JWA News(SDGs レポート)気候変動に具体的な・・・

(SDGs レポート)気候変動に具体的な対策を 〜日本気象協会が取り組む商品需要予測とは〜
News

「自然災害がいっそう増え、最悪の結果をもたらしている。わたしたちの世代は、地球を守ることに失敗した」と語った国連のグテーレス事務総長の強い呼び掛けで9月23日、「気候行動サミット」がアメリカ合衆国ニューヨークにて開催されている第74回国連総会の枠組みの中で開催されました。地球規模で発生している熱波や豪雨などの自然災害や異常気象が深刻化する中、「気候変動」への対策に関する議論は2015年に採択されたSDGs(持続可能な開発目標)で掲げている「目標13:気候変動に具体的な対策を」に一番関係する議題であり喫緊の課題です。
気象観測・分析・解析ノウハウを持つ日本気象協会は、「自然界と調和した社会」を目指し、持続可能な社会の実現に向けた事業を行っています。日本気象協会SDGsレポート初回の今回は、企業、個人の皆さまに「気候変動」の現状の解説と、「目標13:気候変動に具体的な対策を」に対して日本気象協会が推進している事業のひとつである商品需要予測プロジェクトについてご紹介します。

気候変動の現状

18世紀の産業革命以降急激に大気中のCO2濃度は高まっています。IPCC第5次評価報告によると、1880年~2012年で世界平均気温は0.85℃上昇しており、特に1980年以降の各10年間はいずれも、1850年以降のどの10年間よりも高温でした。また、日本は世界平均よりも上昇が激しく、1898年~2014年で100年あたり約1.15℃上昇しています。

温暖化
図1 世界地表面温度変化 (出典:NASA Scientific Visualization Studio)

上の図1は1884年と2018年の世界の地表面温度の変化を色で示しており、青色は1884年から2018年までの世界の平均気温よりも低く、オレンジは高いことを表しています。ご覧いただくと世界の地表面温度の上昇は明らかです。また、20世紀半ば以降の温暖化は人間活動の影響によるものである可能性が極めて高く、このまま対策しなければ80年後には世界の平均気温は最大4.8℃上昇すると報告されています。
温暖化は地球の温度を上昇させるだけではなく、さまざまな影響を与えます。気象の側面で分かりやすい影響は「異常気象の増加」です。実際日本の降水量は変動幅が大きくなっています。つまり、降るときは激しく降り、降らない時は全く降らないといった極端な現象が増えているということです。

日本気象協会の需要予測プロジェクト“eco×ロジ”の取り組み概要

日本気象協会は2014年度~2016年度にかけて経済産業省補助事業「需要予測の精度向上・共有化による省エネ物流プロジェクト」を【食品ロス・廃棄ロス削減】、【COの排出削減】に目標を置いて行いました。2017年度からは本格的に“eco×ロジ”マークを制定し、プロジェクトを商品需要予測のコンサルティング事業としてスタートさせました。

本プロジェクトでは、「気象×データ」の力で、極端気象の増加により難しくなっている企業の需要予測をサポートしています。食品だけではなく、あらゆる商品の過剰生産や過剰廃棄、またこれらによって発生する不要なCO排出削減を行い、社会の持続可能な発展に貢献していくことを目指しています。
現在メーカー企業、製造小売り企業中心に約50社のお客様へ製造数や販売機会の最適化をご提案しており、実際に廃棄ロスやCO排出削減の実績も出ています。

現時点では個社ごとに需要予測を行って提供していますが、上記の社会問題を解決するためには個社だけではなく、製造、配送、販売(「製」「配」「販」)が連携していく必要があります。気象はあらゆる産業に影響を与える一つの要因であり、唯一物理学的手法によって未来の予測をできるものです。気象がもつ「未来の予測が可能」という最大の特徴を生かすことができれば、需要を予測するための強い味方になります。

CPFR
図2 製配販連携イメージ

eco×ロジ プロジェクトが掲げるSDGsの目標

eco×ロジ プロジェクトは2017年から【食品ロス・廃棄ロス削減】【CO2の排出削減】という課題に対して事業を行ってきました。SDGsでは「12:つくる責任つかう責任」、「13:気候変動に具体的な対策を」に当たります。
上記2つの目標に重きを置きながら、「7:エネルギーをみんなにそしてクリーンに」、「8:働きがいも経済成長も」、「9:産業と技術革新の基盤をつくろう」、「17:パートナーシップで目標を達成しよう」、以上4つの目標も同時に意識して活動しています。

気象を扱うプロ集団として、今後も気象の力で社会の持続的な発展に貢献していきます。また、目標を達成するためには一人一人の意識向上が最も大切です。より多くの方に地球環境に意識を向けていただき、SDGsの目標を念頭に置きながら自然と調和できる社会づくりを同時に推進していきます。

 

SDGs

日本気象協会SDGsレポート第2回では、eco×ロジ プロジェクトが重視する6つの目標について、具体的な事例を挙げ紹介していきます。

PDFダウンロード:【日本気象協会レポート05】SDGs(Vo.1)_気候変動に具体的な対策を_

一般財団法人 日本気象協会
防災ソリューション事業部
先進事業課
SDGsプロモーター
古賀 江美子


奈良県出身。小さい頃から自然に囲まれた生活を行う。
学生時代、ドイツでの農地開墾ボランティアや自然豊かなワシントン州立大学への留学を通して「異なるバックグラウンドへの相互理解の構築と連携」を体験的に身につける。
卒業後、上京して便利さと自然のバランスに違和感を覚え、会社員業務の傍ら自然に対する学びの体系化を目指して物理学や東洋哲学など様々な領域の学問を独習。
自らの学びを実現する場として2013年日本気象協会に入社。「eco×ロジプロジェクト」に参画し、気候変動や食品ロス、廃棄ロスの根深い問題に取り組む。
「ステークホルダー間の相互理解と連携」及び「一人一人の意識向上と行動変革」をテーマに、企業間連携の企画推進及び広報活動を行っている。
eco×ロジ
eco×ロジ