日本気象協会、ウインドエナジーコンサルティング、東芝エネルギーシステムズとの共同で 洋上風力発電における風車ウエイクの影響調査に参画
Press Release
一般財団法人 日本気象協会(本社:東京都豊島区、理事長:長田 太、以下「日本気象協会」)は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が2022年9月に公募した「洋上風力発電における風車ウエイクが及ぼす周辺環境及び発電量への影響に関する調査」に株式会社ウインドエナジーコンサルティング(本社:東京都千代田区、代表取締役、今村 博)および東芝エネルギーシステムズ株式会社(本社:神奈川県川崎市、代表取締役社長、四柳 端)とともに応募し、採択されました。
本調査では、風車ウエイクが及ぼすさまざまな影響について、既存の研究内容や風車ウエイクの観測手法などを調査・整理し、技術課題を抽出するとともに、今後取り組むべき技術開発の方向性などを検討することを目的とします。
日本気象協会は、環境影響評価、風況観測の知見を活かし、洋上風力発電開発の課題となる風車ウエイクの影響について、各種調査を担当します。
本調査を通じ、洋上風力発電の開発にて課題となる風車ウエイクの影響について、技術的課題の解決に向けた検討を行い、今後大量導入が期待される洋上風力発電の普及促進に貢献していきます。
【風車ウエイクとは】
風車ウエイクとは、風車ブレードの回転に伴いその風下に発生する風速の減衰域のことを指します。
一般的に、ブレードの回転に伴い、風車の風下側に風車ウエイクと呼ばれる風速欠損領域の形成や風速の時間・空間変動が引き起こされることが知られています。これらは風下に位置する風車に対し風荷重の増大や発電量の低下などを引き起こす要因となり、また複数の風車群から構成される大規模な洋上ウィンドファームでは、この風車ウエイクが相互に干渉し、非常に複雑な流れ場が形成され、風下側風車群に与える影響が拡大する懸念があります。

【調査内容】
日本政府は2050年のカーボンニュートラルの実現を掲げ、その中でも洋上風力発電は特に期待されており、2050年までに90GW導入の目標を設定しています。
本調査では、主に風車ウエイクの研究が先行する欧米、および導入量が急増している中国にて稼働する洋上ウィンドファームでの風車ウエイクの「物理的性質」や風車ウエイクによる「風速の欠損・風の乱れが発電量に及ぼす影響」についての調査を実施します。また、周辺環境への影響について、その事例や具体的な影響などを整理、分析し今後の課題を整理、課題解決に向けた施策について提言を行います。
①既存の風車ウエイクの研究調査
a)風車ウエイク研究に関する国内外の論文調査及び研究開発動向の整理
b)国内外における風車ウエイクの観測手法及びシミュレーション技術の整理
c)海外、特に欧・米・中における風車ウエイクに対する対処事例の整理
②風車ウエイクが及ぼす周辺環境及び発電量への影響調査
a)風車ウエイクが周辺環境に及ぼす様々な影響に関する国内外の事例調査及び論文調査
b)風車ウエイクが発電量に及ぼす影響に関する国内外の事例調査及び論文調査
③風車ウエイクが及ぼす影響に対する技術課題の抽出と課題解決に向けた技術開発の方向性等の検討
a)①及び②の調査内容及び日本特有の自然環境を踏まえ、日本における風車ウエイクに対する技術課題の抽出・整理
b)風車ウエイクの課題解決に向けて、今後取り組むべき技術開発及び実証試験の方向性等の検討
c)技術開発及び実証試験の方向性等に関する知見並びに助言を得るために有識者の意見を聞く検討委員会の設置と運営
【調査期間】
2022年10月下旬~2023年3月(予定)
事業採択に関する詳細:https://www.nedo.go.jp/koubo/FF3_100359.html
仕様書 :https://www.nedo.go.jp/content/100951609.pdf
以上
PDFダウンロード:【日本気象協会報道発表】 洋上風力発電における風車ウエイクの影響調査に参画_