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ウェザーマーケティングレポートvol.7 18か月前の天候予測が適中 2026年夏は2025年ほどの高温にならず
「2年先長期気象予測」の精度と企業の計画策定への活用可能性を検証

2026.10.27

レポート

一般財団法人 日本気象協会は、独自の「2年先長期気象予測」をもとに発表した2026年夏から初秋の天候予想について、実際の天候データと比較・検証を行いました。その結果、今夏は全国的に高温となった一方、太平洋高気圧の勢力が前年ほど持続せず、2025年ほどの記録的な暑さにはならないという傾向を事前に捉えていました。

2023年から2025年まで3年連続で全国的に記録的な暑さとなったことから、2026年夏も同程度の猛暑が継続する可能性が懸念されていました。一方、日本気象協会は、2025年12月に発表した「2026年の天候予想」において、2026年夏の全国的な高温傾向に加え、8~9月には東日本を中心に降水量が多くなる傾向を事前に捉えていました。

また、2026年5月に発表した「2026年の台風の見通し」では、8月を中心に接近数が平年並みか多くなると予測しており、実際に8月および9月の台風接近数は、予測した範囲に収まりました。さらに、秋に発達した台風が接近する傾向を事前に示していました。

企業向けの長期気温予測では、1年半前(18か月前)の時点で「2026年夏は前年の記録的な暑さが続かない」という見通しや「7月に暑さが強まり、8月にやや弱まる」という月ごとの変化も予測していました。

本レポートでは、これらの3つの事例について、予測と実績との比較・検証結果を紹介し、企業の事業において長期気象予測を活用する有用性を示します。

1. 2025年12月発表「2026年の天候予想」はおおむね予測通り

2025年12月18日発表「2026年の天候予想」で示した夏から初秋にかけての3つのポイントを、2026年6~9月の実績と比較・検証しました。2026年夏は、全国的な高温傾向を見込みつつ、太平洋高気圧の勢力は前年ほど持続せず、2025年ほどの暑さにはならないと予想していました。実際に前年ほどの暑さは続かず、予測はおおむね適中しました。

2025年12月18日発表
2026年天候のポイント
予想の詳細2026年6~9月の実績との検証
① 梅雨入り・梅雨明けと暑さの到来が早まる太平洋高気圧が早く強まり、梅雨入り・梅雨明けと暑さの到来が早まる。九州から関東甲信では、梅雨入り・梅雨明けがおおむね平年並みか早く、早まる傾向を捉えた。
② 太平洋高気圧は前年ほど続かず、高温多雨の夏に夏は猛暑となるが、前年ほど太平洋高気圧の勢力が持続せず、前年より雨が多くなる。予測通り、夏は全国的に平年より高温となった一方、東日本を中心に多雨の影響で前年(2025年)ほどの暑さは続かなかった。
③ 晩夏から秋は長雨・台風に注意残暑が続くものの、前線や台風の影響により雨が多くなる。実際に、8~9月は東日本を中心に雨が多く、9月は発達した台風が日本に接近し、各地域にて記録的な大雨と日照不足となった。

・検証対象は2026年6~9月です。第1表は、2025年12月18日 日本気象協会発表「ウェザーマーケティングレポート Vol.4 2026年の天候予想」の夏から初秋に関するポイントを検証しています。

2. 2026年5月発表「2026年の台風の見通し」 8月、9月の接近数は見込み通り

2026年5月27日発表「2026年の台風の見通し」で示した3つのポイントを、2026年6~9月の実績と比較・検証しました。①6~7月の発生数は平年並みか多い、②接近数は8月を中心に平年並みか多い、③秋は発達した台風の接近に注意、と予想していました。実際に6~7月の台風発生数は予測範囲内となり、8月の接近数も予測した3~6個に対して4個となりました。8月の発生数は見通しよりも多くなりましたが、夏前半の発生傾向と8月の接近数は、予測どおりとなりました。

また、9月は台風第24号、第25号、第26号が日本に接近しました。このうち台風第25号は大型で強い勢力、台風第26号は非常に強い勢力に発達して接近しました。秋には発達した台風への注意を事前に呼びかけていましたが、実際にも強い勢力を維持した台風が日本へ接近しました。特に、台風第25号は伊豆諸島や千葉県などに記録的な大雨をもたらし、台風第26号も沖縄地方に接近したほか、台風から流れ込んだ湿った空気により、九州北部で記録的な大雨となりました。

台風が日本に接近すると、日々の暮らしやビジネスに多大な影響を与えます。早い段階で、台風が多いか少ないのか、どの月に多いのかなどを把握することで、さまざまなリスク対策に活用いただけます。

図1 台風の月別予測範囲と実績(6~9月)

図1 台風の月別予測範囲と実績(6~9月)

・予測個数は、2026年5月27日 日本気象協会発表「防災レポート Vol.1 2026年の台風の見通しは、8月を中心に接近数が平年並みか多い予想」に掲載した月別の予測範囲。
・台風の実績は、気象庁の2026年10月5日現在の速報値。平年値は1991~2020年の30年平均。
・発生数は協定世界時基準。接近数は、中心が国内のいずれかの気象官署等から300km以内に入った台風の数。

3. 企業向けに提供した気温予測 1年半前の予測と実績の差は0.2~0.6℃

■夏の平均気温 前年実績より予測誤差を大幅に縮小

夏(6~8月)の人口重み付け平均気温の実績は、平年差+0.8℃でした。前年(2025年)の実績は+2.4℃でしたが、18か月前、9か月前、6か月前に実施した予測では平年差+1.0~+1.4℃と予測しており、実績との差は0.2~0.6℃になりました(図2)。この結果から、前年実績をそのまま用いる場合に比べて、長期予測により予測誤差を大幅に縮小できることを確認できました。

気温が1℃違うだけで、売上が約20%変わる商材もあります。2026年夏の場合、前年実績を用いて需要を予測すると、実績との間に1.6℃の差が生じることとなり、単純計算で約32%の売上のズレにつながる可能性があります。一方、需要予測に日本気象協会の長期気象予測を活用することで、予測と実績の売上のズレを改善することが可能です。

図2 夏の人口重み付け平均気温の予測と実績(6~8月)

図2 夏の人口重み付け平均気温の予測と実績(6~8月)

「人口重み付け平均気温」は、地域ごとの気温を人口分布に応じて重み付けした日本気象協会独自の集計方法です。図中の数値は、各年の6~8月について、月ごとに平年との差を算出したうえで平均し、小数第2位を四捨五入しています。出典:日本気象協会

2026年夏は、8月よりも7月のほうが暑さは厳しく、猛暑日日数が多い傾向もおおむね予想どおりとなりました。2025年11月の時点で予想した東京と大阪の2026年7月および8月の猛暑日(最高気温35℃以上)の日数も検証しました(図3)。その結果、東京、大阪ともに、前年より猛暑日日数が減少する傾向を捉えました。特に顕著だったのは東京の8月です。前年8月の東京は、猛暑日日数が18日ありました。2025年11月の時点で予測した2026年8月の猛暑日日数は3日、多くても7日と予測しており、前年より大幅に減少すると予想していました。実績の猛暑日日数は3日となり、予想どおりの結果となりました。

図3 東京・大阪の月別猛暑日日数の予測と実績(予測:2025年11月発表、2026年7~8月)

図3 東京・大阪の月別猛暑日日数の予測と実績(予測:2025年11月発表、2026年7~8月)

4. 長期気象予測を企業の事業計画に活用

2026年夏の気温は全国的に平年を上回ったものの、前年ほどの高温ではありませんでした。日本気象協会では1年半前(18か月前)から、その傾向を捉えることができました。地球温暖化の進行に伴い気温の上昇傾向が続いていますが、毎年必ず前年と同程度の高温になるわけではありません。近年は極端な気象が増え、年による気温の差も大きくなっています。長期気象予測を活用することで、前年実績のみを基準として需要や生産量を見積もる場合と比べ、実際の気象条件に即した計画立案が可能になります。需要予測や在庫計画、生産計画の精度向上にも活用することができます。

日本気象協会は、「2年先長期気象予測」の技術により、気温の変化や暑さが強まる時期、台風や長雨の影響を早い段階で示し、企業の事業計画を支援しています。製造・小売業における夏商材の生産・販売計画、エネルギー業の冷房需要や発電計画、物流業における輸送・在庫配置計画などに活用することができます。また、長期予測を計画策定時の基準情報として活用し、その後、時期が近づいた段階で最新の予測情報で計画を調整することで、需要見込みや生産計画の誤差を抑えることも可能です。

5. 検証結果を予測技術の改善へ

「2年先長期気象予測」では、毎年、最新の観測データを用いて予測モデルを学習・更新し、気温上昇など気候変動に伴う変化を予測に適切に反映します。
今回の検証結果も今後の予測技術の改善に活かし、情報の実用性を高めるとともに、さらなる予測精度の向上に取り組んでいきます。

6. 2年先長期気象予測について

日本気象協会では、気象業界で初となる最長2年先(24か月)までの気象予測「2年先長期気象予測」の提供を2024年から開始し、多くの企業の事業活動改善に活用いただいています。本サービスは、企業の生産・在庫・販売・マーケティング計画に活用いただけるほか、特定商材への需要予測まで踏み込んだ気象コンサルティングも行っています。
2026年後半から2027年にかけての気象傾向についても、最新の予測データに基づき情報提供が可能です。

*ウェザーマーケティング情報メディア「Weather X」お問い合わせフォーム
https://weather-jwa.jp/contact/

・「2年先長期気象予測」で用いている技術は、特許取得済みです(特許第7569539号)。

7. 参考情報

・2025年12月18日 日本気象協会発表 ウェザーマーケティングレポート Vol.4
2026年の天候予想 2026年は夏の到来は早く、猛暑で多雨の年に
~晩夏から秋は長雨・台風に注意~
https://www.jwa.or.jp/news/2025/12/31578/

・2026年5月27日 日本気象協会発表 防災レポート Vol.1
2026年の台風の見通しは、8月を中心に接近数が平年並みか多い予想
秋は発達した台風の接近にも注意
https://www.jwa.or.jp/news/2026/05/40097/

・「2年先長期気象予測」について
https://www.jwa.or.jp/weather-technology/long-term-weather-forecast/

・2024年6月11日 日本気象協会発表 日本域における精度の高い統計的季節予報手法を開発
https://www.jwa.or.jp/news/2024/06/23104/

実績の出典:気象庁ホームページ
2026年夏の天候
https://www.data.jma.go.jp/cpd/longfcst/seasonal/202608/202608s.html
2025年夏の天候
https://www.data.jma.go.jp/cpd/longfcst/seasonal/202508/202508s.html
2026年の梅雨入り・梅雨明け
https://www.data.jma.go.jp/cpd/longfcst/seasonal/202608/tsuyu2026.pdf
2026年8月の天候
https://www.data.jma.go.jp/cpd/longfcst/monthly/202608/202608m.html
2026年9月の天候
https://www.data.jma.go.jp/cpd/longfcst/monthly/202609/202609m.html
日本の地域平均気候表
https://www.data.jma.go.jp/cpd/cgi-bin/view/kikohyo/index.php?kikan=mon&month=08&year=2026
台風の発生数
https://www.data.jma.go.jp/typhoon/statistics/generation/generation.html
台風の全国への接近数
https://www.data.jma.go.jp/typhoon/statistics/accession/accession.html
台風の平年値
https://www.data.jma.go.jp/typhoon/statistics/average/average.html

一般財団法人 日本気象協会
防災・気象DX本部 気象DX事業部 シニアデータアナリスト 
気象予報士・データ解析士・健康気象アドバイザー・防災士
小越 久美(おこし くみ)

筑波大学第一学群自然学類地球科学専攻(気候学・気象学)卒。
2004年から2013年まで、日本テレビ「日テレNEWS24」にて気象キャスターを務める。

筑波大学 植田宏昭教授の助言・協力のもと、季節予報の新たな技術開発に取り組み、気象業界で初めて最長2年先までの気象予測手法を開発(特許第7569539号)。
食品、日用品、アパレル、エネルギー業界向けに「2年先長期気象予測」を使った気象コンサルティングを行っている。

「季節予報の基盤技術の開発に基づく社会実装の振興」により令和7年度科学技術分野の文部科学大臣表彰「科学技術賞(科学技術振興部門)」を受賞。

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