませんが、2017年9月は台風18号から変わった温帯低気圧の影響で大雨となり、道南で氾濫の発生した河川がありました。改めて、備蓄や避難経路の確認をしましょう。 |
■東北![]() | 日本気象協会 東北支社 佐藤理恵子 気象予報士 今年の秋は、例年同様に台風や秋雨前線の影響を受けるでしょう。ひと雨の雨量が多く、短時間の雨量も多くなる恐れがあります。大雨や暴風に伴う人的被害を避け、安全を確保するために日頃の備えを万全にしましょう。 令和元年10月、台風19号が東北地方に接近、通過して、河川氾濫や土砂災害などを引き起こし、多数の命が奪われました。避難情報確認後の速やかな避難と安全確保が、自分や大切な人の命を守ります。非常用品の備蓄をしておきましょう。 |
■関東![]() | 日本気象協会 本社 望月圭子 気象予報士 関東の降水量は、10月までほぼ平年並みでしょう。ただ、9月の気温は平年より高いため、大気の状態が不安定になり、局地的な大雨の恐れがあります。地下室は水が一気に流れ込むので、都市型水害に備えてください。 関東は、ここ数年、台風による大雨が発生しています。昨年10月の台風19号は、神奈川県箱根町で総雨量1,000ミリ以上と、記録的な大雨をもたらしました。大雨災害時は、建物の上階へ避難するのも方法の一つです。 |
■北陸![]() | 日本気象協会 北陸支店 瀬山滋 気象予報士 9月から10月の降水量はほぼ平年並みの見込みです。例年同様に大雨に備えてください。特に、秋雨前線の停滞時に、台風が北上・接近する場合は警戒が必要です。今一度、避難経路の確認と備蓄の見直しをしておきましょう。 昨年10月、台風19号が北陸地方に接近し、新潟県に大雨特別警報が発表される記録的な大雨となりました。信濃川や阿賀野川などが氾濫し、甚大な浸水被害が発生したほか、鉄道の運休や停電など交通障害やライフラインへの影響がありました。 |
■中部![]() | 日本気象協会 中部支社 奥平雄太 気象予報士 9月から10月にかけて天気は短い周期で変わる見通しです。降水量はほぼ平年並みでしょう。東海地方の平年の月別の降水量は9月が最多となる地点が多くあります。秋雨前線停滞時や台風時などを中心に、大雨に注意・警戒が必要です。 東海豪雨から今年で20年です。東海地方では、南西海上に台風があり北陸付近に秋雨前線があるようなときに記録的な豪雨になることが多くあります。また、9月から10月は台風シーズンでもあるため、台風による大雨にも警戒が必要です。(※東海地方の年間台風接近数3.3個のうちおよそ5割を9~10月が占めています。) |
■関西![]() | 日本気象協会 関西支社 北井菊恵 気象予報士 今年の秋は、四国地方や近畿地方の太平洋側、中国地方の山陽側で、10月に平年より降水量が多くなる可能性があります。台風が離れて通る場合でも、台風を取り巻く湿った空気が流れ込んで大雨になるおそれがあるため、十分な注意が必要です。 去年の秋は近畿、中国、四国地方の多くの所で10月の雨量が平年より多く、かなり多くなった所もありました。10月に西日本へ接近した台風が例年より多かったためです。今年も秋の台風シーズンに向けて、必要な生活用品の備蓄を進めておきましょう。 |
■九州![]() | 日本気象協会 九州支社 君島由希子 気象予報士 今年は7月まで台風の発生が大変少なかったですが、8月に入り、フィリピン周辺など熱帯の海上で対流活動が活発化。台風の発生が増えています。九州への台風の接近・上陸が最も多いのは8~9月。早めの備えが肝心です。 昨年8月28日は、活発な秋雨前線の停滞で、福岡県、佐賀県、長崎県に大雨特別警報が発表される記録的大雨となりました。佐賀県では、有明海の満潮時刻と猛烈な雨の時間帯が重なったことで、大規模な浸水被害が発生しました。 |
秋の災害は「秋雨前線」+「台風」に注意
秋は、秋雨前線や台風による大雨や暴風などで、災害が起きやすい時期になります。特に、秋雨前線が発生している時に台風が接近すると、秋雨前線の活動が活発になり大雨になります。台風と秋雨前線が近づくときには特に注意が必要です。
台風や秋雨前線による大雨が予想される場合、事前に備蓄品の確認・準備を行い、避難経路や避難方法の確認をしておきましょう。台風が近づいてきた際には、こまめに最新の進路予報を確認し、早めの避難行動を心がけてください。台風は、大雨だけでなく、暴風や高潮などの災害が起きる可能性があります。すでに雨や風が激しく、避難が難しい場合は室内の2階以上で川や崖から遠い場所に避難しましょう。雨が降り続く場合は屋内での避難が長引く場合もありますので、備蓄品は多めに準備しておくことが大切です。
2020年「秋の備蓄」のポイント
9月は、北日本や東日本、西日本の日本海側では、天気は周期的に変化するでしょう。そのほかの地域では、平年と同様に晴れの日が多い見込みです。気温は平年より高い地域が多く、降水量は全国的に平年並みでしょう。
また、10月にかけて、引き続き全国的に暖かい空気に覆われやすいでしょう。平年より気温が高い日が多くなるため、大気の状態が不安定になり、局地的に大雨が発生する恐れがあります。
・停電対策・・・懐中電灯やランタン、電池式の携帯の充電器、乾電池などの準備をしておくと安心です。
・暑さ対策・・・残暑が厳しくなりますので、夏から引き続き、水の備蓄を増やし、塩分補給や暑さ対策の冷却グッズ、汗拭きシートなども準備しておきましょう。
・新型コロナウイルス感染症対策・・・3日~1週間分のマスク、アルコール消毒液、体調管理のための体温計を備蓄品にセットしておきましょう。
今年は特に、感染症対策のための在宅避難も選択肢に入りますので、自宅での避難生活を想定した備蓄品の準備をしておきましょう。備蓄には使った分だけ買い足していく「ローリングストック」を活用してください。在宅避難の時、備蓄品を活用して普段とあまり変わらない食事ができる、「備蓄レシピ」も「トクする!防災」公式サイトで公開しています。
「トクする!防災」公式サイト
・ローリングストックについて
https://tokusuru-bosai.jp/stock/stock03.html
・おススメ備蓄レシピ(食事編)
https://tokusuru-bosai.jp/stock/stock10.html
・おススメ備蓄レシピ(スイーツ編)
https://tokusuru-bosai.jp/stock/stock15.html
■「トクする!防災」プロジェクトとは
「トクする!防災」プロジェクトは、日本気象協会が推進する、“必要だとは思っているけれど、なかなか実践できない防災アクション”に対し、ちょっとしたおトク感や気軽さをプラスする取り組みです。
日頃から防災対策への興味、関心を高め、最終的に自分や家族の身を守ることができる備えをしながら、安心につなげていくことを目指しています。
公式ウェブサイト https://tokusuru-bosai.jp/

以上
PDFダウンロード:【日本気象協会】トクする!防災_秋の備蓄前線2020_