(防災レポートVol.14)前線に伴う今後の大雨・災害の見通し(第4報)
Report
日本気象協会は、前線に伴う今後の大雨と災害の見通し(8月15日11時時点)に関する情報を、防災レポート(第4報)として発表します。
ポイント
・西日本、東日本では既に近年の過去最大雨量を大きく上回っている地点があり、危険な状態が続く。
・8月16日(月)から17日(火)にかけて、九州北部・山口県では再び近年の観測値を上回る豪雨の可能性があり、さらなる災害の発生、二次災害に厳重な警戒が必要。
本州付近に停滞する活発な前線の影響で、西日本・東日本では記録的な大雨となっているところがあり、土砂災害や洪水による災害発生の危険度が極めて高い状況になっています。
日本気象協会が国土交通省解析雨量を用いて分析した結果、本日6時時点の前24時間雨量では岐阜県・長野県でこれまでの観測データの既往最大値(過去の最大値)を大きく超えているところがあります。(図1)。日本気象協会と静岡大学牛山素行教授との共同研究の結果(※1)によると、既往最大比150%を超えると犠牲者の発生数が急増する可能性があり、災害発生危険度が極めて高くなっていることを示していると言えます。
避難などされている方々は、引き続き安全な場所へとどまることが必要です。また、復旧作業にあたられる方々は、今後の雨量情報を注視していただき、身の安全の確保を最優先に対応ください。
日本気象協会独自の「JWAアンサンブル雨量予測」では、明日16日(月)から明後日17日(火)にかけて西日本で一日の雨量が100mm以上となる確率が高くなっています(図2)。また、「過去最大雨量との比(既往最大比)」(図3)を見ると、九州北部及び山口県では再び、過去最大値に匹敵または超える雨量となることが予想されています。これらの地域では8月11日(水)より降り続く雨の総雨量が既に1,000mmを超えている地点があり、いつ災害が発生してもおかしくない状況となっています。地中に非常に多くの水分が含まれた状況では、時間雨量40~50mmといったやや強い雨が降っただけでも土砂災害が発生する可能性があります。引き続き厳重な警戒が必要です。
大雨は19日(木)ごろにかけても降り続くおそれがあります。最新の気象情報を確認し、厳重な警戒を続けてください。
※1 本間基寛・牛山素行:豪雨災害における人的被害ポテンシャルの推定に関する一考察 ―平成30年7月豪雨を事例に―,第38回日本自然災害学会学術講演会講演概要集,pp.47-48,2019
本情報は2021 年8 月15 日 11 時時点の予測資料から作成したものです。最新の気象情報をご確認ください。
※日本気象協会の天気予報専門メディア「tenki.jp」では、「警報・注意報」「地震情報」「津波情報」「火山情報」「台風情報」などの防災情報(https://tenki.jp/) を24時間365日提供しています。
本間 基寛(ほんま もとひろ) 一般財団法人 日本気象協会 社会・防災事業部 専任主任技師 北海道生 北海道大学理学部卒業,東京大学大学院理学系研究科修士課程修了 京都大学防災研究所特任助教(非常勤) 静岡大学防災総合センター客員准教授(非常勤) 博士(工学) 技術士(建設部門:河川、砂防及び海岸・海洋) 気象予報士 |