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低動揺型スパーブイを用いた洋上風況観測システム「BuoyLidar」の実証実験を終了 ~山形県酒田沖の厳しい海洋環境で、安定した長期観測を確認~
Press Release

一般財団法人 日本気象協会(本社:東京都豊島区、理事長:長田 太、以下「日本気象協会」)は、低動揺型スパーブイを用いた洋上風況観測システム「BuoyLidar(ブイライダー)」の実証実験を終えましたのでお知らせします。
山形県酒田沖での通算1年6カ月の実証実験の結果、「BuoyLidar」は洋上の観測鉄塔による風況観測と比べて、約85%のコスト削減を実現できることがわかりました。また、洋上風力発電で重要となる高度100mでの観測データの取得率は96.1%であり、長期間の安定した観測が可能であることを確認しました。

BuoyLidarは、海面の波浪に伴う揺れを抑えた「低動揺型スパーブイ」に、レーザー光の反射波を捉えて上空の風を計測する「ドップラーライダー」(以下「ライダー」)を搭載した浮体式の洋上風況観測システムです。スパーブイに姿勢安定装置(水中フィン)を装備した低動揺型スパーブイとライダーを組み合わせた技術の開発は、世界初の取り組みです(2020年9月1日現在、日本気象協会調べ)。
BuoyLidarにより、洋上の風況を低コスト・短期間に直接観測することが可能となり、洋上風力発電事業者の事業開発(事前調査、設計、工事、保守)に活用できます。山形県酒田沖の実証実験では、洋上の観測鉄塔による風況観測と比べて、約85%のコスト削減を実現しました。

なお、BuoyLidarは環境省から受託した「洋上風況の観測システム及び推定に関する技術開発・実証事業(CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業)」(受託期間:2016年度~2020年度)にて開発しました。

BuoyLidarの外観
BuoyLidarの外観
BuoyLidarの基本概念
BuoyLidarの基本概念

1. BuoyLidarの特徴

  • 低動揺型スパーブイにライダーを搭載した世界初の技術により、洋上の風況を直接観測
  • 観測鉄塔による風況観測と比べてコンパクトな設計により、低コスト化と工期短縮を実現
  • 塩害・降雨対策など、厳しい海洋環境に対応した仕様
  • 燃料電池により安定した電源供給を確保。5カ月間、燃料の補給なしでの連続稼働実績
  • 緊張係留方式により、BuoyLidarが設置地点に固定され海域を動き回らないため、漁業関係者への負荷を軽減
  • ライダーに動揺補正機能を備え、海面の波浪に伴う揺れの影響を除去
  • 洋上での乱流計測への期待(今後、陸上でのライダー観測の乱流計測技術を適用予定)
BuoyLidarの外観
BuoyLidarの外観
BuoyLidarの特徴
BuoyLidarの特徴

2. 実証実験の内容と観測データの取得率について

開発したBuoyLidarの有効性を実証するため、山形県酒田沖の実海域で実証実験を行いました。通算1年6カ月の実証実験を通して、冬季の強い季節風や夏季の台風に伴う高波や強風といった厳しい海洋環境でも正常に風況観測が可能であることを確認しました。洋上風力発電の風車のハブ高さを想定した高度100mでの観測データ取得率は96.1%と良好でした。

BuoyLidarの設置作業の様子
BuoyLidarの設置作業の様子
観測内容(右)
観測内容(右)

3. BuoyLidar開発の背景

洋上風況観測はこれまでほとんど実施されておらず、一部の研究開発事業で洋上に建設した鉄塔による観測事例が見られる程度でした。洋上に観測鉄塔を建設するためにはコスト・工期が大きな負担となり、洋上風力発電事業者の事業展開には現実的ではありませんでした。
そのため、観測鉄塔に替わる方法として「浮体式ライダー」による洋上風況観測が注目されるようになりました。浮体式ライダーによる洋上風況観測システムは、洋上風力発電の導入が進んでいる欧州ではすでに開発されています。しかし、欧州の浮体式ライダーを日本の厳しい海洋環境にそのまま適用できるか、その安全性と観測精度は十分に確認されていません。
日本気象協会は、実証実験を通して、日本の厳しい環境に適用できる安全で高精度な洋上風況観測システム「BuoyLidar」を開発しました。

以上

PDFダウンロード:【日本気象協会報道発表】「BuoyLidar」の実証実験を終了_

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