日本気象協会、日射量予測サービスの改良により予測精度が最大13%向上
~物理モデルとAIを組み合わせ、より高精度な日射量予測を実現~
Press Release
一般財団法人 日本気象協会(本社:東京都豊島区、理事長:渡邊 一洋、以下「日本気象協会」)は、これまで太陽光発電事業者向けに展開してきた日射量予測サービス「SOLASAT 9-Nowcast(ソラサットナインナウキャスト)」の予測モデル改良を行い、2025年1月20日(月)から改良版サービスの提供を開始します。
今回の改良版サービスでは、物理モデルとAIを組み合わせた最新の予測モデルを導入しました。これにより、従来は表現が難しかった複雑な雲の分布や挙動をより精緻に予測することが可能になりました。その結果、従来の「SOLASAT 9-Nowcast」と比較して、日射量予測の精度が最大13%向上しました。
太陽光発電の導入量が拡大する中、電力の需給管理や1時間前市場での電力取引において、より高精度な日射量予測情報の重要性が高まっています。新しい「SOLASAT 9-Nowcast」が提供する高精度な予測情報は、一般送配電事業者、太陽光発電事業者、小売電気事業者などによる計画値の作成や電力の需給管理にご活用いただけます。日本気象協会は、今後も日射量予測のさらなる高度化に向けた取り組みを進め、太陽光発電の効率的な運用、電力の安定供給に貢献していきます。

(2024年8月27日 10時初期時刻の予測)
◆改良版予測モデルの概要
「SOLASAT 9-Nowcast」は、気象衛星ひまわり8号・9号*によって撮影された衛星画像から日射量を予測するサービスです。今回は、①AIによる高度ごとの雲分布の把握、②AIによる速度場・気圧場の推定、③物理方程式による雲の移動予測、を中心に改良を加えました。これにより、AIによる複雑な雲の動きの表現だけでなく、物理現象に基づいたより現実的な雲の移動予測が可能となりました。その結果、従来モデルに比べて通年の日射量予測精度はRMSE(注1)で6~13%向上しました。
* 気象庁による衛星観測の運用切り替えに伴い、2022年12月13日14時よりひまわり8号からひまわり9号に変更となりました。これらの観測衛星の性能は実質的に同等です。


9時の初期時刻から3.5時間先までの予測値(前30分平均)で計算
対象期間: 2022年4月~2023年3月
※改善率(%)=(改良前のRMSE-改良後のRMSE)÷改良前のRMSE×100
◆サービスの利用用途
・分散配置された太陽光発電設備を考慮した目先数時間の電力需給計画作成
・1時間前市場での電力取引 など
◆サービスに関するお問い合わせ(法人向け)
日本気象協会 環境・エネルギー事業部 営業課
Mail:ke-eigyo_kankyo@jwa.or.jp
*報道関係の方は日本気象協会 広報室までお問い合わせください。
◆関連サービス
・ひまわり 8・9号による日射量推定サービス SOLASAT 9-Now
https://www.jwa.or.jp/service/energy-management/solar-power-13/
・ひまわり 8・9号による日射量予測サービス SOLASAT 9-Nowcast
https://www.jwa.or.jp/service/energy-management/solar-power-12/
・エネルギー事業者向けAPIサービス 「ENeAPI」
https://www.jwa.or.jp/service/energy-management/solar-power-06/
(注1):RMSE
モデルの誤差の大きさを表す指標の一つで、値が小さいほど精度が良いことを意味します。RMSEは以下で計算されます。

[n:データ数, fi:予測値, yi:観測値]
※「SOLASAT」は気象衛星画像の解析技術を用いた日射量推定・予測サービスの総称です。
※「SOLASAT」は日本気象協会の登録商標(登録第5779712号)です。
※「ENeAPI」は日本気象協会の登録商標(登録第6574904号)です。
以上
資料ダウンロード:【日本気象協会報道発表】SOLASAT9-Nowcast改良版の提供を開始_
補足資料
◆SOLASAT 9-Nowcastのサービス内容
標準提供仕様(個別システムでの提供、過去データ提供など)は以下のとおりです。一部の項目に関しては、エネルギー事業者向けAPIサービス 「ENeAPI(エネエーピーアイ)」を介しての提供も可能です。

** 過去データのオフライン提供も可能です(応相談)。
*** 傾斜面日射量や太陽光発電出力の提供は別途ご相談ください。