物流事業者参加型の実証実験の結果概要 ~日本気象協会、NEXCO東日本新潟支社と協力し 大雪時の安全・安心な輸配送に役立つ情報提供のありかたを検証~
Press Release
一般財団法人 日本気象協会(本社:東京都豊島区、理事長:渡邊 一洋、以下「日本気象協会」)は、東日本高速道路株式会社新潟支社(以下「NEXCO東日本新潟支社」)と協力し、物流事業者(注) 参加型の実証実験「大雪時の高速道路利用において安全・円滑な輸配送計画を支援する情報発信とその効果検証を行う実証実験」(以下、本実証実験)を2022年12月1日(木)から2023年2月28日(火)にかけて実施しました。物流事業者と道路事業者(NEXCO東日本新潟支社)、気象事業者(日本気象協会)の3者による「大雪時の安全・安心な輸配送に役立つ情報提供のありかた」の検証は初の取り組みです。
(注)物流事業者:ここではトラック輸送事業に関わる荷主企業、物流会社、輸送会社を指します。
本実証実験の報告会を2023年11月16日(木)に日本気象協会とNEXCO東日本新潟支社から、参加された物流事業者へ実施し検証結果を報告しましたのでお知らせします。
■本実証実験の検証結果概要
●本実証実験の報告会実施日:2023年11月16日(木)
●本実証実験に参加された物流事業者数:41社
●効果検証方法:物流事業者へのアンケートおよびWebアクセスログの検証
●集計結果(一部概要)

実証実験期間中の大雪事象後および期間終了時に参加物流事業者へアンケートを行い、集計することでその効果を検証しました。また、Webのアクセスログから情報へのアクセス傾向などを分析しました。
本実証実験では、実証に参加する物流事業者を対象に、NEXCO東日本新潟支社と日本気象協会が協力し、高速道路の安全・安心な走行を支援する有効な情報をリアルタイムで提供しました。この情報提供による、輸配送計画の変更や迂回ルート活用などの「行動変容」の支援の効果を検証することで、大雪時の安全・安心な輸配送に役立つ新たな情報提供の実現につなげることを目指しました。
●回答内容から
・「情報が行動変容につながったか」
情報による行動変容に繋がったという回答は90%となり、提供した情報が行動変容に有効なことが示されました。
・「情報へのアクセスの傾向」
アクセス傾向としては午前8時台、次いで9時台のアクセスが最も多く、始業時の前後で情報を確認する傾向であることが明らかになりました。
・「今後の情報利用意向」
今回の実証実験のような情報提供サイトを今後も利用したいか、という設問には9割以上が「大いに利用したい」「あるなら利用したい」と回答し、道路情報と気象情報の一元的な提供が好意的に捉えられました。
これらの検証以外にも、提供情報別の効果や活用場面に関する検証なども行い、さまざまな角度から実証実験の効果を検証しました。
■本実証実験の実施背景
近年は短時間豪雪により高速道路における事故が多発しているほか、長時間の通行止めが増加しています。物流業界では、事故や車両滞留などのリスク回避のために、輸配送ルートの変更や輸配送停止などの行動変容が求められており、その重大な判断を下すために道路状況の把握や気象情報の活用が課題となっています。
この課題の解決に向け、日本気象協会(気象事業者)とNEXCO東日本新潟支社(道路事業者)、物流事業者により、2022年4月~6月に「大雪時における情報発信についての検討会」 を実施しました。
検討会では、高速道路で大雪が予想される際に、物流事業者の効果的な行動変容(広域迂回などの計画変更、トラックドライバーの安全確保など)を支援するために、道路事業者や気象事業者が提供すべき情報について議論を行いました。
さらに、検討会で得られた知見をもとに、本実証実験として大雪時における物流事業者の行動変容の判断を支援するための有効な情報を、道路事業者と気象事業者で協力して提供することとしました。
本実証実験により、物流業界が抱える、輸配送時に発生する荷主企業や配送先との円滑な調整、大雪時の迂回ルートの検討、トラックドライバーの安全確保や雪道の事故・立ち往生による労働時間の超過などの諸問題の解決を目指しました。
■本実証実験の目的
2020年(令和2年)12月に発生した関越道の車両滞留では、多くの物流車両が滞留に巻き込まれ物流の流れが長時間止まることやドライバーの安全に関する問題提起など、社会に大きな影響を及ぼしました。本実証実験では、道路事業者、気象事業者が物流に特化した情報を発信し、物流事業者の適切な行動変容の支援に取り組むとともに、その効果を検証しました。これにより、大雪時においても物流機能を維持し、安全かつ円滑な輸配送が行えるための体制を物流事業者、道路事業者、気象事業者が協力して構築していくことを目的としました。
■本実証実験の内容
本実証実験に参加する物流事業者向けのWebサイトを開設し、NEXCO東日本新潟支社および日本気象協会が同サイトやメールにより、物流事業者が輸送判断を行う際に有効な情報をリアルタイムで発信しました。冬季の高速道路の安全走行や輸送計画を支援する情報を物流関係者に利用いただき、行動変容における効果や有益性に関する意見や知見を収集し、情報発信効果を日本気象協会とNEXCO東日本新潟支社で検証しました。

●実施期間:2022年12月1日(木)~2023年2月28日(火)
●実施概要:気象予測を活用した道路上リスクの予測情報(GoStopマネジメントシステム)および、高速道路のリアルタイム情報(NEXCO東日本新潟支社による発表情報)などを、専用のWebサイト(PC/スマホ)やメールで提供しました。
●本実証実験の参加企業
物流事業者 :NEXCO東日本新潟支社管轄の高速道路を利用する物流事業者
外部有識者 :長岡技術科学大学 佐野 可寸志 教授
道路事業者 :NEXCO東日本新潟支社
事務局(気象事業者):日本気象協会
●提供情報
日本気象協会提供:「GoStopマネジメントシステム」で提供している情報(通常は有償情報)
NEXCO東日本新潟支社提供:大雪当日の冬道状況(実証実験用リアルタイム情報)
■「GoStopマネジメントシステム」について
・「GoStopマネジメントシステム」 サービス内容のご紹介
https://www.jwa.or.jp/service/transport-support/transport-support-road-03/
・「GoStopマネジメントシステム 第38回ロジスティクス大賞受賞」に関するお知らせ
https://www.jwa.or.jp/news/2021/09/14485/
・お問い合わせ(法人向け)
日本気象協会 社会・防災事業部 営業課
Tel:03-5958-8143 Mail:gostop@jwa.or.jp
*報道関係の方は日本気象協会 広報室までお問い合わせください。
以上
PDFダウンロード:【日本気象協会報道発表】物流事業者参加型の実証実験結果概要について_