日本気象協会、 「令和5年度 再生可能エネルギーアグリゲーション実証事業」に参画
~再エネアグリゲーター向け予測技術の高度化に関する取り組みを継続~
Press Release
一般財団法人 日本気象協会(本社:東京都豊島区、理事長:渡邊 一洋、以下「日本気象協会」)は、一般社団法人環境共創イニシアチブが公募する「令和5年度 再生可能エネルギーアグリゲーション実証事業」(以下「本事業」)にて実証協力者として2023年6月14日(水)に採択されましたのでお知らせします。
本事業は、東芝エネルギーシステムズ株式会社(本社:神奈川県川崎市、代表取締役社長:四柳 端)がコンソーシアムリーダーとなり、各再エネアグリゲーターおよび実証協力者によるコンソーシアム体制で推進します。日本気象協会は当該コンソーシアムへ実証協力者として参画し、風力発電出力予測をはじめとする予測技術の高度化に関する課題検討を通じ、再エネアグリゲーション事業の発展に貢献していきます。
【本事業について】
「令和5年度 再生可能エネルギーアグリゲーション実証事業」では、発電計画作成やインバランス回避等に必要となる再生可能エネルギーと分散型エネルギーリソース(DER)を組み合わせた制御技術のほか、再生可能エネルギー発電量・電力取引価格の予測技術に関する実証を行います。再生可能エネルギーおよびDER 活用のための環境整備によりアグリゲーション関連ビジネスの発展を図り、ひいてはカーボンニュートラルの達成に貢献することを目的としています。
【本事業の実施期間】
2023年6月~2024年2月(予定)
【本事業の実施体制】
◎コンソーシアムリーダー:東芝エネルギーシステムズ株式会社
○再エネアグリゲーター:合計8社
○実証協力者:日本気象協会を含め、合計5社
【令和5年度の実証実験概要】
①再生可能エネルギーを含む発電バランシンググループのインバランス回避等に向けた実証
②再生可能エネルギー発電設備や蓄電池等を用いた制御等による、電力需給に応じて変動する市場取引での収益拡大に向けた検証
③需給バランスの確保のための高精度な再生可能エネルギー発電量予測技術の実証
【日本気象協会が本事業にて実施する内容】
日本気象協会は、以前より一般送配電事業者や小売電気事業者、再エネ発電事業者などへ太陽光・風力発電出力予測情報を提供してきました。
また、昨年度および一昨年度は本事業と同様の枠組みである以下の事業にも参画しました。
「令和3年度 再生可能エネルギーアグリゲーション実証事業」
https://www.jwa.or.jp/news/2021/06/13521/
「令和4年度 再生可能エネルギーアグリゲーション実証事業」
https://www.jwa.or.jp/news/2022/06/16878/
一昨年度の実証では、太陽光発電出力を予測する各種予測手法の精度評価および予測技術の高度化に係る検討を実施しました。昨年度の実証では、統計的手法に基づく新たな太陽光発電出力予測モデルの作成を通じた予測技術の高度化に係る検討などを実施しました。これらの過去2年間の実証を通じ、再エネアグリゲーションビジネスに必要不可欠である予測技術として、特に太陽光発電出力予測に関する知見を蓄積してきました。
その一方で、風力発電出力予測は太陽光と比較して予測精度に課題が残る傾向が見られたことから、本事業では「③需給バランスの確保のための高精度な再生可能エネルギー発電量予測技術の実証」にて、風力発電出力予測を対象とした予測技術の高度化に係る検討を実施します。
わが国では、2022年4月よりFIP制度やアグリゲーターのライセンス制度が開始されています。FIP制度下では、発電事業者に対して正確な発電量予測に基づく計画値同時同量の責務が課されるほか、変動する市場価格に応じた最適な取り引きによるマーケットリスクへの対応も必要です。これらの課題解決を支援するため、DERを束ねる再エネアグリゲーターの重要性は一層高まっています。
アグリゲーションビジネスの必要性が高まる中、高度なリソース制御に必要不可欠な予測技術の高度化が求められています。2022年度にインバランス料金制度が改定されて以降も、需給ひっ迫時補正インバランス料金など、インバランス料金制度の厳格化に関する議論が引き続きなされており、高精度な予測情報のニーズはさらに高まる見込みです。
日本気象協会は本事業での実証を通じて、風力発電出力予測をはじめとする予測技術の高度化を目指します。今後拡大する高精度な予測情報へのニーズに対するより良いサービスの提供を通じて、再エネアグリゲーターによる精緻な需給管理実現を支援するとともに、わが国の再エネ主力電源化の実現に貢献していきます。
以上
参考資料
用語について
■再生可能エネルギーアグリゲーション実証事業:
正式名称は以下のとおりです。
令和5年度 蓄電池等分散型エネルギーリソース次世代技術構築実証事業
■DER:
「分散型エネルギーリソース(Distributed Energy Resources)」のことで、家庭の屋根上に設置された太陽光パネルや電気自動車に搭載された蓄電池などのことを指します。
■アグリゲーション:
ここではDERを集約することを指します。
■再エネアグリゲーター:
ここでは、太陽光発電などの再生可能エネルギー発電設備や蓄電池などのエネルギーリソースを集約し、集約したリソースを活用したさまざまなサービス(例:再生可能エネルギー電源の接続サービスやエネルギーマネジメントサービスなど)を提供する事業者を指します。
■インバランス:
小売電気事業者による需要計画値と需要実績値との差が、一般送配電事業者によって清算されることで発生するペナルティ料金のことを指します。
■FIP:
「フィード・イン・プレミアム」のことで、再生可能エネルギーにより発電した電力を発電事業者自らが電力市場で売電することを原則としています。その売電の際、変動する市場価格にプレミアム(上乗せ価格)をつける制度を指します。
■計画値同時同量:
小売電気事業者および発電事業者が、発電・需要の前日計画値と当日の実績値が30分単位で一致するように調整を行う制度のことを指します。計画値と実績値に差分が生じた場合、一般送配電事業者に対してインバランス料金を支払う必要があります。