日本気象協会、「電源調達計画支援サービス」を開始
~相対取引や先物市場を活用する電力事業者の取り組みを支援~
Press Release
一般財団法人 日本気象協会(本社:東京都豊島区、理事長:長田 太、以下「日本気象協会」)は、相対取引※1や電力先物市場※2を活用する電力事業者向けに「電源調達計画支援サービス(以下、本サービス)」の提供を2021年11月30日(火)から開始します。
日本気象協会では、電力事業者(小売電気事業者や発電事業者など)向けの高精度な気象予測のほか、人工知能(AI)を活用した電力需要予測やスポット市場※3を対象とした電力取引価格予測を提供しています。加えて、本サービスではスポット市場の価格変動リスクへの対策として、相対取引や電力先物市場で重要となる天候と市場価格の長期見通しのほか、自社小売需要あるいはエリア電力需要の長期予測データを提供します。これにより、電力事業者は日々の需給管理だけでなく、相対取引や電力先物市場を活用した電力調達の最適化も可能となります。
日本気象協会は、東京商品取引所(TOCOM)および欧州エネルギー取引所(EEX)で扱う電力先物に対応した国内外の取引仲介業者(ブローカー)などとの連携強化を図りながら、電力事業者の事業発展と電力先物市場の活性化に貢献していきます。
<電力事業者が抱えるニーズ>
– 自社小売需要の将来予測に合わせて電源調達計画を最適化したい
– 相対取引を活用して電力調達の長期固定契約を締結したい
– 電力先物市場を活用してスポット市場の価格変動リスクをヘッジしたい
– 取引価格や取引量の妥当性判断に、エリア電力需要の長期予測データを活用したい
– LNGなどの燃料価格を左右する、世界の天候の見通しが知りたい
1.本サービスの提供内容
本サービスでは、相対取引や電力先物市場の活用検討に必要となる以下の情報をオンラインで配信します。これにより、電力事業者の電源調達計画作成やトレーディング企業の電力取引を支援します。
数カ月先の天候の見通しは、日本気象協会独自の高精度な気象予測データをもとに作成します。また電力需要予測は、全国各地の気象予測データおよび人工知能(AI)などの解析技術により予測します。
①長期電力需要予測データ
②電力市場取引分析レポート
<提供コンテンツ>
① 長期電力需要予測データ
小売電気事業者の自社小売需要やエリア電力需要を約6カ月先まで予測します。

対象期間:2020年10月3日~2021年4月4日(約6カ月先まで)
② 電力市場取引分析レポート
数カ月先の天候やスポット市場価格の見通しに関する情報をレポート形式で掲載します。
(掲載内容の例)
・気象と電力需要、市場価格の傾向分析結果
・数か月先までの天候や市場動向の見通し情報
・今夏の梅雨明けとスポット市場価格高騰のタイミング
・今冬のラニーニャ現象の発生見通しと日本の電力需給状況に及ぼす影響

2.本サービスの提供仕様
① 長期電力需要予測データ
・予測対象 :自社小売需要/エリア電力需要
・予測間隔 :30分ごと
・予測期間 :約6カ月先まで
・提供頻度 :週1回
・オプション:予測期間延長、気温変動シミュレーション
② 電力市場取引分析レポート
・分析対象 :天候、スポット市場価格
・対象エリア:東京エリア/関西エリア
・提供頻度 :月1回
・オプション:対象エリア追加(北海道エリア/九州エリア)
③ サービス活用例
利用用途: 小売電気事業者での電力調達計画の作成、発電事業者での販売価格水準の決定
内容 : 小売電気事業者は計画値同時同量制度※4に基づき、必要な電力を事前に確保しています。事前確保にあたっては、自社小売需要の数カ月先~数年先までの予測データをもとに最適な電源調達計画を作成するとともに、相対取引や電力先物市場を活用してスポット市場価格の変動リスクを回避する必要があります。また、発電事業者には自社で発電する電気を相対取引やスポット市場などを介して、適正な価格で販売したいというニーズがあります。
本サービスの活用により、全国の電力需要の見通しを考慮した、経済的で効率的な電力調達・販売計画の作成が可能となります。
④ サービス開始日
2021年11月30日(火)
⑤サービスに関するお問い合わせ先(法人向け)
日本気象協会 環境・エネルギー事業部 営業課
Tel:03-5958-8142 Mail:ke-eigyo_kankyo@jwa.or.jp
◆日本気象協会の関連サービスについて
・電力需要予測 (https://www.jwa.or.jp/service/weather-and-data/weather-and-data-02/)
・エネルギー需要変動解析(https://www.jwa.or.jp/service/weather-and-data/weather-and-data-05/)
・プライス予測 (https://www.jwa.or.jp/service/weather-and-data/weather-and-data-03/)
※1 相対取引
日本卸電力取引所(JEPX)を介さず、電力の売り手と買い手が直接売買を行う方法。
※2 電力先物市場
現物ではなく将来の電力価格を売買する取引市場。国内外の電力事業者やトレーディング企業・金融機関など、多様なプレイヤーが存在する。実質的に固定価格による調達と販売が可能になるため、主にスポット市場の価格変動リスクへのヘッジ策として用いられる。
※3 スポット市場
日本卸電力取引所(JEPX)によって開催される電力取引市場の一つ。翌日に受渡される電力は、30分単位(1日48コマ)で取引される。
※4 計画値同時同量制度
小売電気事業者および発電事業者が、発電・需要の前日計画値と当日の実績値が30分単位で一致するように調整を行う制度のこと。計画値と実績値に差分が生じた場合、一般送配電事業者に対してインバランス料金を支払う必要がある。
以上
PDFダウンロード:【日本気象協会報道発表】電源調達計画支援サービスを開始_