日本気象協会、「DR(デマンドレスポンス)支援サービス」を開始 ~DR発動最適タイミング情報と最適ベースライン設定で電力事業者の取り組みを支援~
Press Release
一般財団法人 日本気象協会(本社:東京都豊島区、理事長:長田 太、以下「日本気象協会」)は、DR(デマンドレスポンス)※1を活用する電力事業者向けに「DR支援サービス(以下、本サービス)」の提供を2022年6月28日(火)から開始します。
日本気象協会では、一般送配電事業者や小売電気事業者などの電力事業者向けに、人工知能(AI)を活用した電力需要予測を提供しています。本サービスでは、この電力需要予測の技術を応用した「DR発動最適タイミング情報」を提供します。また、「最適ベースライン設定に関する高度化検討」の取り組みにより、事業者が算定するDR報酬の最適化を支援します。
これにより、一般送配電事業者、小売電気事業者、アグリゲーター※2らは、需要家に対するDR指令を最適なタイミングで発動し、DRによる需給調整などの効果を最大化することが可能となります。
日本気象協会は、電力事業者のDRを活用した自社需要のピークシフトや容量拠出金※3負担額に関するシミュレーションなどへのサポートを通じて、エネルギー調達コストの最小化や電力需給の安定化に貢献していきます。
<電力事業者が抱えるニーズ>
– 供給対象エリアの月間最大需要の発生予想日時に合わせ、最適なDR発動計画を立てたい。
– DR発動時間帯の電力調達コストとDR報酬を比較して最も経済的な需要調整を行い、インバランスなどのコストを削減したい。
– 供給対象エリアの電力需要の月間最大需要量とその発生日時の予測値を用いて、容量拠出金負担額のシミュレーションを行いたい。
– 最適ベースラインを用いてDRによる需要抑制量を適切に計算することで需要抑制の対価見直しを行い、DRによる事業利益を最大化したい。
1.本サービスの提供内容
<提供コンテンツ>
[1]DR発動最適タイミング情報
本サービスでは、DR発動判断に必要となる以下の情報をオンラインで配信します。
・自社需要もしくはエリア需要の時系列予測データ
自社需要もしくはエリア需要の短期・2週間・長期予測データを提供します。
最大需要量とその発生日時の予測データ(30分値)が利用可能です。
利用用途:小売電気事業者にて実施するDR発動判断
内容:エリア需要の最大需要の発生予想日時にもとづき、最適なDR発動タイミングを段階的に見直しながら決定することが可能です。
(1) 1~数カ月前:長期予測により、「どの週」に最大需要が発生する見込みか見通しを立てる。
(2) 1~2週間前 :2週間予測により、「何日何時頃」に最大需要が発生する見込みか絞り込みを行う。
(3) 3日前~当日:短期予測により、DR発動指令の対象時間帯を決定し、需要家に事前通知する。
事例: DR発動判断検討フローおよびエリア電力需要予測結果(東京電力パワーグリッドエリアにて2022年1月6日(木)16:00-17:00に2021年冬季(2021年12月~2022年2月)の最大需要を記録した事例)
![DR発動最適タイミング情報](https://www.jwa.or.jp/wp-content/uploads/2022/06/220627_0001.png)
![DR発動最適タイミング情報2](https://www.jwa.or.jp/wp-content/uploads/2022/06/220627_0002.png)
[2]最適ベースライン設定に関する高度化検討
電力事業者は、DR発動指令に従い需要抑制を実施した需要家に対するインセンティブ(報酬)を算定します。この際、厳密に測定することができないDR発動量を精度良く見積もるためには、基準となるベースライン※4を正しく算出する必要があります。
日本気象協会では、従来のERAB※5に関するガイドラインで定められた標準ベースラインなどに代わる基準として、DR発動日の気象状況を考慮した最適ベースラインの作成を支援しています。
最適ベースラインを活用してDR発動量を正しく見積もり、DRの真の価値を把握することで、DR事業に関する施策の最適化などに繋げることが可能です。
2.サービス提供仕様
DR発動最適タイミング情報(電力需要予測データ)の基本仕様
※ 発表回数などの仕様は、ご利用用途に合わせて調整することも可能です
![サービス提供仕様](https://www.jwa.or.jp/wp-content/uploads/2022/06/220627_0003.png)
3.その他活用例
利用用途: 小売電気事業者にて実施する容量拠出金負担額のシミュレーション
内容: 2020年度の容量市場※6の開設に伴い、小売電気事業者と一般送配電事業者は、供給能力の確保と引き換えに容量拠出金を支払う必要があります。このうち小売電気事業者の容量拠出金負担額に関しては、高需要期(夏季・冬季)の月間最大需要と自社エリア需要の比率によって決まります。そこでエリア需要の予測データから月間最大需要の発生日時を予想し、自社エリア需要の予測データと比較することで、容量拠出金負担額のシミュレーションを実施できます。また月間最大需要の発生予想日時をDR発動判断へ活用することで、事業収益の見通し策定にお役立ていただけます。
◆ サービス開始日
2022年6月28日(火)
◆サービスに関するお問い合わせ先(法人向け)
日本気象協会 環境・エネルギー事業部 営業課
Tel:03-5958-8142 Mail:ke-eigyo_kankyo@jwa.or.jp
◆日本気象協会の関連サービスについて
・電力需要予測 (https://www.jwa.or.jp/service/weather-and-data/weather-and-data-02/)
・エネルギー需要変動解析(https://www.jwa.or.jp/service/weather-and-data/weather-and-data-05/)
・プライス予測 (https://www.jwa.or.jp/service/weather-and-data/weather-and-data-03/)
※1 DR(デマンドレスポンス)
需要家側エネルギーリソース(DSR)の保有者もしくは第三者がDSRを制御することにより、電力需要パターンを変化させること。
※2 アグリゲーター
太陽光発電などの再生可能エネルギー発電設備や蓄電池などのエネルギーリソースを集約し、集約したリソースを活用したさまざまなサービス(例:再生可能エネルギー電源の接続サービスやエネルギーマネジメントサービスなど)を提供する事業者。
※3 容量拠出金
容量市場にて供給力を確保するため、小売電気事業者および一般送配電事業者が拠出する費用。小売電気事業者に関しては、相対契約の有無などに関わらず全ての事業者が支払う必要がある。
※4 ベースライン
DRによる需要家の負荷削減量を測るときの基準値またはその計算方法を指す。DRの需要制御量により得られる報酬額に影響する。
※5 ERAB
エネルギー・リソース・アグリゲーション・ビジネスのこと。VPPやDRを用いて、一般送配電事業者、小売電気事業者、需要家、再生可能エネルギー発電事業者といった取引先に対し、調整力、供給力、インバランス回避、電力料金削減、出力制御回避などの各種サービスを提供する事業。
※6 容量市場
将来にわたる日本全体の供給力(kW)を効率的に確保する市場。発電事業者の投資回収の予見性を高め、再生可能エネルギーの主力電源化を実現するために必要な調整力を確保することや、中長期的な供給力不足に対処することを目的として創設された。
PDFダウンロード:【日本気象協会報道発表】デマンドレスポンス支援サービスを開始_
以上