防災レポート2022 Vol.4 台風第11号に伴う今後の大雨・災害の見通し(第1報)
Report
日本気象協会は、台風第11号に伴う今後の大雨と災害の見通し(8月30日15時時点)に関する情報を、防災レポートとして発表します。
ポイント
・台風第11号は、強い勢力を保ったまま西日本に接近または上陸するおそれ
・宮崎県・鹿児島県・高知県・徳島県では、9月3日(土)から6日(火)にかけての72時間雨量が1000mmを超え、これまでの観測の最大値の1.5倍を超える記録的な大雨となる可能性がある
非常に強い台風第11号は8月30日(火)12時現在、日本の南にあって、西へ35km/hで進んでいます。中心付近の最大風速は45m/s、中心気圧は950hPaです。9月3日(土)頃から北よりに進路を変え、西日本に接近または上陸する可能性があります。台風の進路にあたる日本の南海上および沖縄近海の海面水温は30℃程度と高く、勢力を保ったまま西日本に接近または上陸する可能性があります。
日本気象協会独自の「JWAアンサンブル雨量予測」では、台風第11号の影響により、9月3日(土)から9月6日(火)にかけての72時間雨量(図1左)が宮崎県、鹿児島県、高知県、徳島県の多いところで1000mm前後に達するおそれがあります。
予想される雨量となった場合、解析雨量が1kmメッシュ化された2006年5月以降に観測された雨量の最大値との比(既往最大比)(図1右)では150%を超過し、河川の氾濫、土砂災害などの災害発生危険度が極めて高くなるおそれがあります。台風の進路によっては予想される雨量が大きく変化する可能性がありますので、今後の情報に十分注意してください。
宮崎県を中心に大雨となった台風として、2005年台風第14号があります。この台風は、広い暴風域を維持したまま九州に上陸しました。台風の進行速度が比較的遅く、長期間にわたって暴風、高波、大雨が継続しました。3日間の総雨量は1000mmを超え、大規模な土石流も発生しました。今回の台風第11号の進路は、2005年台風第14号のコースと類似する可能性があり、警戒が必要です。
本情報は2022年8月30日(火)14時時点の予測資料から作成したものです。最新の気象情報をご確認ください。
※日本気象協会の天気予報専門メディア「tenki.jp」では、「警報・注意報」「地震情報」「津波情報」「火山情報」「台風情報」などの防災情報(https://tenki.jp/) を24時間365日提供しています。
安部 智彦(あべ ともひこ) 一般財団法人 日本気象協会 社会・防災事業部 防災マネジメント課 副課長 山口県生 名古屋大学土木工学科大学院(海岸工学専攻)修士課程修了 技術士(建設部門:河川、砂防及び海岸・海洋) 技術士(総合技術監理部門、建設部門) 気象予報士 |
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