「豪雨に関する気象情報の活用」実証 振り返り授業を京都府宇治市内の中学2校で実施 ~環境省「気候変動適応における広域アクションプラン策定事業」の一環として~
Press Release
一般財団法人 日本気象協会(本社:東京都豊島区、理事長:長田 太、以下「日本気象協会」)は、環境省が令和2年度から4年度の予定で実施する「気候変動適応における広域アクションプラン策定事業」(以下「本事業」)の分科会「局地的大雨による市街地水害リスク増大への適応(通称:ゲリラ豪雨対策分科会)」(以下「分科会」)へ参画しています。
分科会活動の一環として、2022年7月から9月にかけて京都府宇治市立南宇治中学校ならびに宇治市立黄檗中学校にて、豪雨情報活用の実証を目的にモニター機器の設置と出前授業を行い、中学生に豪雨の観察と記録を実施してもらいました。このたび、本活動の取りまとめとして2022年10月14日(金)に各中学校にて振り返り授業を行いましたのでお知らせします。


振り返り授業では、局地的大雨(いわゆる「ゲリラ豪雨」)につながる豪雨の状況を知るために有効な気象情報の活用をテーマに、中学生が実証期間中に実施した局地的大雨の観測記録の結果発表や、気象情報を活用した行動事例の共有を行いました。
観測記録の結果を受けて、中学生からは「なぜ先の時刻の降水量が分かるのか」「なぜ雷は光った後に音が鳴るのか」など、気象にまつわる質問が数多く出ました。日本気象協会は、中学生の質問に回答するとともに、具体的事例を用いた気象現象の解説や、気象観測になくてはならない気象レーダの観測の仕組みについて説明を行いました。また、局地的大雨と地球温暖化の関係や、気候変動に合わせた社会づくりの必要性、気象情報を活用した生活の工夫などについても解説しました。
なお本振り返り授業は、分科会の座長である京都大学の中北英一教授(水文気象災害が専門)と、副座長である香川大学の竹之内健介准教授(災害リスクコミュニケーションが専門)と共同で開催しました。
日本気象協会は「気象データ活用企業」をキーワードに、今後も気象コンサルティングサービスのパイオニアとして、未来を担う次世代のかたがたや子どもたちへ、防災知識の普及啓発活動を続けていきます。
【本事業について】
気候変動適応法に基づく広域協議会に分科会(2~3分科会/ブロック)を設け、地方公共団体の境界を越えた適応課題等関係者の連携が必要な課題や共通の課題等について検討します。また広域アクションプランを策定し、各地域ブロックにおける関係者の連携による適応策の実施や地域気候変動適応計画への組込みを目指します。
詳細(環境省のウェブサイトへ遷移します)https://kinki.env.go.jp/資料2_【説明資料】R2広域アクション_0924%20.pdf
【豪雨情報活用の実証について】
日本気象協会が参画している分科会での課題として、局地的大雨(いわゆる「ゲリラ豪雨」)への備えが未整備であることがあげられます。台風や低気圧のような大規模な現象と比較して、局地的大雨は事前の予測が難しい状況です。しかし、局地的大雨になりかねない豪雨の状況を監視することで災害への備えができるようになることから、日本気象協会では豪雨の監視方法を知り対策を実践する手順を学ぶ機会を提供することが大切であると考えました。
中学生は豪雨に関する関連情報の特性・活用方法を理解できる年代であり、将来的に局地的大雨の激甚化への対応や地域社会での連携の中心的役割を担う年代でもあることから、2022年7月から9月の期間に、中学校にてモニター機器の設置ならびに出前授業を実施しました。
なお、南宇治中学校と黄檗中学校はそれぞれ立候補いただき、本取り組みに参加いただきました。
【日本気象協会 関西支社から】
分科会では、将来的な気候変動の影響に伴うゲリラ豪雨の激甚化(高頻度化および最大降雨強度の上昇)に関する影響調査や対応策(広域アクションプラン)の検討を行ってきました。
分科会の最終年度となる今年度は、適応アクションの1つである「豪雨情報の有効活用検討」の一環として宇治市の中学校における実証を、局地的大雨(いわゆる「ゲリラ豪雨」)の発生が多い7月から9月にかけて実施しました。実証では中学校に大型モニターを設置して、中学生にゲリラ豪雨の観察・記録を行っていただきました。日本気象協会関西支社では、分科会座長の京都大学中北英一教授ならびに副座長の香川大学竹之内健介准教授とともに、実証を通じて、将来の気候変動に伴う豪雨の激甚化に対応するための啓発・教育を実施しました。
実証に参加した中学生には、今回の経験を生かし、今後も豪雨への関心を持って被害を軽減/回避するような行動を継続していただけたらと考えています。
PDFダウンロード:【日本気象協会報道発表】「豪雨に関する気象情報の活用」実証 振り返り授業_