日本気象協会、 スペクティと道路の吹雪視程の判定をAIで自動化し、 約9割の精度で判定に成功
~自動運転技術への応用や吹雪予測の精度向上へ~
Press Release
一般財団法人 日本気象協会(本社:東京都豊島区、理事長:長田太、以下「日本気象協会」)は、株式会社Spectee(本社:東京都千代田区、代表取締役:村上建治郎、以下「スペクティ」)と道路上に設置されたカメラで得られた画像を基にAI解析を用いて視程(※1)を判定する技術開発を行いました。
今回の技術開発により、人間による目視での読み取り結果との合致率が約90%と高精度な判定に成功しましたのでご報告します。
今後日本気象協会は、開発した技術をもとに道路の安全や防災に関わる事業者などに活用いただき、自動運転技術への応用や吹雪視程予測への精度向上、吹雪による視程障害状況解析などへ貢献していきます。

■技術開発の概要
吹雪によるホワイトアウトが発生しやすい東北・北海道を中心に7台のカメラから得られた画像をAIが解析し、階級別視程(※2)として判定。日本気象協会の職員による目視データと照らし合わせて精度を検証しました。
■技術開発の結果
技術開発の結果、7カ所でおこなったAIによる視程判別と、人間による目視での読み取り結果との合致率が全体で88%と高精度に判定できることが確認できました。50m未満と100m未満のように1階級の誤差を許容すれば合致率は98%の高精度となります。この技術を活用することで、広域的な道路の視程状況を短時間で把握することができ、より網羅的な状況把握や適切な注意喚起が可能になると考えます。
■日本気象協会からのコメント
降雪や吹雪による視程障害は局地性が強く、時間変動が激しいことが特徴です。そのため、道路管理者が視程障害の発生箇所を的確に把握し、適切な対応を行うことが困難となっています。今回の技術開発によるカメラ画像からのAIによる視程判別技術は、降雪や吹雪による詳細な視程予測にも応用でき、予測精度の向上が期待できます。この技術の精度向上を図るとともに、降雪や吹雪に関わる気象予測技術の開発を進め、積雪寒冷地が抱える課題解決に精力的に取り組みます。
一般財団法人 日本気象協会 北海道支社
統括主幹 丹治 和博
■技術開発の背景
降雪や吹雪による視程の悪化やホワイトアウトによる視程障害は重大な交通事故や大規模車両滞留につながる恐れがあります。
これまで道路の視程検知は、視程計の設置や道路上に設置したカメラ画像を人の監視によって行ってきました。大雪や吹雪による視程障害は毎年発生しますが、これまでは道路管理者によるカメラ画像の目視による監視に頼らざるを得ませんでした。また、目視による判定結果は人によって異なるという課題もあります。
こうした課題を解決するために、日本気象協会とスペクティは2019年から協力し、カメラ映像に注目して、AI技術を活用した視程判定の実証実験やサービス開発に取り組んでいます。
※1 視程とは
気象用語で大気の混濁の度合いを示し、水平方向における見通せる最大の距離のこと。
※2 階級別視程とは
見通せる距離を50m未満、100m未満、200m未満、300m未満、300m以上と分けた視程を「階級別視程」としました。
以上
PDFダウンロード:【日本気象協会報道発表】 AI視程判断_約9割の精度で判定に成功_