日本気象協会、エネルギー事業者向け総合APIサービス「ENeAPI」を拡充 ~洋上風力の導入拡大を見据え、風向風速予測・高潮予測・波浪予測の提供を開始~
Press Release
一般財団法人 日本気象協会(本社:東京都豊島区、理事長:長田 太、以下「日本気象協会」)は、2022年2月に提供開始したエネルギー事業者向け総合APIサービス「ENeAPI」を機能拡充し、2022年3月14日(月)から新たに洋上風力発電事業者向けサービスの提供を開始します。
周辺を海で囲まれた日本では今後、洋上風力の導入拡大を見込んでおり、政府は2040年までにその規模を30~45GWまで拡大する目標を掲げています。一方で、陸上に比べて洋上では強風・高波をはじめとした厳しい環境下での設計・運用を求められるため、風況だけでなく高潮や波浪などの情報も正確に把握する必要があります。そこで、「ENeAPI」のさらなる機能拡充として洋上風力発電事業者向けサービス(風向風速予測・高潮予測・波浪予測)の提供を開始します。本サービスの提供により、洋上風力の計画・設計から導入後の維持・管理までをワンストップで支援します。
表 「ENeAPI」の主なサービス内容(★は日本気象協会独自情報)

- *1 発電出力変換のため、発電設備仕様等の情報が必要となります。
- *2 SYNFOS-solarのほか、気象庁モデル(GSM、MSM)による予測もご利用可能です。
- *3 SYNFOS-solarによる予測情報のご利用時に限り、日本気象協会が保有する日射量推定値 (SOLASAT 8-Now)による予測値の逐次補正機能がご利用可能です。また、お客さま側で取得している 現地気象観測値や太陽光発電出力実績値による補正も可能です(オプション機能)。
- *4 気象庁モデル(高潮ガイダンス格子点値)による予測です。
- *5 気象庁モデル(CWM)による予測です。
- *6 気象庁モデル(GWM)による予測です。
洋上風力発電事業者向けサービスの提供開始にあたり、新たに「風力API」を追加するとともに、「リスク情報API」の機能拡充を行います。このたび提供を開始する新機能は以下のとおりです。
・短期風向風速予測(SYNFOS)(風力API)
・高潮ガイダンス格子点値予測(リスク情報API)
・沿岸波浪予測(リスク情報API)
・全球波浪予測(リスク情報API)
◆風力API
計画・設計から導入後の維持・管理に至るまで、風力発電事業全般をサポートする情報を「風力API」で提供します。風力発電出力予測で活用いただける気象情報のほか、保守点検作業の実施可否判断や発電状況の実況監視に役立つ情報など、順次機能拡充を行っていきます。このたび第1弾として「短期風向風速予測」の提供機能を追加します。
なお「風力API」のほか、独自気象モデルSYNFOSを含む国内・海外気象モデル予測値を複数活用し(統合予測)、さらに対象地点(風力発電所)に特化した各種補正を適用した風力発電出力予測サービスも別途実施しております。
追加機能:短期風向風速予測
◎機能:
・独自気象モデルSYNFOSを活用し、任意地点の風向風速を30分ごと、78時間先まで予測
・洋上風力発電の導入拡大等に伴う風車の大型化に対応するため、地上のほか、高度100m、高度200mの予測情報も提供
◎想定用途:
・風力発電事業者や発電バランシンググループ、アグリゲーターなどによる高精度な発電販売計画の作成支援
・蓄電池併設型の風力発電施設での出力平滑化支援
・小売電気事業者による経済的な電力調達計画の作成支援
・一般送配電事業者による電力需給計画の作成
・洋上風力発電設備のメンテナンスをはじめとする海上作業の実施可否判断

◆リスク情報API
エネルギー事業者が保有するインフラやシステムを気象災害などのリスクから守り、それらのレジリエンス(強靭性)確保に貢献する情報を「リスク情報API」で提供します。日常の発電設備などの維持・管理に役立つ情報も含め、順次機能拡充を行っていきます。今回は新たに「高潮ガイダンス格子点値予測」「沿岸波浪予測」、「全球波浪予測」の提供機能を追加します。
追加機能①:高潮ガイダンス格子点値予測
◎機能:
・気象庁高潮ガイダンス格子点値予測による予測情報を1時間ごと、39時間先まで提供
・日本沿岸の高潮偏差を1kmメッシュで予測
・非台風時は、MSM(気象庁メソ数値予報モデル)の風・気圧場による予測結果を提供
・台風時は、MSMに加えて台風進路予報に応じた5通りの予測結果(合計6通り)を提供
◎想定用途:
・洋上風力発電設備や沿岸施設の管理を目的とした、高潮リスクの把握


追加機能②:沿岸波浪予測
◎機能:
・気象庁沿岸波浪モデル(CWM)による予測情報を3時間ごと、最大3日先(72時間先)まで提供
・日本沿岸の波高・周期・波向を高解像度(約3kmメッシュ)で予測
・予測情報の更新頻度は1日4回
◎想定用途:
・洋上風力発電の事前調査や環境アセスメントに伴う海上・海中作業の実施可否判断
・洋上風力発電設備のメンテナンスをはじめとする海上・海中作業の実施可否判断
・洋上風力発電設備や沿岸施設の管理を目的とした、高波リスクの把握

追加機能③:全球波浪予測
◎機能:
・気象庁全球波浪モデル(GWM)による予測情報を6時間ごと、最大11日先(264時間先)まで提供
・全球の波高・周期・波向を約50kmメッシュで予測
・予測情報の更新頻度は1日4回
・海外域を含む長期間の予測情報として利用可能
◎想定用途:
・洋上風力発電の事前調査や環境アセスメントに伴う海上・海中作業の実施可否判断
・洋上風力発電設備のメンテナンスをはじめとする海上・海中作業の計画立案
・洋上風力発電設備や沿岸施設の管理を目的とした、高波リスクの把握

◆サービス開始日
2022年3月14日(月)
◆サービスに関するお問い合わせ(法人向け)
日本気象協会 環境・エネルギー事業部 営業課
Mail:ke-eigyo_kankyo@jwa.or.jp
*報道関係の方は日本気象協会 広報室までお問い合わせください。
・「SYNFOS」は日本気象協会の登録商標(登録第4935276号)です。
・「SOLASAT」は気象衛星画像の解析技術を用いた日射量推定・予測サービスの総称です。
・「SOLASAT」は日本気象協会の登録商標(登録第5779712号)です。
以上
補足資料
◆「ENeAPI」の概要
「ENeAPI(エネエーピーアイ)」とは、太陽光・風力をはじめとした発電事業や小売電気事業、発電・蓄電設備などの分散型エネルギーリソースのエネルギーマネジメントやO&M事業など、エネルギー事業に広くご利用いただける総合APIサービスです。「ENeAPI」は太陽光発電事業者向け「太陽光API」のほか、風力発電事業者向け「風力API」、エネルギーマネジメント事業者向け「エネマネAPI」、発電設備や蓄電設備などの分散型エネルギーリソースの保有者および運用管理事業者向け「リスク情報API」の4つのサービスから構成されています。

日本気象協会では2020年8月より「日射量・太陽光発電出力予測API」の提供を開始し(注1)、2021年10月にはFIP制度(注2)の開始やインバランス制度(注3)の見直し、アグリゲーター(注4)ライセンスの創設などを見据えて機能拡充を行いました(注5)。さらにエネルギー事業者向けに広く展開することを目指し、2022年2月にはサービス名を「ENeAPI」へと一新しました(注6)。
◆「ENeAPI」の特徴
・ 任意地点の予測情報を提供(郵便番号、緯度経度、施設情報などから地点設定が可能)
・ お客さまの利用スケジュールに合わせた予測情報を提供可能
・ エネルギー事業に役立つさまざまな予測・推定情報を提供可能
◆「ENeAPI」の基本仕様
お客さまにて指定のリクエストパラメータを付与して日本気象協会公開のAPIへアクセスいただくことで、必要なデータを簡単に取得できます。

◆リンク
・風力発電出力予測
https://www.jwa.or.jp/service/energy-management/wind-power-02/
・日射量・太陽光発電出力予測 SYNFOS-solar
https://www.jwa.or.jp/service/energie-management/solar-power-05/
・ひまわり8号による日射量推定サービスSOLASAT 8-Now
https://www.jwa.or.jp/service/energie-management/solar-power-13/
・ひまわり8号による日射量予測サービスSOLASAT 8-Nowcast
https://www.jwa.or.jp/service/energie-management/solar-power-12/
・アメダス推定日射量
https://www.jwa.or.jp/service/energy-management/solar-power-02/
(注1):日射量・太陽光発電出力予測APIを提供開始~任意地点の予測情報をAPIで容易に取得可能に~(2020/08/06 日本気象協会ニュースリリース)
https://www.jwa.or.jp/news/2020/08/10704/
(注2):FIP制度
「フィード・イン・プレミアム」のことで、再生可能エネルギーにより発電した電力を発電事業者自らが電力市場で売電することを原則としている。その売電の際、変動する市場価格にプレミアム(上乗せ価格)をつける制度のこと。
(注3):インバランス
小売電気事業者による需要計画値と需要実績値との差、あるいは発電事業者による発電計画値と発電実績値の差分のこと。この差分が一般送配電事業者によって清算されることで発生するペナルティ料金のことをインバランス料金と呼ぶ。※本ニュースリリースより、上記注釈を使用します。
(注4):アグリゲーター
特定卸供給事業者のことで、需要家エネルギーリソースや分散型エネルギーリソースを集約し、集約したリソースを活用したさまざまなサービスを提供する。
(注5):日本気象協会、太陽光発電事業者向け「日射量・太陽光発電出力予測API」を拡充~2022年4月のFIP制度開始に先駆け、2つの新機能を追加~(2021/10/26 日本気象協会ニュースリリース)https://www.jwa.or.jp/news/2021/10/14952/
(注6):日本気象協会、エネルギー事業者向け総合APIサービス「ENeAPI」の提供を開始~「日射量・太陽光発電出力予測API」を大幅拡充し、総合APIサービスとしてリニューアル~(2022/02/03 日本気象協会ニュースリリース)https://www.jwa.or.jp/news/2022/02/15763/
PDFダウンロード:【日本気象協会報道発表】 ENeAPI機能拡充(洋上風力向けコンテンツ拡充)_