(防災レポートVol.16)台風第16号に伴う今後の大雨の見通し(速報) 令和元年台風第19号に匹敵する大雨のおそれ
Report
日本気象協会は、台風第16号に伴う今後の大雨の見通し(9月26日12時時点)に関する情報を、防災レポート(速報)として発表します。
ポイント
・10月1日(金)前後に関東地方へ最接近する。
・台風の進路が西寄りのコースとなった場合、関東甲信から東北地方にかけて雨量が多くなり、令和元年台風第19号に匹敵する雨量となるおそれがある。
非常に強い台風第16号は、9月26日(日)9時現在、フィリピンの東にあって、ほとんど停滞しています。この台風は、今後猛烈な勢力に発達しながら北上する見込みです。10月1日(金)頃には関東地方へ接近するおそれがあります。図1に示すように、現時点での台風の進路予想には幅があり、予報円の西側を台風が通過した場合は、関東地方など本州太平洋側への影響が大きくなるおそれがあります。

台風の進路によっては、関東甲信地方から東北南部にかけて予想される雨量の値が大きく異なります。図2は、9月25日21時から10月1日21時までに予想される累積雨量の分布図を示しています。図の左側は台風が予報円の中心付近を通過した場合に予想される雨量で、右側は台風が予報円の西側を通過した場合に予想される雨量です。台風が予報円の西側、つまり、関東地方に上陸するようなコースになった場合は、関東甲信地方から東北南部にかけて、200~800mmの雨となる可能性があります。

図3は、令和元年台風第19号(東日本台風)での最大24時間雨量の分布図です。令和元年台風19号では、関東地方の箱根山地や秩父山地で500mm以上の雨量となったほか、長野県や東北地方でも200~300mmの雨量となりました。図2の右側に示した、台風第16号が予報円の西側を通過した場合の雨量は、令和元年台風第19号に匹敵する雨量となっていることがわかります。令和元年台風第19号は、関東甲信地方から東北地方の各地に、河川の氾濫や土砂災害による甚大な被害をもたらしました。今回の台風第16号も、通過するコースによっては同程度またはそれ以上の被害を発生させる可能性があります。
今後の台風の予報進路によっては予想される雨量が大きく変化することがあるので、最新の気象情報、台風情報に十分に注意してください。

犠牲者の発生位置が推定された場所を示す(静岡大学・牛山教授調べ)。
本情報は2021 年9 月26 日 11 時時点の予測資料から作成したものです。最新の気象情報をご確認ください。
※日本気象協会の天気予報専門メディア「tenki.jp」(https://tenki.jp/)では、「警報・注意報」「地震情報」「津波情報」「火山情報」「台風情報」などの防災情報を24時間365日提供しています。
![]() | 本間 基寛(ほんま もとひろ) 一般財団法人 日本気象協会 社会・防災事業部 専任主任技師 北海道生 北海道大学理学部卒業,東京大学大学院理学系研究科修士課程修了 京都大学防災研究所特任助教(非常勤) 静岡大学防災総合センター客員准教授(非常勤) 博士(工学) 技術士(建設部門:河川、砂防及び海岸・海洋) 気象予報士 |