第2回「災害時における授乳環境の整備、および備蓄状況に関する 実態調査」を全国の地方自治体に調査 ~およそ4割の自治体では災害時に「乳幼児・妊産婦に配慮した避難所」 設置が出来ていない実態が判明~
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一般財団法人 日本気象協会(本社:東京都豊島区、理事長:渡邊 一洋、以下「日本気象協会」)が推進する「tenki.jp 知る防災」プロジェクトは、株式会社 明治(代表取締役社長:松田 克也)と共同で、全国の市区町村1,741件※を対象に「災害時における授乳環境の整備、および備蓄状況に関する実態調査(以下、本調査)」を実施しました。(※1,718の市町村と東京特別区の23区を合わせて1,741件としています)
本調査は、2020年3月に続き2回目の実施となります。本調査の結果詳細は、「明治ほほえみ防災プロジェクト」の『ママと赤ちゃんの防災サイト』(https://www.meiji.co.jp/baby/milk-stock/report/)で公開します。
2023年9月1日は、関東大震災から100年の節目に当たります。近年は、地震以外にも、台風や大雨など気象に起因する災害が年間を通じて増えており、自然災害への備えの重要性は年々高まっています。
多くの気象災害は、情報の意味を知り適切に活用することで、被害を最小限にとどめることができます。「tenki.jp 知る防災」プロジェクトでは、防災に関する正しい知識を紹介するほか、普段お使いのものを工夫して備蓄する「ローリングストック」など、各家庭で必要な日頃の備えについても解説しています。正しい「知識」を持ち、日頃の「備え」を行うことで、災害時にもさまざまな情報をもとに自ら判断するための一助となるような活動を続けていきます。
調査結果サマリー
- 2011年以降、避難指示を発令した自治体は81.0%、災害時の指定避難所の開設については、91.6%が開設したことがあると回答。
- 最も多く指定避難所が開設された災害は、前回調査時(2020年3月)と変わらず「令和元年台風第19号(令和元年東日本台風)」だったが、次いで多くなったのは「令和4年9月豪雨(台風第14号)」、さらに「令和3年8月の大雨」と、近年発生した災害が上位に含まれた。
- 災害時に「乳幼児・妊産婦等の要援護者を優先して受け入れる避難所」または「乳幼児・妊産婦に配慮した避難所」として想定している避難所については、約4割の自治体が「現在はなく、今後も指定する予定はない」ことが判明。
- 実施された取り組みの内容は、「乳幼児・妊産婦に必要な物資の備蓄」が特に多く(55.9%)、ほかには「乳幼児のいる親や妊婦を対象とした災害時用備蓄の啓発」(16.5%)など。「特にない」という回答は35.4%に。
- 前回調査時同様、「ローリングストック」は自治体担当者の8割以上が「意味まで理解」と回答しているが、残る2割の自治体担当者の理解、浸透は進んでいないことが判明。
- 購入して備蓄されているのは、「紙おむつ」が最も多く、およそ7割以上の自治体で購入。「液体ミルク」は前回調査時の12.3%から47.5%に大幅に増加。哺乳瓶(通常品・使い捨て)や粉ミルク類もおおむね3~4割程度の自治体で購入されている。
近年は地震だけでなく、台風や大雨などによる気象災害が多く発生しています。今年の梅雨も各地で線状降水帯が発生するなど、大雨による甚大な被害がありました。2011年3月以降、多くの自治体が指定避難所を開設した災害は、令和元年台風第19号による大雨、暴風等、令和4年9月豪雨(台風第14号)、令和3年8月の大雨などがありました。梅雨時期や台風シーズンの大雨の激甚化が進み頻度が増えていることも、避難所開設が増える理由の一つとして考えられます。
避難所開設が増加するなかで、避難所の環境も引き続き課題となっています。本調査では、配慮が必要な人に含まれる妊産婦や乳幼児に対する配慮や避難所環境についても尋ねました。前回調査時より若干の改善があったものの、約4割の自治体で、「乳幼児・妊産婦等の要援護者の優先受け入れ、または配慮した避難所」がない、もしくは指定する予定がないという実態が明らかになりました。引き続き、自治体によって避難所環境の実態が異なる結果となり、公助だけではない、生活者自身による、地域での避難所の運営や環境整備への積極的な参加が求められている状況です。
「tenki.jp 知る防災」プロジェクトでは、防災に関する正しい知識を持つことに加えて、災害時に各家庭で必要な備えとして、普段使っているものを工夫して備蓄する「ローリングストック」を提案しています。本調査で、災害時における授乳の支援や、母子に必要となる物資の備蓄・活用について、取り組みの状況を聞いたところ「すでに具体的に取り組んでいる」という自治体が63.1%と、前回調査時の35.6%から大きく伸長しました。一方で「取り組み予定はない」という自治体も2割以上ありました。また哺乳瓶類、おむつ、おしりふきや手口ふきなどの衛生用品を備蓄していない理由では、「備蓄数量の見込みが難しい」との回答が多くあることから、自治体側の検討の困難さもうかがえました。
本調査からは、自治体によって取り組み体制に差があることが分かりました。災害に備えるために、生活者ひとりひとりが出来る行動として、「tenki.jp 知る防災」プロジェクトでは「ローリングストック」の実践を引き続き呼びかけていきます。
◆「災害時における授乳環境の整備、および乳児用液体ミルクなどの備蓄状況に関する実態調査」概要
・調査主体:一般財団法人 日本気象協会「tenki.jp 知る防災」プロジェクト 株式会社 明治
・調査期間:2023年6月28日(水)~2023年7月14日(金)
・調査対象:全国地方自治体1,741件
・調査方法:調査票を郵送し、WEB調査画面で回答
・有効回答数:474件
※ 本リリースの調査結果をご利用いただく際は、必ず【「tenki.jp 知る防災」プロジェクトおよび「明治ほほえみ防災プロジェクト」調べ】とご明記ください。
■「明治ほほえみ防災プロジェクト」とは
「tenki.jp 知る防災」プロジェクトと「明治ほほえみ防災プロジェクト」が協力し、災害備蓄の必要性やローリングストック、災害時の赤ちゃんの命を守る液体ミルクの大切さを啓発する取り組みなど、主に乳幼児のいる家族への防災意識啓発活動を行っています。
URL: https://www.meiji.co.jp/baby/milk-stock/

■「tenki.jp 知る防災」プロジェクトとは
「tenki.jp知る防災」プロジェクトは、tenki.jpからのリアルタイムの「情報」に加え、信頼できる「知識」と、日頃の「備え」を皆さんにお伝えし、ひとりひとりが災害時に適切な行動をとり、減災に寄与できることを目的としています。
URL:https://tenki.jp/bousai/knowledge/

以上
PDFダウンロード:【日本気象協会からのお知らせ】第2回「災害時における授乳環境の整備、および備蓄状況に関する実態調査」を全国の地方自治体に調査