技術戦略室長の増田 有俊が令和6年度 文部科学大臣表彰「科学技術賞」を受賞 「線状降水帯の検出技術の開発」
Press Release
一般財団法人 日本気象協会(本社:東京都豊島区、理事長:渡邊 一洋、以下「日本気象協会」)技術戦略室長の増田 有俊(ますだ ありとし)が、文部科学省による「令和6年度科学技術分野の文部科学大臣表彰 科学技術賞(開発部門)」を国立研究開発法人防災科学技術研究所、気象庁気象研究所の他のメンバーと共に受賞しました。

文部科学省では毎年、科学技術に関する研究開発、理解増進などにて顕著な成果を収めた者を「科学技術分野の文部科学大臣表彰」として顕彰しています。また文部科学大臣表彰「科学技術賞」(開発部門)では、「我が国の社会経済、国民生活の発展向上等に寄与し、実際に利活用されている画期的な研究開発若しくは発明を行った者が対象」となっており、令和6年度は応募件数53件、受賞件数22件(85名)でした。
近年では集中豪雨(台風の直接的な影響によるものを除く)の6割以上が線状降水帯に起因し、毎年のようにこの線状降水帯による大雨により甚大な水害・土砂災害が発生しています。そのため、線状降水帯をリアルタイムで把握する技術開発は喫緊の課題となっていました。
受賞対象となった「線状降水帯の検出技術の開発」では、過去3時間の雨量分布や気象庁の危険度分布を活用することで、災害発生の危険度が急激に高まっている地域の線状降水帯を自動的に検出する技術を開発し、自治体が避難指示を発令する目安となっている警戒レベル4相当以上の状況把握ができるようになりました。さらに線状降水帯を楕円にて表示したことで、専門家ではない一般の人に分かりやすく伝わるよう工夫しています。
「線状降水帯の検出技術の開発」は成果として、2021年6月17日から運用が開始された気象庁の「顕著な大雨に関する気象情報」として実装されました。この「顕著な大雨に関する気象情報」は、線状降水帯およびその危険性に関する認知度を向上させると共に、国民の安心安全に寄与しています。
ご参考
報道発表:顕著な大雨をもたらす線状降水帯の自動検出技術を開発
発表日時:2021年6月11日
発表URL:https://www.jwa.or.jp/news/2021/06/13549/
図 :2020年7月4日2時(日本時)における3時間積算雨量と自動検出結果(紫色の楕円)

受賞の詳細
■受賞名称:令和6年度科学技術分野の文部科学大臣表彰「科学大臣賞(開発部門)」
■受賞業績:線状降水帯の検出技術の開発
■受賞者 :増田 有俊(一般財団法人 日本気象協会 技術戦略室 室長)
清水 慎吾(防災科学技術研究所 水・土砂防災研究部門 主任研究員)
前坂 剛 (防災科学技術研究所 水・土砂防災研究部門 研究統括)
加藤 輝之(気象庁気象研究所 台風・災害気象研究部 部長)
廣川 康隆(気象庁気象研究所 台風・災害気象研究部 第2研究室 主任研究官)
■表彰式 :2024(令和6)年4月17日 文部科学省講堂にて
■主要論文:
「現業レーダデータを用いた土砂災害事例における線状降水帯の抽出」砂防学会誌、vol.69, p45~55、2017年発表
「Identification and classification of heavy rainfall areas and their characteris-tic features in Japan」Journal of the Meteorological Society of Japan、vol.98、p835~857、2020年発表
■文部科学省からの報道発表(2024年4月9日)
令和6年度科学技術分野の文部科学大臣表彰受賞者等を決定しました
https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/mext_01364.html
増田 有俊からの受賞コメント
このたびの受賞を心から嬉しく思います。防災科学技術研究所や気象研究所をはじめとする共同研究者の皆さまや、日本気象協会の同僚の皆さまに心からお礼申し上げます。現時点では予測することが難しい極端現象(線状降水帯や突風、雷など)の予測精度向上を目指し、さらなる努力を惜しまない所存です。
以上
PDFダウンロード:【日本気象協会報道発表】 文部科学大臣賞受賞_